2026-01-28

ミドルシニア層のための 自己診断「アイデンティティの状態」

思うところあって「中年期のアイデンティティ再探索」をテーマに最近いろいろ読んだり考えたりしている流れで、今の自分の「アイデンティティの状態」をセルフチェックできるプチスライドをこしらえてみた。

Selfcheck_identitystatus

12のリストを読んで、一番自分に当てはまるものを一つ選ぶ。下のリンク先からアクセスしてもらうと、4タイプ分けした診断結果とプチ解説が読める。

ミドルシニア層のための 自己診断「アイデンティティの状態」┃SpeakerDeck

たくさんの人に診断をやってもらいたいというわけではなく、自己診断の12項目のうち、自分に近しいものを考えてみると、けっこう中年期って「モラトリアムの再来」感があるなぁって思ったことを、同世代とシェアしたくなったというのが本音。あと最後につけた「モラトリアムは一生に一度じゃない」というアイデンティティのラセン式発達モデルを共有したかった。なので、とても簡易なスライドだけど、そこはご愛嬌。

なんというかな、ここに出てくる「将来のことは」っていうのが、若い頃だったら「20代とか30代とか」をイメージしていたのが、アラフィフになってみると「60代とか70代とか」をイメージして、そのまま「今の自分のアイデンティティ状態」を問う設問として成立する感じ。既視感と切実感、懐かしさと新鮮さが同居する文が並んでいて興味深い。

ちなみに「モラトリアム」にネガティブな印象をもつのは日本特有らしく、ポジティブか中立なワードという話。人生二度目のモラトリアムは、少し余裕をもってそれ自体楽しむのもありかも。こういうのは、気にしないときは本当にどうでもいい話題だと思うけれども、ふと興味をもつ時期が各々に巡ってきたりする。というわけで、ネットの片隅においておきます。

2025-12-24

20年で激変、「心の病」の最も多い年齢層

企業の人事担当者に訊いた、あなたの社内で「心の病」の最も多い年齢層は何十代?という調査がある。日本生産性本部が報告しており、調査対象者は、新興市場を除く上場企業の人事担当者(有効回答数171社、回収率6.1%)と限定的なのだけれど、ここ20年の激しい経年変化を眺めると、これは...と注意が向く。先月に見たものだが、今年の気になり、今年のうちに。

社内で「心の病が最も多い年齢層」の経年変化(画像をクリックすると拡大表示する)

Agegroupwiththehighestincidenceofmentali

グラフの上に、角を丸くした四角い箱を3つおいて時期を分けてみた。ここ20年ほどの動きを俯瞰すると、下の3つに分けられそうなのである。

2002年〜2010年:30代が圧倒的な最多
2012年〜2019年:10〜40代が平準化する
2021年〜2025年:10〜20代が急進

今現在に注目すると、社内で心の病が最も多い年齢層は「10〜20代」が最多。前回の43.9%ほどではないが、37.6%と依然として高い。「10〜20代」と回答した企業の割合は、2014年調査と比較して、2倍の水準(18.4%→37.6%)だ。

10〜20代に不調者が多い理由として、レポートはこのように見解を述べている。

コロナ禍中に入社した若年層がテレワーク等で対人関係や仕事のスキルを十分に積み上げることができない中で、成長実感や達成感を持ちにくく、孤立感や孤独感を感じやすくなっている可能性

もともと高かった30代の不調者が多い理由としては、こんな記述。

仕事の責任は重くなるが管理職ではないという“責任と権限のアンバランス”

50代については、こんな記述。

50代との回答は10.0%と低水準だが、過去最高値となっているため注意が必要

自分が実際に、それぞれの年代でどういう接点をもって関わっているか、関わっていくか、地に足つけて考えたい。私はマスではなく、1対1か少数で人と関わって仕事をするので、何歳だからどうこうという見方を中心に置かないのを常としているけれども、わきまえておきたい情況ではある。

1対1で世代違いの若い人と話し込んでいると、やっぱり、自分が(相対的には)老輩なりの助言なり励ましを手渡して、それが彼・彼女の助けになっていることはあるっぽいなと思う。世代差がある人と、できるだけ関わりを断つこと、関与を差し控えることに努めるのではなくて、うまく関わっていくこと、関係を築いて手渡せるものを有意義にしていくことが肝要なのだろうなと思う。老害老害、言ってないでさ。

あと、われらミドルシニア層のキャリア支援活動は、自分ができることを研鑽して増やしていきたい。なんとなく、そんな年の瀬なのだった。

※上の画像のPDFファイルは、リンク先のSpeakerDeck(スライド共有サービス)にて。

※もとの調査レポートは、下のリンク先で。
第12回「メンタルヘルスの取り組み」に関する企業アンケート調査概要┃公益財団法人 日本生産性本部(2025年11月10日)

2025-12-20

20年前に50代だった人たちの今

正確に言うと19年前なのだけれど、ざっくり言うと20年前(2005年)から厚生労働省が毎年追っかけ調査している「中高年者の生活に関する継続調査」というのがある。その第20回レポート(2024年調査分)が、このほど公表された。そこから私がとりわけ注目した個人的トピックを取り出した(だけの)スライドを、下のリンク先にて共有。3枚だけなので、酒の肴、喫茶のお供にでもなれば幸いです。

20年前に50代だった人たちの今┃SpeakerDeck(スライド共有サービス)

2005年時点で50代(50〜59歳)だった全国の男女を対象に、毎年11月に郵送で調査票を送って、本人に回答を送り返してもらっているというもの。最新レポートは、昨年2024年11月の回答。調査対象者は、ざっくり70代(69~78歳)になっている。

「健康・就業・社会活動について、意識面・事実面の変化の過程」を訊いて、先輩の暮らしぶりに学ぼうというもので、我らアラフィフのための調査といっても過言ではない。第1回調査から第20回調査まで集計可能な14,980人の回答がまとめられている。

取り上げた3トピックのポイントをざっくり挙げると、


1枚目:中高年の「世帯構成の変化」
50代では「親なし子ありの世帯」が首位(39.7%)だったが、60代のうちに「夫婦のみの世帯」に首位が交代。70代では「夫婦のみの世帯」が半分近く(48.0%)に達している。

2枚目:中高年者の「就業状況の変化」
この19年間で「正規の職員・従業員」が激減(39.0%→2.1%)した一方、「仕事をしていない」が激増(17.9%→65.9%)の大転換

3枚目:中高年が「日頃から頼りにしている人」
1位「同居している親族」、2位「同居していない親族」、3位「友人」。10年前と今とを比較すると、「同居している親族」は減少傾向、「同居していない親族」が大幅アップ、「友人」は微減ながら大きな存在(女性で47.4%、男性で35.9%)。


感想を一言でいうと、友だちって大事だなぁ!です。

さらに詳しく見たい、他の調査結果も見たいという方は、下のリンクから原本レポートをPDFファイルで見られます。

第20回中高年者縦断調査(中高年者の生活に関する継続調査)┃厚生労働省(2025年12月17日)

2025-11-02

いわゆる「ふつう」のキャリアを歩んだ人の割合(若者向け)

2年ほど前に話題になった「中学生1000人の進路」、あれをさくっと伝わるようクイズ形式にしてみた。

中学を卒業後、高校、四年制大学と浪人せず進学し、正規雇用で就職を決めて3年間辞めずに一社に勤め続けている人は、同学年に何割くらいいるのか。そんな調査をしてくださった方の記事*をもとに、4択のクイズ問題にしたもの。

(画像はクリック or タップすると拡大表示する)

Percentagetypicalcareerchoices

自分のキャリア選択に不安を感じているお若い方や、その親御さんやお身内の方など。今、身近に、いわゆる「ふつうの進路」を歩むことにとらわれて辛くなっている人がいたらば、SpeakerDeck(というスライド共有サービス)に、問題から正解まで5枚だけで終わるスライドを置いておいたので、ちょっと見てみていただければ幸いです。

いわゆる「ふつう」のキャリアを歩んだ人の割合(若者向け)┃SpeakerDeck

どこかで誰かが誰かに共有してくださって、一息つくひとネタになれば。

補足:調査対象は「2009年3月の中学校卒業者(1993年度生まれ、2024年度に31歳になる学年)。この学年を1000人としたとき、それぞれの進路に何人ずつ進んだのかを示したものだそうです。さらに詳しく知りたい方は、下の出典元のリンク先で、ぜひご確認ください。

*出典元:松岡亮二「『凡庸な教育格差社会』で┃せかいしそう

2025-09-23

「相談できる、自分を受け入れてくれる」と感じる居場所と幸福感の相関関係

「AIは人間知性の進化の罠か」というfinalventさんのブログを拝読していて思い出したのが、最近見ていてぎょっとした、こども家庭庁の「我が国と諸外国のこどもと若者の意識に関する調査(令和5年度)」。

106ページからの第5章 学校関係【分析】居場所感と主観的ウェルビーイングの関連から、私が驚いたところを取り出して一枚にしてみたのが下のスライドだ(画像をクリックすると拡大表示。PDFでご覧になりたい方はリンク先のSpeakerDeckにて)。

Correlationplaceseektoadviceandhappiness

私が何の分析結果にぎょっとしたか。ざっくり言えば、全国の13歳〜29歳の男女に対して、つぎの前者を説明変数、後者を目的変数として重回帰分析を行ったもの。

日常的な5つの居場所を挙げて、

  • 自分の部屋
  • 家庭(実家や親族の家を含む)
  • 習いごとや趣味のサークル(学校での活動は除く)
  • 地域(図書館や公民館や公園など現在住んでいる場所やそこにある建物など)
  • インターネット空間(SNS、YouTubeやオンラインゲームなど)

それぞれの場所で自分が「悩みの相談ができたり、自分の意見や希望を受け入れてくれる」感じがしているか回答してもらった。その結果を、次の3つの項目と重ねあわせて相関関係を分析した。

  • 全体的な生活満足度
  • 幸せな気持ち
  • 人生の意義

安直に考えると、どこであろうと「悩みの相談ができたり、自分の意見や希望を受け入れてくれる」感じがする居場所があれば、正の相関か、あるいは何ら関連が見出せないかで終わりそうにも思われるが、そうは問屋がおろさなかった。

「家庭」や「地域」に、「悩みの相談ができたり、自分の意見や希望を受け入れてくれる」居場所があると思っている若者は、生活満足度、幸福感、人生の意義を強く感じていた。というのは、さもありなん。

一方の「インターネット空間」では、相関関係の正・負が反転していたのだ。つまり、SNS、YouTubeやオンラインゲームなどの「インターネット空間」に「悩みの相談ができたり、自分の意見や希望を受け入れてくれる」と感じている若者ほど、生活満足度と幸福感を感じていなかった。

この結果の解釈は、逆向きの因果関係の可能性もありましょう?というのはその通りで、レポートの中にもこのような記述があった。

この結果の解釈としては、たとえば「インターネット空間に居場所を作ることが生活満足度などを低下させる」という可能性だけでなく、「生活満足度などをあまり感じていないことから、インターネット空間に悩みの相談ができる居場所を積極的に作った」という逆向きの因果関係の可能性も考えられる。

今回調査した他国(アメリカ、ドイツ、フランス、スウェーデン)と比べて、日本のほうが「居場所の影響力」が強いことが示唆されたというのも興味深いところ。

これ一つとって、何かを固定的に捉えたい気もわかないのだが、なんとなく気に留めておきたい情報だなと思い、ここに書き留めた次第。分析データの取り扱いに詳しくないので、国語力だけで私が理解したところどまりだけども...。

2025-08-14

40代以上に共有したい中年期のキャリア論

アラフィフの自分が同世代に共有したいなぁと思うキャリア論について、いくらか構造立ててまとめてみたスライドをSpeakerDeckにアップしました。

中年期を迎えた頃合いでは、これまで無意識にそなえてきた自分の人生観やキャリア観を、少し距離とって眺めてみる機会をもつと楽になれるかもなぁと思うところがあって。それが一人からでもやりやすいよう意識してシナリオを組んでみた次第です。ご興味ありましたら、お時間あるときに覗いてみてくださいませ。

40代以上に共有したい中年期のキャリア論

昨日、同世代の友人らと久々に会って飲み屋でしゃべっていたとき、話の流れで最近私が考えていることを話してみたら、思いのほか「何よくわからないこと言ってるの?」という反応ではなくて、普通に話しこめて有意義だったので、幾ばくかの期待を胸にスライドとしても共有してみることにしました。

そんなに洗練させられていない自覚はあるし、後半どうシナリオを発展させていくかは人それぞれ違うと思うので尻切れとんぼ感は否めない。うんうんと話しこめたのは自分の友だちだったからだし、居酒屋で対面で話していたから浮つかず具体論・個別論で話しこめたところ大きいとも自覚しているんだけど。でも、もしかしたら、どこかの誰かにも拾い物があるかもしれないし。インターネットって、そういうものとして使いたいじゃあないですか。以上、言い訳終わり。

明確な聞き手を設定してどこかで講演したスライドとかではないので、興味を覚える部分をご自身で読みほぐして、一人でちょっと考える時間をもってみるとか、社内や仲間内でキャリアについて話すときのとっかかりに使ってもらえたら、これ幸いというものです。

2025-06-29

労使コミュニケーションの良好度の低さが際立つ「50〜99人企業」

労使コミュニケーションの良好度指数というのを企業規模別にみてみると、「50〜99人企業」の低さが際立つのに目が止まった(厚生労働省の令和6年「労使コミュニケーション調査」より)。

「30人の壁」という言葉も思い出した。少しずつ会社規模を大きくして、30人、50人、100人とスタッフが増えていく会社経営の道のりで、乗り越えなきゃいけない壁として立ちはだかる感。

人間という生き物的に、このくらいの人数の集団を営むのには、特有の難しさがあるのだろうかなぁなどと思い耽った、というだけのスライドなのだが、1枚こさえてみた。(クリック or タップすると拡大表示する)

Goodnesslmra

労使コミュニケーション調査で、「50〜99人企業」の良好度の低さが際立ち、良好度指数が3割を下回って29.4%(平均だと46.9%、5千人以上の企業は62.2%)。最も重視するのは「職場の人間関係」で、重視すると回答した労働者は7割を超す。

古来からの集団形成でいえば「集落から村落になる」ようなフェーズに入ったとき、構成メンバーらが「村長」という役割、「村」という概念だとかに漠然といだく期待が、自然と(無自覚に)中身入れ替わっていくものなのかもなぁ、なんて思った。個を抑制するのと引き換えに、依存度が増していく感じの期待とでも言おうかしら。

会社組織に話を戻すと、30〜50人くらいまでの集団だったときは何事も、個人名で「〜さんが」と言っていたのが、だんだん「総務が」とか「マネージャー陣が」とかいった総称ラベルを使い出すようになってきたりして。

その成れの果てが「会社が、わかってくれない」「みんな、そう言ってる」ではなかろうかと。「会社って誰やねん」「みんなって誰やねん」を明らかにすれば、けっこういろんな問題は解消に向かえると思うんだけどなぁと思うことも少なくない。成れの果てに到達する前に、いくらでも組織の運営の仕方は変えようがあって、そこをうまく切り替えられるかが経営手腕の一つになるのかも。

労働者サイドも、無自覚に組織規模と優劣を直結させて「大きいほうが立派な会社」みたいな価値づけやコンプレックスに振り回されることなく、組織立って成しとげたい事業、自分の人生時間を使って参加したい社会的活動、自分の適性にフィットする職場空間など総合的に見定めながら採択していくと健全なのだろうと思う。

経営者サイドも、何かを採択すれば、何かを捨てることになるのは必然で。組織規模の転換期では折々、割り切らなきゃいけなくなるのだろう。只中では、心がひりひりすること多いと思うけれど、双方の賢明な歩み寄りを尊く思う次第。

なんとなく気になって1枚こさえたスライドなのだけれど、「なんとなく気になったことを言葉にするなら、こういう感じのこと」というメモ書き。

* 令和6年労使コミュニケーション調査の労働者調査(該当部リンク)┃厚生労働省(2025/6/24)

2025-05-01

学習効果が高いフィードバックの仕方(ルース・バトラーの実験)

何かを誰かに教えようというとき、フィードバックは有効な策だ。一方的に「話を聞かせておしまい」ではなく、「課題に取り組ませて、本人の回答や作品に個別のフィードバックを与える」ことは学習に効果的(というか、それなしに完遂する学習なんて、そうそうない。その割りに前者どまりの教示活動が多いことを危惧している)。

ただ、フィードバックすれば、やり方はなんだっていいというものでも、もちろんない。フィードバックの仕方を誤れば、むしろ興味の維持、能力の向上を阻害することだって、ある。

「今この相手にとって、どのタイミングに何をフィードバックすれば学習に効果的か」の最適解を探る、文脈に応じたチューニングが肝。ということを腹落ちさせるのに、なかなか示唆的なルース・バトラーの実験(1988)が興味をひいた。

実験手順としては、こうだ。

1)学力が高い層と低い層を混ぜた3つの生徒グループを作り、3つの課題に取り組ませる。
2)課題に取り組んだ後、グループごとに異なる方法で、生徒にフィードバックを与えた。

Experiment

さて、3つのうち、どのフィードバックを受けた生徒グループの成績が向上したか。

Aタイプ)コメントのみを与える
Bタイプ)グレードのみを与える
Cタイプ)コメントとグレードを与える

Question

一見すると、コメントとグレードの両方を与えるフィードバックが、最もフィードバックが充実していて学習効果を高めそうなものだが、少し冷静になって考察してみると、いやいや…という気持ちがわいてくる。

そう、実験結果はこうなったのだ。

Answer1

Aタイプの「コメントのみを与える」だけ、成績が伸びた。他のグループと比べて約33%アップ。Bタイプ「グレードのみを与える」はもちろんのこと、Cタイプ「コメントとグレードを与える」フィードバックも、成績の向上はみられなかった。

BタイプとCタイプのフィードバックを受けたグループの生徒たちの変遷をみると、「学力が低い層」は、3つの課題を進めるごとに「課題への関心」が低くなっていった。学んでいるテーマそれ自体に興味を失っていったわけだ。これではフィードバックしている意味がない。

しかし、学習の道半ばで不用意に「E判定」(最下位)と突きつけられれば、やる気を削ぐのは想像に難くない。「自分には無理だ」と思わせるフィードバックは、育成上マイナスに作用する。

では、BタイプとCタイプのフィードバックを受けた「学力が高い層」の変遷はどうだったかというと、「課題への関心」は維持していた。が、3つの課題を進めるごとに、教師が与える「コメントへの関心」が低くなっていった。

A〜Eの5段階で「B判定」と通知されれば、まぁこれくらい取れていればいいかと、現在地に安住する気持ちもわいておかしくない。人は修正することを面倒くさがるもの。そこそこできているという判定を受け取って尚、コメントを読んで、修正を加えて、完成させようという気を起こすのは、なかなか至難である。

Answer2

この実験から得られる示唆は、むやみに「グレード」を付けてフィードバックすると、学習の質が落ちるということ。

「コメントのみ」にしぼったほうが、「他の人より自分は上か下か」といったことに意識を散らすことなく、自分のことに集中して「何を間違ったか」「何が(理解)できていないか」「間違いを直すにはどうしたらいいか」に意識を向けやすいということだ。

本人の回答、作品、パフォーマンスに評価してグレードを付けなきゃいけない状況、本人にフィードバックすべきシチュエーションというのは、確かにある。得点化してグレード判定し、選抜・採否を決める、等級を上げ下げする、報酬額を決める。本人は「判定と、判定根拠」を受け取ることによって、結論の透明性や妥当性を認めて納得できる。

だけれど、こと「育成」目的において、本人にグレードをつけてフィードバックすることが「常に」必要、妥当、有効ではないということ。そういう認識をもっておいたほうが、教えるという行為に思慮深く向き合える。何を今本人に伝えるべきなのか、伝えるべきではないか、取捨選択の意識が働いて良いのではないかなと思う。

以上、スライドにもまとめてSpeakerDeckに置いたので、勝手が良ければ、こちらでご確認ください。

学習効果が高いフィードバックの仕方(ルース・バトラーの実験)┃SpeakerDeck

*ジェフ・ペティ「科学的エビデンスに基づく最適の教え方実践ガイドブック」(東京書籍)P275-276より

2025-02-15

国内ハラスメント事情のリアル2025

なんだか、働く上での問題ばかりが活発に情報流通していて、若い人たちに対して、社会に出てチームや組織で仕事するポジティブな面の情報流通量が少なすぎる気がしちゃっている今日この頃。私の偏見かもしれないが。

折りにふれてやきもきする代表格の一つが、ハラスメント問題。ということで「国内ハラスメント事情のリアル2025」の平和な一面を、4スライドこしらえてみた。ニュース性が乏しすぎるが...。

直接の被害経験をもつ方、強い問題意識をもって取り組んでおられる方には、こんな切り口の発信はひどく気に障るものかとも拝察する。けれど、昨今のハラスメント関連の予防・解決のための熱心な取り組みあってこその2025年現状レポートも、これから社会に出てこられる若い方々には届けられるべき有意義な情報とも思うのだ。

もし必要な若者に、機会に、どこかでめぐり逢いましたら、1枚目だけでもご活用ください(PDFファイルでご覧になりたい場合は、リンク先のSpeakerDeckから。下の画像はすべて、クリック or タップすると拡大表示)。

1枚目:過去3年間にハラスメントを受けた経験がある勤め人は、2割に満たない

H1

2枚目:勤務先に、今以上のハラスメント対策を求めていない人が最多、4割超

H2

3枚目:フリーランスも、トラブル経験「あり」「なし」は五分五分の比率

H3

4枚目:フリーランスのトラブル経験で、ハラスメント系は1割未満と少ない

H4

一見すると「マジョリティ」にくくられる若者の中にも、組織集団の中で上位2割でも下位2割でもない「一般6割」と扱われる私のような人間の中にも、一人ひとり個別の想いがあり、迷いや苦悩、直面する壁がある。一人ひとり個別に、自分しか体験できない人生の時間があって、社会との関わりがあって、ものの見方がある。個別の未来があって、個性化していく可能性を秘めている。

その機会提供や支援が注がれる社会に、私は豊かさをおぼえる。それは、若者にキャリア自律を説くのと両立して展開できる話だし、ハラスメント問題の予防・解決の取り組みとも並行できるはずだ。

私は自分が若いとき「一般6割」の人間として社会に受け入れてもらい、会社の先輩たちにいろんな機会を与えてもらい、仕事に親しみ、やりがいを覚え、自分のキャリアを歩んできたと思うので、自分ができることを考えても、やりたいことを考えても、一般6割のキャリア支援にこそ働きたい。地味で華はないけどもさ、それが私なりの個性だ。

出所

2025-02-10

がたがた昇る学習曲線をスライド10枚で

せっかく「おもしろそう」と何かに興味をもったのに、あるいは必要に迫られて「ちょっとやってみるか」と新しいことを学び始めたというのでも、なかなかものにならないと、やめたくなってしまう。

「なかなか」ならまだしも「早々に」やめたくなってしまうと、つらいし、悲しいし、もったいないし。それが繰り返されると自己嫌悪にも陥りかねない。

こうした状況を回避したり、渦中から救出する術として知っておきたい豆知識が、学習曲線である。

学習曲線とは何か(クリック or タップすると拡大表示)

LearningCurve

学び出して早々やめたくなる理由、その一つに「やったらやった分だけ、伸びるんじゃないの?」「なんで伸びないの?」「わからない」「つらい」「もう止める」という流れが透けてみえる。

これに飲み込まれないためには、そもそも一番最初の「やったらやった分だけ、伸びるんじゃないの?」に立ち入る前に踏みとどまれる知識が役立つのでは、そう考えた。

自分は大丈夫なんだけれど、後輩や部下に新しいことを覚えてもらうとき、なかなか成長がみられず困ることもある。本人もつらそうだし、自分もやきもき。といって気の利いた助言も思い浮かばない、テキトーな励ましの言葉もかけたくない。そんなときにも、この知識は使えるかもしれない。

新人さんが基本的なことを学ぶときに限らず、一通りのことは一人でできるようになったが、そのあと足踏み状態に。いつもやることは同じで、スキルも停滞、ルーチン業務の繰り返しで仕事へのモチベーションも下がっていく日々。そんな界隈にも応用がきく知識の源だ。

ここで紹介するのは、エビングハウスが提唱した学習曲線(ラーニングカーブ)。学習時間が増すほど、経験的効果が上がり、習熟度が増すという右肩上がりの学習曲線を示したわけだが、ここからが本題。というか分解して10枚のスライドに展開してみたというか。あとはリンク先で。

学習曲線をスライド10枚で整理してみた┃SpeakerDeck

自分が打ち合わせの場なんかで、必要に応じて手っ取り早く見せられると話が早いかなぁと思ってこしらえたところ多分にあるスライドなので、時々のシチュエーション次第で言葉足らず or 言葉多すぎなスライドだと思うけれども。その辺は文脈に応じて、使い方や強調点を変えたり、加えたりはしょったりしながら。

なんというかな、最近は「誰々が提唱した、なんとか」がネット上に出回ってはいるのだけれど、そういうのをたくさん知っていることより、一つの意味を深く理解しておいて、自分の現場で使えるシーンに遭遇したら都度思いついて、実際に使いこなして役立てられる、そういう丁寧なつきあい方が大事だよなぁっていう思いがあって。

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