2022-09-29

「Web系キャリア探訪」第43回、「労働」に留まらぬ仕事観を育てるとき

インタビュアを担当しているWeb担当者Forumの連載「Web系キャリア探訪」第43回が公開されました。今回は多摩美を卒業後、メーカーの制作部や広告制作会社を経て1994年に独立。以来、広告、ロゴ、名刺、カタログからWebサイトまで、まるっと提案してまるっと受注するスタイルでやってこられた戦略デザインコンサルタント、アートディレクターのウジトモコさんを取材しました。

離島と東京の二拠点生活をするデザイナー「キャリアを拓くきっかけは、いつもごく身近なところに」

ずっと東京住まいだったウジさんですが、2年前に九州は壱岐島に移住。現在は「東京の案件が9割」というお仕事を手がけつつ島暮らしも堪能中。お写真の海、空、ウジさんの開放感がすごい。「職業人として」に留まらず、「人間として」自分はいかに生きようかというレイヤーでも刺激的。

インタビュー中も終始、力みのない自然体のお話しぶりが印象的で、これまでのキャリア選択にあたっても、その柔軟な舵取りが心に残りました。1994年の独立から、Webがどんどん役割を広げ技術も発展を遂げ専門高度化していく中で、ご自身がWebとどうつきあっていくかという関わり方を適宜見定めて、Web案件を手がけるフォーメーションも変えていっている。

子育て、お子さんの独立といったライフステージ変化にあわせても、ご自身の仕事&生活スタイルを変えてこられていて、こうした変化を自ら舵きって実現していく行動力に感服。よろしければ、ぜひご一読くださいませ。

ウジさん、取材中に「仕事が好き」っておっしゃっていたんですけど、そう思える環境を自分自身で作り出していくスタンスとか具体的なアクションっていうのもすごく大事で、それを体現している方だなぁって思いました。そこが個人的には、一番刺さったなぁ。

いろんな現実の出来事もコンセプトも、その意味づけって最終的に自分の内に入れるときに多様な解釈を自分で与えられるもの。私は「仕事」って今や「労働」に限らず有意義な活動を含むコンセプトに意味を膨らませていると思っているし、そういう前提で「仕事が好き」を増やす活動をしていけたらなって思っている。もちろんそれも絶対じゃない、多様な解釈の一つとして。以前ここに書いた仕事を「労働」「仕事」「活動」に分けてみるも思いだしました。

2022-08-04

Smallx CampのYouTube番組ゲスト出演の舞台裏(資料リンク集も)

Smallx Campと称して月1でライブ配信しているYouTube番組にゲスト出演した。知り合ってから15年くらいになろうかという同世代の面々(お三方と、天の声)がやっている番組で、Information Architecture(IA)界隈に通じるお三方がもやもやすることをフリートークする番組。

最初お声がけいただいたときは腰が引けてしまったのだけど、今回は、前回と同テーマで続きがやりたいとのこと。私も1視聴者として観ていた前回テーマ「70年代生まれはいまどう学んでるの?」を受けて、思うところを聴かせてもらえれば的な話だったので、それならばとお受けすることに。

私は皆さんと同世代の70年代生まれ、かつ「学び」をテーマに仕事してきたという別の立ち位置から、自分なりに話せること共有したいこと意見交換したいことが、考え出すとあれこれあるように思われた。

もちろん「えーい、ままよ!」と手ぶらでフリートークに臨んで自分がまともにしゃべれないことは重々承知している。しかし今回は、前回の動画を読み込んで、自分が何を話したらいいか事前に練っておく猶予がある。

それならばと、話をもらってから今一度、前回のアーカイブ動画を見直し、話を聴きながら自分が思ったことや考えたこと、自分が70年代生まれの同世代にシェアしたいことなど書き出してみた。

そのうちSNS上で今回の告知があり、そこには「~を迎えて、キャリアカウンセラーのご経験から同年代における学ぶ機会についてフリートークします」と案内されている。これはキャリアカウンセラーとして話をする必要がありそうだと心得る。

それなら「もしも私が、前回のもやもや話をキャリアカウンセラーとして相談されたら」という趣向で話したら、わりと聴きやすいかなぁと思いつく。「ドリフ大爆笑」のもしもシリーズでいかりや長介が前口上するときのBGMが脳内に流れる(大好きだったのだ)。

私がどういう頭の動かし方をしながら前回の話を聴いたかを再現して示せば、自分なりに考えたもやもや解消ステップをたたき台として提示するのとあわせて、キャリアカウンセラーとはどんなもんなのかの一例も示すことができるのではないかと。日々キャリアカウンセリングをやっている身ではない私がそれをして、キャリアカウンセラーの印象を損ねてはならないが、そう思われないようにと心がけながら準備にいそしんだ。

そんなわけで、前半に話した「前回の所感」はスライド資料を事前に用意して、当日に臨んだのだった。

で、一昨日の晩に「70年代生まれはこう学ぶ」という前回続編として出番を終えたのだけど、やってみてどうだったかというと、やっぱり話し下手が炸裂した…。

準備したところは「やっぱり、準備しておいてよかったー」ということで、「転ばぬ先の杖」という先人の教えを改めてかみしめた次第なのだけど、これがなかったらどうなっていたことやら。

個人的には、いろいろ関心あるテーマで久しぶりの面々とおしゃべりできて楽しかったが、観てくださった方はちょっと論点とっちらかってしまってお聞き苦しかった方もあろうなとお察しします。率直にフィードバックをくれる友人から、話かみ合っていなかったよねって所感をもらうなど…。

そういう声を受け止めて振り返ってみるに、生きがい(前回取り上げたikigaiフレームワーク)の話と、キャリアの話、職業的な生存戦略っぽい話、大・中・小の話題が混在していて、それを一つのテーブルの上で話し合おうとしているところに無理が生じて、もやもやの晴れようがなかったのかも?

前回の動画で、「ikigaiフレームワークにのっけて話したい議題じゃないのかもね」ってな発言が終盤であがっていたので、今回はそこは(私の中では)スコープからはずして、もう少し実務的な話題にスコープや論点をしぼることで、個別具体的な面と共通話題をいい塩梅で両立したトーク展開が実現できないかと思っていたのだけど、やってみると今回も後半に「生きがい」の話題があがってきたから、やっぱり三者三様に話したいフィールドがあり、それがいくらか共通していて、いくらかずれているというもやりもあるのかもしれない、と思ったり思わなかったり。

だからこそ刺激を交換できるところもあるし、それをどこまで観ている方が許容するかも人それぞれだと思うのだけど。そういうことこみこみでもやもやトークを楽しんでいるというのに、真面目くさった考察をだらだら述べているんじゃないよと叱られそうなので、それはまぁ一人反省会にて。私は私で、そういう性分なのと、そういう企てや構成を生業ともしているので致し方なかったりするのである。

ともかく、おしゃべりに参加させてもらえてありがたかったなぁという心のうちであります。

あと、動画を観てくれて、話がいまいち噛み合ってなかったような…と率直なフィードバックをくれる友よ!おかげで私は地に足つけて健全に生きていけます。本当にありがたい。

やっぱりアウトプットして(そうするために、いろいろ下準備でインプットもして)、アウトプットに対して手厳しかったり温かかったり(こっちもないとやっていけない…)のフィードバックをもらって、それを正面から受け止めて自分で内省して、評価したり教訓を得たり、次に活かしてってすることこそ尊い、経験学習モデルですな。貴重な機会を、ありがとうございました。


画面表示したスライド資料のご案内

Smallx Campさんでご用意くださったスペースに、PDFファイルを置かせてもらっています。

画面で表示したスライド資料(リンク)

話しながら図示したスライドを1ファイルにまとめてあるだけなので、表紙も章区切りもなく、ファイル単体で見ても非常に分かりづらい状態なのですが、動画とあわせて手元で確認したいスライドがありましたら、ご活用ください。

▼1~6ページ目
「もしも私が、前回のもやもや話をキャリアカウンセラーとして相談されたら」私はこんなふうに話を聴いて展開を模索するかなぁという頭の中の動きを、時間の流れにそって並べていった6スライド。
実際のキャリアカウンセリングだと、ご本人を前にリアルタイムでやりとりして1対1で話を聴いては道筋を一緒に探りあっていくと思うので、こんな強引に6ページまで話を進めちゃったりしないだろうけれど、今回はそうしちゃうと展開例が具体的に示せないので割り切って強引に。

▼7~11ページ目
当日、まだ話していないスライドあるんじゃない?と和田さんにふられて後から紹介した5スライド。昔ブログに書いた話とかSlideshareに公開したスライドとかから、今回同世代の皆さんにシェアしたいと思って見繕ったもの。


スライド資料の元となるブログやスライドへのリンク

▼7ページ目:熟達度別の学習アプローチ
ブログ(2019/11/2)「仕事は経験でしか学べない」と言いつつ、教える側にまわると講義に終始しちゃう問題で紹介

▼8ページ目:成人の学びの70%は「直接経験」から得られる
Slideshare改めSpeakerdeck(2015/12/17)効果が出る「仕事の教え方」P9で紹介

▼9ページ目:コルブの経験学習モデル
ブログ(2014/6/30)「学びの後の学びサイクル」で紹介

▼10-11ページ目:加齢に伴って低下しやすい能力、維持されやすい能力/20歳以上を対象にした「知能の加齢変化」研究
ブログ(2020/1/31)中高年になっても衰えない「知能」の話で紹介

2022-07-28

「Web系キャリア探訪」第42回、使い慣れた言葉をいったん解体してみる

インタビュアを担当しているWeb担当者Forumの連載「Web系キャリア探訪」第42回が公開されました。今回は日経新聞社、テレビ東京を経て、テレビ番組無料配信サービス「TVer」の立ち上げに参画、現在はTVerの取締役COOとして事業を率いる蜷川新治郎さんを取材しました。

「裁量ある仕事が断然おもしろい」 TVer設立メンバーの仕事観

日経新聞社→テレビ東京→TVerという遍歴に、メディア業界にお詳しい方だと、出向とか転籍とかで流れ流れて今に至るキャリア?と思う方もあるかもしれませんが、詳しく聴きこんでいくと、ご本人が「不退転の決意」をもって転職したというお話も。

どのような体験を通して、蜷川さんが新卒時のシステムエンジニア職から、次代のテレビ業界のサービス・事業づくりに仕事の軸足を変え、ご自身のフィールドを広げてこられたのか。折々でどういう選択をしてこられたのか、大変聴きごたえがありました。

また「テレビ」という言葉が意味していた従来の概念が解体されていく中で、次代につなぐべき「テレビ」の本質的な価値って何なのか。そういうことをテレビ業界の内外を股にかけて「客観的かつ主体的に」関わりながら、あるべき姿を言葉に起こして、周囲を巻き込み、事業を推進していく力強さと真摯さには胸を打たれます。

やっぱりこういう数十年がかりの変革期とか移行期とか呼ばれる時期って、従来使われてきたコンセプトワードをいったん解体して、次代にあう枠組みを模索したり組み立てなおす人の営みが、すごく大事だなって思います(数十年で何かに移行して、どこかに着地するのかわからないで書いていますが…)。

テレビに限らず、家庭や仕事といった言葉も、いろんな人が、それが指す意味解釈ちぐはぐなまま、相手の文脈を汲んでかみ合わせようと心をくだくこともなく、それぞれ言いたい意見をぶつけて物別れに終わっているさまに遭遇することも少なくなく…。言葉を、こちらの思いをあちらに届ける道具として使えていないもどかしさを覚えることがままあって。使い慣れた言葉をいったん解体してみる必要性を身にしみて感じる日々。

だからこそ、こうやって蜷川さんが丹念に、自分が身を置く業界の前線に立って、現実世界がどう変化していて、どこに次代の機会があるのか見据えて、テレビというものをいったん解体して捉え直して、価値の再定義を試みて、素案を起こして見える化し、幅広いステークホルダーと認識を合わせて、具体的な事業やサービス作りに取り組み続けている姿には、深い敬服の念を抱きます。

あと、やっぱり仕事を面白いって思っている大人の人たちには、今こそ大声で、若い人たち、これから社会に出て仕事をするという人たちに、自分は仕事を楽しんでるよって率直に届けてほしくて、そういう意味でも今回の記事を読者の方々と共有できることを、とても嬉しく思っています。よろしければ、お時間あるときに、ぜひご一読くださいませ。

2022-07-07

高校生にキャリア「話のまくら」ばなし

昨年の夏は、縁あって大学の授業でキャリアデザインの話をした。それは事前収録して編集したものを動画配信する形式だったが、後に視聴してくれた数百人に及ぶ学生たちのアンケートの声をもらい、あぁ自分が伝えたかったことを受け取ってくれたんだな、それを刺激にしてそれぞれに自分のキャリアについて考えるところをもってくれたんだなと、ありがたく読んだ。

その中で一番笑ったのは、私のことを「森先生」と書いているコメントだったが(私は「林」だが、一つ「木」を盛ってくれたようだ)、一番印象に残っているのは「自分は社会に出たらバリバリ働きたいと思っているので」というコメントだ。この実在が、ずっと胸に刻まれて1年が経った。

そして今夏、別の方面からご縁をいただいて、今度は高校生向けにリアルタイムのオンライン授業で話すこととなった。進学塾の特別プログラムで、受講を選択した高校生(と中学生)が参加している。私は6回目の授業、「テクノロジ時代の働き方、キャリアの作り方」というお題をもらった。平日の晩、2時間の枠だ。

骨となる部分は、昨年大学生に話した「キャリアデザインを始める前に知っておくと良さそうなこと」と共通シナリオで依頼主の意向に沿いそうだったので引き受けたのだが、いざ日が迫って準備に取りかかると「今回の高校生に向けて」「いま私が伝えたいこと」というのがむくむく湧き上がってきて、全体をどう構成立てるか、どういう言葉で伝えるか、どういう例示なら最も伝わるだろうか、何を考えてもらう問いが意味をもつか、それに対してどういうフィードバックをしたら本当に伝えたい核心を腹落ちしてもらえるだろうかと四苦八苦。数週間前から週末は準備に明け暮れることとなった。

でも、なんか良い時間だったな。一人でうんうんうなった準備時間も、もちろん当日みんなとご一緒できた時間も。画面越しとはいえ、やっぱりリアルタイムで交流できるのは格別のものがあるし。事後に今回もアンケートの声を読ませてもらったけれど、私が伝えようとしていたことを汲み取ってくれ、また真正面から受けとめて自分のキャリアについて考えてくれているコメントに触れて、ありがたいなぁと思った。

昨年に大学生向けに話したときから私がとみに関心を強めているのは、「社会に出たらバリバリ働きたいと思っている」若者に対して、今の社会は健全だろうかという点なのだけど、それについて私が考えていることも、今回高校生に、私は今こんなふうに考えていてっていうのを「話のまくら」で共有してみた。

こういう社会動向がデータから読み取れて、私は現状をこう捉えていて、社会が混沌としているというのは例えばこういうことに現れていて、大人はこんなふうに今まさに頭を悩まして試行錯誤しているという現在進行形の実態レポートを、不完全な社会の一例としてお話しする試みをしたかった。

自分の直観に任せて、「今回はこれを話に盛り込みたい」と思うことを、まずは最初にわーっと書き出してみるって、大事だなって改めて思った。少なくとも自分の性に合ったアプローチだなと。

その後で、肉づけしたり省いたり言い換えたりして精度を高めていくプロセスはもちろん必要なんだけど、最初の直観シナリオの素描には、自分の強い思いとか信念とか問題意識とか、話し手のエネルギーの塊が入っていて、それは後の整然とした本論とも、おのずと連関してくるものなんだよな。

それを練りあげてブラッシュアップしていく過程で、「話のまくら」と「本論」はぐっと連関性を深めていくというか、もともと深いところで通底していることに自分が気づいていくというか。結局、自分がまくらで伝えたいことと、本論で伝えたいことって、密接につながっているものなのだった。

それを、まくらでは「今リアルタイムで起きている具体的な現象・動向・問題」で示し、本論では「俯瞰的、理論的、抽象的なコンセプト」に言い換えて繰り返す。そうすると、その反復的な伝え方によって、受け取る側にも本質理解が促されるし、心に届きやすくなる、そういう流れに(勝手に)落ち着くようになっているというか。

まぁ実際にやった話し手としてのパフォーマンスはそんな立派なものじゃなかったんだけど、いったん直観を頼りに描ききってみるっていうのは、やっぱり大事だなぁと認識新たにする機会ともなった。本当にちょっとした袖の触れ合いという時間ではあったけれど、ありがたいご縁に感謝している。

2022-06-30

「Web系キャリア探訪」第41回、表層的なラベル付けに抗い

インタビュアを担当しているWeb担当者Forumの連載「Web系キャリア探訪」第41回が公開されました。今回はロレアルやAmazonなど名だたる外資系企業でデジタルに留まらぬマーケティング業務を手がけた後に独立、現在はさまざまな企業、ブランドのマーケティング変革に邁進する宮野淳子さんを取材しました。

少ない予算で「シェアNo.1を取れ!」上司の無茶ぶりでも楽しむ仕事術から身についたコト

いやぁとにかく、表面的に彼女のキャリアパスをなぞると、まず華々しい経歴が単語、単語で目に入ってきて圧倒されてしまうのですが、「留学から院卒、ヘッドハンティングにあって外資系企業を渡り歩き、のちに独立して現在はコンサルタントとして活躍」みたいな一行でもって読まれないようにしたいという思いが、取材後に強く残る魅力的な方でした。

今回も直接にはお目にかかれずオンライン取材だったのですが、画面ごしにも彼女の、明るく率直でパワフルなオーラは伝わってきて、この私が受け取っている芯あるものをそのまま、この記事を読んでくださる方にもシェアできたらなと思いつつ、「二人の帰り道」の文章をしたためたように振り返ります。森田さんが終わりに書かれている「愚直さ」という言葉にも、まさに、そうだなぁと思い、そういうものをこそシェアできたらなって思っています。

まぁでも、それは私の天邪鬼(あまのじゃく)がじゃましただけかも。最近、何かわかりやすく人目を引くキーワードでもってぱぱっとタグづけされた情報が流通し、消費され、そのまま何にも実を結ばず立ち消えていく感じを(勝手に)覚えることが少なくなくて。

「これは、なんだ?」というせっかくの創発的な問いに対して、一言キャッチーなラベルをぺたりと付けたら、もう答えを出せた気分になってしまって、片がついて一件落着、そのまま思考停止になってしまう感じ。その後には何も残っていなくて、何の変化も起きていなくて、誰にも何も引き継がれていなくて、そこに違和感すら生じていない。

そういう風景に戸惑って、そうやって立ち消えていくものに抗いたくて、その反動がここで出てしまったのかもしれない。私こそ無自覚にそんなことをしでかしていたんじゃないかと自分つっこみ…。

閑話休題。気持ちをほぐして改めて考えれば、女性マーケッターのキャリア、世界を股にかけてバリバリ働きたい人、マーケティング経験をバッググラウンドに事業・経営の中核を担っていきたい人、そういう方たちにももちろん、どまん中でロールモデルとして活かしてもらえる刺激・エッセンスが詰まっていると思います。よろしければ、お時間のあるときに、ぜひ読んでみてくださいませ。

2022-05-26

「Web系キャリア探訪」第40回、プロティアン・キャリアの真っ芯

インタビュアを担当しているWeb担当者Forumの連載「Web系キャリア探訪」第40回が公開されました。今回はディレクター、プロデューサー、営業、IA、UXデザイナー、データアナリストと、市場の成熟に呼応して自身の職種を七変化してこられた野口竜司さんを取材しました。

「日本でトップ5になれることをやる」今はAI専門家になった男の“変幻自在なキャリア”

現在は「AIの社会実装」をキャリアの軸にすえて活動中。ZOZOのAI推進など手がけた後、2022年4月からはELYZA(イライザ)という東京大学の松尾研究室出身メンバーが立ち上げたAIスタートアップに取締役CMOとして参画。

就業形態とか職種・職階といった肩書きは二の次で、自分が実現したいコンセプトを打ち立てて、何は誰と組んでどうやって実現するか、そうした構想に基づいて自分のキャリアをもプランニングし、自ら働きかけて人間関係を築いては職務環境を作り出し、自分の役どころを柔軟にマネジメントしているようにお見受けしました。

こういうキャリアの歩み方をされている方には、良い刺激になったり参考になる部分もあるかなと。また、そんなふうにキャリアを歩みたいという方には、テーマはAIならずとも手本になるエッセンスもいろいろあるかもしれません。

あと、自分が主戦場として学習・仕事してきた経験一つひとつを「断片」として、学習教材やカリキュラムとして編集し、これから学ぶ人に渡していくというサイクルを回し続けているIA的立ち回りも根づいていて、これまたすごいなぁと脱帽。ぜひお時間よろしいときに、ご一読いただければ幸いです。

2022-04-28

「Web系キャリア探訪」第39回、語られがたい光

インタビュアを担当しているWeb担当者Forumの連載「Web系キャリア探訪」第39回が公開されました。今回はSBテクノロジーでWebフォントサービス「FONTPLUS」を手がけ、エバンジェリスト(またの名を「フォントおじさん」)としても知られる関口浩之さん(の裏の顔?というか、今日に至るまでの分厚いキャリア)を取材しました。

「50歳を過ぎたら知見の伝承を」Web黎明期を支えた“フォントおじさん”が長年働いて気づいたこと

関口さんの講演を以前に拝聴したことがあって、私のような門外漢でも、お話を聴く数十分のうちに「フォント」への関心がぐいっと引き上げられるのを感じて、これがエヴァンジェリストの手腕かぁと感心してしまったのが数年前のこと。

表層的なプレゼンの巧さっていうのではなくて、ほんと(あ、ダジャレじゃなくて)フォントへの造詣が深くて、一つひとつの書体の個性にも通じていて、それぞれを愛情豊かに紹介する雄弁さも人並みはずれていて。

その一方、私たち聴衆に向ける表情は好奇心旺盛な少年そのもの、ずっとにこやか&なごやかで、会場中みんなが快く関口さんの語りに巻き込まれていく舞台パフォーマンスには、ものすごいインパクトがありました。

そのイベントの懇親会で少し立ち話をさせていただいたのですが、当時は定年を間近に控えていらした時期だったかな、それまでの激動のキャリアにも話がおよび、ぜひゆっくりお話をうかがえたらなぁと思っていた方だったのです。そんなわけで、この度そのものずばりキャリアについて取材させていただく縁に恵まれて、記事としてシェアできることを大変うれしく思っています。

あれから数年が経ち、現在はすでに定年を迎えられて、SBテクノロジーには嘱託社員という契約に切り替えてお仕事されていますが、今も超ご活躍。SBテクノロジー在籍27年をひも解き、1995年からビジネスプロデューサーとして数々の新規事業を立ち上げ、今に至るまでのキャリア変遷をうかがいました。

記事内の「二人の帰り道」にも書いたように、旺盛な好奇心が底力として働いてきたのであろうなぁと強く思う次第なのですが、そうした少年の魂と同居するようにして関口さんに一貫して感じられるのは、人・こと・ものに真摯に向き合う姿、それをすごく大事にしていること。

その心持ちが、関口さんの包容力、にとどまらず、深い洞察力や、多方面への目配せ力、いろんな人を巻き込んだり巻き込まれたりする中での事業推進力やチーム統率力、関わる人・こと・ものの全部を有機的につないで事業を軌道にのせていく、もう一つの底力としてずっと働いてきたのだろうことが察せられました。

関口さんも記事内で、専門職へのコンプレックスがあったと言及されていますが、上に書いたような働きというのはなかなか具体的な言葉が追いつかなくて、周囲もそこに専門性を見出して褒めたり評価したりというのが、その場で直接的には難しかったりする。

けれど関口さんだからこそ場面場面で人から引き出せたこと、目配せできたこと、あって気づいたけど口にせず相手を信じて待ったこと、誰かの訴えを咀嚼して別の誰かに翻訳してうまく伝えられたこと、一見つながらない何かと何かを結びつけて発想できたこと、リスクを前もって回避できたこと、いろんな壁を乗り越えて前進させられたことが、これまでにたくさんたくさんあったんだろうなって思うのでした。関口さんがそこにいなければ、そうは成らなかったということが。

結局私も「なんとなく、そう思いました」にとどまっているのが、まったく力不足なわけですが…。でも、誰に認められるか、どれだけ多くの人に認められるかって話とは別に、「こういう役割を果たせた」って自分で自分を認められるキャリアの満たされ方もあるんじゃないかって思っていて、そういう充実感を関口さんの笑顔に覚え、勝手に受け止めながらお話をうかがいました。

いろんな世代、いろんな職種の方に、何か思ったり思い出したり、考えたり感じたりするきっかけをお届けできるんじゃないかなと願っています。自分がごきげんに仕事を楽しめるように、深い自己理解のもとにキャリアを舵取りしてこられた軌跡も読みごたえあり。ぜひお時間よろしいときに、ご一読いただければ幸いです。

2022-03-31

「Web系キャリア探訪」第38回、文化人類学とUXリサーチをつなぐふらっと

インタビュアを担当しているWeb担当者Forum連載「Web系キャリア探訪」第38回が公開されました。今回は大学で文化人類学を専攻し、リクルートを経て、現在はメルペイで活躍するUXリサーチャーの松薗美帆さんを取材しました。

「リサーチは思ったより深い沼だった!」ストイックに学び続けるメルペイUXリサーチャーのキャリア観

今のところデジタルプロダクトのUXリサーチ業務を手がけている実務家の中で、もともと大学で文化人類学を専攻していたという方は、まだ希少ではないかなと推測。松薗さんも就活していた時には「UXリサーチ」という仕事領域があることを認識していなかったそう。

「文化人類学とUXリサーチ」のように、実は深いつながりをもつんだけど、今の自分の中では点と点がつながっていないコンセプトをぱっと結びつけてくれるのって、ふらっと訪れる機会、周囲の人の一言だったりしますよね。自分の内から生まれるというより。

ある外的なきっかけによって、自分の内にあるバックグラウンドと、外にある新しいものが「ぱっ」とつながって、「はっ」とすることがあるなって思うんです。それを活かすも流すもあなた次第ってところ含めてキャリアを歩む醍醐味かなとも。

松薗さんのお話からは、そういう機会をオープンな眼差しで受け入れて、自分のキャリアの可能性をぐんぐん広げて舵取りしていく様子が存分に感じられました。

キャリア論として「キャリアはデザインすればするほどいいわけじゃなくて、一旦大まかに定めたら、そこでキャリアドリフト(漂流)の期間をもってしっかり目の前の仕事・役割を果たす中で経験・能力をものにしていく」重要性が説かれますが、松薗さんのキャリアはそれを地で行く。

今自分がいる場所、役割、立ち位置、周囲との関係性の中で「今の自分ができること」を導き出して、着実に成果を出して組織に貢献し、人の信頼を得て、次のステップを手繰り寄せていく丁寧で誠実な仕事ぶりも、キャリアの初期からうかがえて脱帽。

それからまた「リサーチ1本、これの専門家」というのではなく「リサーチの軸を持ちつつ、事業をリードするキャリア」を目指したいというふうに、自身の役どころを別に立てているところにも、ご自分の志しや心模様をこまやかに汲んでいる感じがうかがえて素敵でした。

本業を務めながら、本を執筆する、大学院に通う、大学の非常勤講師を務めるなど、様々な活動を並行して展開する様子も、今どんどん遭遇機会が増えている「本業一本ではない働き方、社会とのつながり方」を模索する方の刺激になるかも。ご興味ある方は、ぜひお時間のあるときに読んでみてくださいませ。

2022-02-24

「Web系キャリア探訪」第37回、バリバリ働きたい人の実現法もやり

インタビュアを担当しているWeb担当者Forum連載「Web系キャリア探訪」第37回が公開されました。今回はDMMで50を超える事業のマーケティングを横断的に手がける武井慎吾さんを取材しました。

転職を重ねた“Mr.ジョブチェンジ”、DMMに見出した「おもちゃ箱」のような魅力とは!?

工業高校で電気・機械を学んだ武井さんは、新卒で機械メーカーに就職、メカニックエンジニアとして働きだすも程なく退職。その後、片手では足りない数の会社を転々として、自分のキャリアをオリジナルに育んでいきます。

「やってみないとわからないから、やってみよう」というシンプルな行動指針で、実際に行動してきた武井さんのキャリア変遷には、とりわけ「やる前から情報に埋もれて行動停止」してしまいがちな昨今、頭でっかちになっている自分に問いを投げかけ、身を軽くしてくれるお話だったなと思います。

とにかくフットワークが軽く、バイタリティがあって、自身で仕掛けたチャレンジを、方々で着実にモノにしていく。その経験を無駄なく肥やしにして自分ができることを増やし、動けるフィールドを広げ、自分がやりたいことをさらに鮮明にして、それが実現できそうな場所に身を移して新たなチャレンジを仕掛ける。現職の、言わばカオスな環境を「おもちゃ箱」と見立てて存分に楽しむ姿は、実に清々しい。

「過去の/自分の育て方」と「今の/部下の育て方」を分けて、より確度の高い部下の育成法について語ってくれた話も、経験に裏打ちされたお話でありがたかった。ご興味ある方は、ぜひお時間のあるときに読んでみてくださいませ。

そして、ごくごく個人的な編集後記的にネットの片隅でメモりたいのは、「バリバリ働きたい」という今の若者が「働きにくい」と不自由を感じないよう、バランスをとっていきたいんだよなぁという考えごと。

以前、大学生にキャリア講話をする機会があって、その後のアンケートに「自分は社会に出たらバリバリ仕事したいと思っていて」って書いてくれた学生さんがいた。そりゃ、そうだ。ワークライフバランスに向かう今の時代であれ、「24時間戦えますか」なバブル期であれ、バリバリ仕事したい若者もいれば、仕事ほどほどにプライベートを重視したい若者も社会に出てくる。仕事を始めてみたら、その価値観に変化を覚える人だっているし、ライフステージによって同じ人の中でも優先順位が変わるのが人の常だ。

今はどちらかというと、過重労働にならないよう社会で改善活動を進めている最中って感じだけど(そして、それ自体を否定する気はないけれど)、度を越して社会の縛りをきつくして、バリバリ働きたい若者が「バリバリ働けない」不自由を強いる環境を構築するのも、なんか、それはそれでバランス悪いんだよなって思ったりしてしまう。

AかBの行ったり来たりじゃなくて、1つ高い次元に引き上げて止揚したCを創り出すのが人間の知性。AもBも、その人の希望やライフステージによって選べる選択肢を用意する社会を目指すほうが健全な気がするんだけれども。まだもんやりしすぎていて、今それ以上語るな、もっと考えてからものを言えと言われれば、そうですねとしか返しようのないところで空を見上げている。

1社に就職して、そこだけで「バリバリ仕事」を実現するのは社会制度的に無理が来るとしたら、今後はそういう人たちの選択が「本業と副業」とか「本業とボランティア」とか、あるいは会社員ではなく雇用する側に立つこととするのか。そういう選択を、本人が自らすれば実現しうる社会制度が充実していくことになるのか。もんやり考える。もんやりすぎる。

2022-01-27

「Web系キャリア探訪」第36回、自分の興味って何よりの源泉

インタビュアを担当しているWeb担当者Forum連載「Web系キャリア探訪」第36回が公開されました。今回は不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME'S」をはじめ、さまざまな生活関連サービスで事業を多角化するLIFULL(ライフル)の小川美樹子さんを取材しました。

コーダーからUXリサーチャーへ! 興味あることを追求して築き上げたキャリア

小川さんとは「CSS Nite」というWeb制作者向けイベントが立ち上がった2000年代後半から面識はあって、セミナーや懇親会の会場などで顔を合わせていたのですが、きちんとお話を伺うのは今回が初めて。気がつけば、最初にお目にかかったときから10数年の年月が…。

記事内でインタビュアの森田雄さんが解説くださっているとおり、1990年代から2000年代にかけてHTMLやCSS、Adobeのグラフィックツールなど使ってWeb制作の仕事を始めた人は、これまでの道中で「今後あなたは、どこ専門で極めていくんですか?」っていうキャリア選択の分岐点があった方、多いと思うんですよね。

Webまわりの市場発展、制作技術の専門高度化、業務の複雑化、職種の専門分化とあれやこれやの変化にもまれて、そのままの職能を発揮しているだけでは、このさき自分の労働市場価値を維持できない壁が立ちはだかってきたというか。

JavaScriptに抵抗がない人は、フロントエンドエンジニアとして実装力を高めていく。一方で、どうにもそっち方面は肌に合わないという人は、別の路線にシフトチェンジを余儀なくされたりして。

グラフィックデザイン出自の人は、それを足場にしてWebサイトやスマホアプリのUIデザインを極めていったりとか。紙もWebも媒体特性を使い分けてビジュアルデザインできるところを強みにしていくとか。

あるいは、文章を中心としたコンテンツ作りを極めていくと、Web媒体のライターというのもあったり。情報を構造的に扱うというのだと、インフォメーション・アーキテクト(IA)に進む人も。

またマーケティング、ビジネス寄りに軸足を移す人もいれば、アクセス解析を極めてデータの扱いに長けたアナリスト、データサイエンティストに転じる人もいたのかな。

新しい技術、潮流を取り込んで仕事化する技術者な人だと動画編集とかもあるかと、とにかくいろいろな展開を見せている感じ。

そして小川さんが関心をもって追求したように、ユーザビリティ、HCD、UXデザインの方向に向かった人も少なくない。

小川さんのキャリア話をうかがうと、就職してからここ20年とかで起きた技術進化、Web制作まわりの労働市場の変化、そして自分自身の関心の変化や広がりを、見て見ぬふりすることなく都度、正面から丁寧に受け止めて適応してこられた様子がうかがえます。力みなくお話しされる中には、彼女の着実さと大胆さ、自主性と受容性が健やかにバランスされている感じがして、大変聴きごたえがありました。

時と場合によって、転職を選ぶこともあれば、今の組織の中で自分の役立てどころを模索して自ら作り出していく選択もしてこられた。事業ステージに応じて、いま自分がどう組織に貢献できるか、それは自分の関心事とどう結びつけることができるか、主体的に問いを立てて、組織と良い関係をつむぎながら仕事に向き合ってこられているんですよね。

組織の中での自分の役割や仕事内容を、組織がこしらえた枠組みありきではなくて、自分で思案して、上司や周囲と相談しながら作り出していく。組織内にとどまらず、社外も含めて活動を広げ、経験を積んでいっている。それを地で行っている感じが素敵だなぁと思いました。

「自分の興味の向くところ」って、大事な自分のキャリアの道先案内人になる。自分の中に芽生えてきた関心ごとを、適当に扱っちゃもったいないな、それを育てて役立てたいなら、注意をもって拾い上げて、実務で活かせるレベルまで自分で引き上げていく活動に出るべきだよな、そうしたらきっと楽しいよなって、シンプルに背中を押してくれるようなお話です。私もそろそろ元気を取り戻さねば。ぜひお時間の良いときに、読んでみてくださいませ。

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