ここ45年間で圧倒的に伸びたのは「余暇優先型」ではない
ここ何十年かの私たちの「仕事と余暇のバランス」に対する意識変化をイメージしようとすると、「仕事優先型」から「余暇優先型」に大多数が移行したのではないかと、そんなグラフを頭の中に描くかもしれない。
けれど、1973年から2018年までの45年間で圧倒的に伸びたのは「余暇優先型」ではない、というデータを見つけて、それみたことか!と鼻息をあらくした。
下に二つ並べたグラフ、いずれも「仕事と余暇のあり方に対する意識」について1973年から2018年までの45年間の経年変化を扱ったもの。左側が「詳細」を表したもの、右側がそれを「大別」したものなのだが(クリックすると拡大表示する)。
まず左側のグラフ(詳細)をみてみると。
「仕事はさっさとかたづけて、できるだけ余暇を楽しむ」(赤い線)に、ここ45年でそんなに大きな高低差はない。
「余暇も時に楽しむが、仕事のほうに力を注ぐ」(緑の点線)が激減する一方で、ぐいっと伸びているのは「仕事にも余暇にも、同じくらい力を入れる」(灰青色の線)である。
緑の点線が36%から19%に落ちているのに対して、灰青色は21%から38%に上がっている。
左側のグラフをシンプルにまとめたものが、右側のグラフ(大別)だ。
「余暇優先型」が少ないとは言わない、35.9%だから「余暇・仕事両立型」38.1%と肩を並べるくらいいる。でも「余暇優先型」は昔から同じくらいの比率であって、1973年(32.1%)からさほど大きな変化はない。
とすると経年変化から読み取るべきは、「仕事優先型」から「余暇・仕事両立型」への大移動だろうと、そう思うのだ。
別に私は、何か専門の分析家じゃないし、ただ通りすがりにこのレポートを読んで、ほほぉと思った一庶民に過ぎないが、「中動態」といわれる日本人をさして、「なんとか優先型」と「なんとか優先型」の二項対立で極論を戦わせている議論って、他国のそれ以上に不毛に思えちゃうことが多い。甘噛みのおしゃべり論戦で、それ自体を居酒屋で喫茶店でネタにして楽しむだけなら全然いいのだけども、建設的な何かを見出そうとして議論するときに、その論の立て方はあまりに雑じゃないかと思うし、先に何かを見出せる気がしない、ただの喧嘩に感じられることが多い。
それよりも、対立するAとBの間に「まだ見ぬ答え」が作り出せることを見据えて、作り出すべきと掲げて、議論したりアイデア出し合ったり話し合ったほうが、ずっと建設的やないかい!という気持ちが頭の中に充満してしまう。人間の創造力って、そういうとこで発揮するものやないのかい、という気がして、何かどんどん頭が後退していっているような気がして。
これもこれ、私の個人的な見立て、志向性の表れにすぎないのだろうけれども。そんなことをもふもふ言っていないで、自分ができることをやりなさいという、まぁ結局そういうことなのだけれども。
*「令和7年版 労働経済の分析」第2-(3)-10図┃厚生労働省(2025年9月30日)


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