河鍋暁斎の作品展を観てきた
六本木のミッドタウン内にあるサントリー美術館で、河鍋暁斎(かわなべきょうさい)の作品展を観てきた。絵画鑑賞などド素人なのに、物語世界を楽しむような鑑賞体験で、とても楽しかった。幕末・明治期の絵師で、当時の風俗がユーモラスに描かれていて、風刺がきいていてコミカル味たっぷり。
当時流行したイベント「書画会」に来て、美術品と知識をひけらかしている文化人気取りの人々の鼻を全部天狗にしている「天狗たちの書画展観会」だとか。鬼が、湯気あがる徳利を背にして真剣に鰹をさばいている「酒のツマミに鰹を準備する鬼」だとか。
掛け軸「五聖奏楽図(ごせいそうがくず)」の異色コラボも目をひいた。十字架の上に、扇と神楽鈴を手に持った「キリスト」。その真下に「釈迦」がいて三味線を、その左横では「老子」が笛を吹き、いちばん手前で「孔子」が鼓をうっている。こういう一枚絵が成立できるんだなぁと、しばし掛け軸を見つめていた。
絵の種類もいろいろで、じっくり描きこんだ掛軸、巻物、屏風から、イベント会場で即興的に描かれたらしい扇まで様々。即興上手だったので、たいそう人気者だったらしい。
酒飲みで、調子に乗って描いた絵が見咎められて逮捕、投獄されたりしている...。翌年放免後も活躍。
一枚の絵の中に、何十人もの登場人物(蛙や猫、鬼や神様のものも)を描きこんだ作品も楽しく、一人として同じ感じの人がいない、誰に注目しても個性や性格が透けて見えるのがすごい。
それを通じて、暁斎が筆をもって描いていた時間へワープするような引力がはたらく。あぁ、こんなふうに人物をみて、こんなふうに激変の時代を観て、こんなふうに皆でわいわいやりながら暮らしていたんだと。素人にもそんな作用を及ぼすなんて、おもしろいなぁと思った。
構図で物語が浮かび上がり、登場キャラクターで個性と愛嬌が湧き出て、描線や色彩によって世界が確かなものとして観る側の脳内に受け取られる感じ。
圧倒的な画力をもってこそ、自由自在に描くことを楽しんでいる感じがうらやましくもあった。文章でも絵でもいい、そういう表現力を「自分はこれだな」と何かしらがっちり基礎力で持っているのって、やっぱりなぁ、いいよなぁ、やっぱり訓練かーと思う。
* ゴールドマン コレクション 河鍋暁斎の世界(サントリー美術館)
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