プチ講義「前回のメタ振り返り」のススメ
議論がどうも決着しない。決して意見が出ないわけではないのだが、みんなの発言をうまく秩序立てて整理し、次に展開させたり、決着をつけたりすることが難しい。そういう現場に入ってサポート役を果たすに際して、これはやって良かったなという介入策をシェアしたい。ちょっとしたことなのだが、どこかの現場の一助になれば。
私がしたのは、まず、その現場の話し合いに入って、ファシリテーター的にあれこれ質問を投げては話を聞きこむ(もちろん下準備して臨んでいる)。なるほど、そういうところで話が詰まってしまうのだなというのを感じ取りつつ、「それはこう考えてみたらどうか」「おぉ、それでいけそう?」というので、じゃんじゃか壁を突破していって、とにかく議論を前に進めていく(という壁突破の体験を皆さんにしてもらう)。
だいたい落としどころが見えたところで、「じゃあ今日の皆さんの話を踏まえて、こちらでプロジェクト計画書のたたき台を作って、翌週のミーティング前にファイルを共有するので、それをもって次のミーティングで計画書のフィードバックをください」といって解散する。
翌週、事前に共有したプロジェクト計画書のたたき台をベースに、「先週の皆さんの話を踏まえて、こういうプロジェクトとして動かしてみたらどうかと考えてみたのだけど、どうでしょうか」と、一通りのプランと、そう落としこんだ意図を丁寧に説明する。みんなから意見や不安、懸念点などじゃんじゃん挙げてもらってチューニングをかける。
「おぉ、なんか、いい感じにプロジェクトを始動できそうじゃない?」となって次の展開が定まったところで、解散する前に一つ「前回の振り返り」コーナーを設ける。時間にして3分もないプチ講義。1週前にみんなで話したのが、今日ここまで落とし込めた。その前進できた感覚と、議論が着地した足場の安定感をもって、前回のことも快く振り返りやすい。
前ふりが長くなったが、ここからが本題である。
前回の会議では、まずみんなの「気がかりなこと」をいろいろ挙げてもらった。そう言って、まず最初のシーンをスライドを見せて振り返る。1週前のことなので、あれは誰々さんが挙げた件、あれは自分の発言だと、みんなの記憶も鮮明で「超自分ごと」で入ってくる。
(以下スライド画像は、クリックすると拡大表示)
ここで、私なりの(前回の会議の観察を踏まえた)仮説を述べる。「たぶん、これまで議論が平行線に終わってしまったり堂々巡りになってしまって、その自覚はあるのに脱出方法がわからないで困っていたというのは、この1つ目のところで話が終わってしまっていたからじゃないか?と。
だから、ここでダメだと思わずに、「じゃあ、どうしたら?」という問いを立ててみるのを意識的にやると、突破できるのでは?そうやって皆が現場にいた「前回の会議」をネタにして、実務スキル的な側面にフォーカスして、何が壁になっていて、どう突破したらいいかを提案する。
「なるほど」と腑に落ちた様子を示したら、前回みんなで体験した「その先、どう話が展開していったか」を構造だてて振り返っていく。前回の話し合いでは、みんなから挙がった気がかりに対して「こうしたらできるんじゃないか」って現実的な結論を、一つひとつ出していった。それを「挙がった気がかり」と「出した現実的結論」を対応づけて確認していく。
その後、それを実際にやっていくには?って考えると、「全部を一気にやるのは無理」「直近のプロジェクトでは、こういうことを重視したい」「この順でやったほうが能率的、これは後」って、必然的にプロジェクトの焦点や範囲、ちょうどいいサイズ感、手をつける順序が見えてくる。そうすると、今回落とし込んだようなプロジェクト計画の骨子というのが、自ずと立ち上がってくる。
こんな感じで、前回の会議が、時系列でみて、どう展開し、構造的に枠組みすると、どういう展開だったかを1枚スライドで見せる。
つまり、ファシリテーター(私)の脳内でどう観察され、秩序立てられ、会議時間が進行され、今日のプロジェクト計画書に落とし込まれたかを、大きな流れとして見直し、掴み直してもらう。このメタ的おさらい時間を仕込むのは、なかなか学習に効果的ではないかと思った。
私は別に、ファシリテーションのプロでもないし、マネージャーやプロジェクトリーダーとして敏腕なわけでもない。だから「手本を示す」というより「サンプルを示して参照させる」「自分の視点と対照化させるための材料を提供する」くらいしかできないけれど、これでも反応が良かったので、もっと敏腕の主が、こういう「前回のメタ振り返り」をプチ講義すれば、もっと効果的な学習機会になるのではないかと夢みる。
演繹的に学ぶ教材に取り囲まれた現代において、現場で帰納的に学ぶ教材・学習機会が相対的に乏しく、頭でっかちになって足踏みしている若者に触れ合うことが少なくない。ここを突破する手を差し伸べられるのは、個別具体の文脈を共有する、われら名もなき現場の先輩たちじゃないかと思う。上のは一例にすぎないけれど、現場の「効く」人材育成施策を発想する一助なり手がかりになれば幸いなのだった。




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