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2026-02-28

本を読むとき、スマホをどこに置くか問題

スマホを「机の上に置いた状態」と「カバンの中にしまった状態」で、明らかに自分の読書持続時間が違うのは薄々気づいていたし、それ系の記事を読んだ記憶も今思えばあった気もする(が定かでない)。それが、まさに今自分の読んでいる本にそのことが書いてあったので、遅まきながら意識的に「スマホをカバンにしまって読書」してみたらば没頭しているうちに90分。「ほ、ほんまや!」とびっくりした。

書きものや作りものをしていてあっという間に時間が過ぎていることはあっても、読書に没頭していて気づいたら90分間経過というのは、はて私の人生にそんなことがあったろうか…と遠い目になってしまうほど過去に例が見当たらなかった。人体マジックショー。

「自分のスマホをどこに置いて」課題に取り組むかで、課題の成績に差がつくかどうかを調べた実験。調べてみると、2017年に米テキサス大学の心理学者エイドリアン・ウォード氏の研究チームが発表している。

1)実験内容

520人の大学生(スマートフォンユーザー)に「深く集中しないとクリアできない課題」を与えて取り組んでもらう。その際、「自分のスマホをどこに置いて」課題に取り組むかで、被験者を3グループに分けた。

Aグループ:画面のほうを下にして机の上に置く
Bグループ:ポケットかバッグの中にしまっておく
Cグループ:別の部屋に置いておく

ざっくり図にすると、こんな感じだ(クリックすると拡大表示する)。

Braindrain_q

つまり、Aは、自分の近くで視界に入る所に。Bは、自分の近くだが視界に入らない所に。Cは、自分の手の届かない遠くに置いた状態。どのグループも、サイレントモードに設定しておくよう指示を与えてある。

さて、集中しないとクリアできない課題を与えてやってもらって、3グループに成績差がつくかどうか。

2)実験結果

ずばり、成績にはグループで差が出た。スマホの置き場が、成績に影響を与えたのだった。グループごとの成績は、こうだ。

Aグループ(机の上)が、最も低い成績
Cグループ(別の部屋)が、最も高い成績
Bグループ(ポケットかバッグの中)は、Cよりやや低い成績

Braindrain_a

一連の実験を通じて、スマホの画面が下向きでも、電源がオフであろうとも、自分のスマホがそばにあるだけ、視界に入っているだけで、注意力が散漫になって生産性を下げてしまうことが実証された。

「スマートフォンのことを考えないでおこう」と脳が無意識で考えることが、脳の能力の一部を消費してしまっている、そういうことらしい。

3)今後の活用

というわけで、「スマホを視界の外に置くと、集中力が持続する」という話だ。まぁ実生活で、とくに外出時にスマホを「別の部屋に置く」までして手放す状況はなかなか作れないが、今後は意識的に「カバンの中にしまう」ようにして、集中したいものに集中することに決めた。

2017年の研究だけど、自分的にはますます価値が高まっている感あるお話だったので、ここに共有。もはや時代と逆行すると思う人もいるかもしれないが、どこで使うかは、それぞれの考えどころ。私は個人的に、けっこう使いどころがある暮らしを営んでいる。

* 米テキサス大学エイドリアン・ウォード氏らの研究 "Brain Drain: The Mere Presence of One’s Own Smartphone Reduces Available Cognitive Capacity."(シカゴ大学出版局ジャーナル)

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