« 2025年9月 | トップページ | 2025年11月 »

2025-10-26

ここ45年間で圧倒的に伸びたのは「余暇優先型」ではない

ここ何十年かの私たちの「仕事と余暇のバランス」に対する意識変化をイメージしようとすると、「仕事優先型」から「余暇優先型」に大多数が移行したのではないかと、そんなグラフを頭の中に描くかもしれない。

けれど、1973年から2018年までの45年間で圧倒的に伸びたのは「余暇優先型」ではない、というデータを見つけて、それみたことか!と鼻息をあらくした。

下に二つ並べたグラフ、いずれも「仕事と余暇のあり方に対する意識」について1973年から2018年までの45年間の経年変化を扱ったもの。左側が「詳細」を表したもの、右側がそれを「大別」したものなのだが(クリックすると拡大表示する)。

Photo_20251026081301

まず左側のグラフ(詳細)をみてみると。

「仕事はさっさとかたづけて、できるだけ余暇を楽しむ」(赤い線)に、ここ45年でそんなに大きな高低差はない。

「余暇も時に楽しむが、仕事のほうに力を注ぐ」(緑の点線)が激減する一方で、ぐいっと伸びているのは「仕事にも余暇にも、同じくらい力を入れる」(灰青色の線)である。

緑の点線が36%から19%に落ちているのに対して、灰青色は21%から38%に上がっている。

左側のグラフをシンプルにまとめたものが、右側のグラフ(大別)だ。

「余暇優先型」が少ないとは言わない、35.9%だから「余暇・仕事両立型」38.1%と肩を並べるくらいいる。でも「余暇優先型」は昔から同じくらいの比率であって、1973年(32.1%)からさほど大きな変化はない。

とすると経年変化から読み取るべきは、「仕事優先型」から「余暇・仕事両立型」への大移動だろうと、そう思うのだ。

別に私は、何か専門の分析家じゃないし、ただ通りすがりにこのレポートを読んで、ほほぉと思った一庶民に過ぎないが、「中動態」といわれる日本人をさして、「なんとか優先型」と「なんとか優先型」の二項対立で極論を戦わせている議論って、他国のそれ以上に不毛に思えちゃうことが多い。甘噛みのおしゃべり論戦で、それ自体を居酒屋で喫茶店でネタにして楽しむだけなら全然いいのだけども、建設的な何かを見出そうとして議論するときに、その論の立て方はあまりに雑じゃないかと思うし、先に何かを見出せる気がしない、ただの喧嘩に感じられることが多い。

それよりも、対立するAとBの間に「まだ見ぬ答え」が作り出せることを見据えて、作り出すべきと掲げて、議論したりアイデア出し合ったり話し合ったほうが、ずっと建設的やないかい!という気持ちが頭の中に充満してしまう。人間の創造力って、そういうとこで発揮するものやないのかい、という気がして、何かどんどん頭が後退していっているような気がして。

これもこれ、私の個人的な見立て、志向性の表れにすぎないのだろうけれども。そんなことをもふもふ言っていないで、自分ができることをやりなさいという、まぁ結局そういうことなのだけれども。

*「令和7年版 労働経済の分析」第2-(3)-10図┃厚生労働省(2025年9月30日)

2025-10-25

「スキルを可視化する」という足場組み

ちょいメモだが、「スキルマップ作成に関する実態調査」レポートというのが、親近感わくネタで興味深かった。なぜか考えてみると私は「人事コンサル会社で制度設計の経験◯年積みました!」みたいなキャリアじゃないのに、個人事業主になって以来、これがらみのHR関連プロジェクトに参加させてもらう機会が多く巡ってきたからだ。

発注主の期待は様々なれど、自分的には常々フル稼働させていたのが、社員のスキル要件を洞察する調査分析力と、定義化する言語能力だった。

たぶん、そういう市場ニーズがここ数年高まっている頃合いなんだろうと肌感では思っていたけれども、データにするとこんな感じなんだなぁと眺められるレポートだった。

調査の回答者は、社内でスキルマップを作って運用している人材育成担当者111名(全国に複数拠点あり)。ざざっとポイント挙げるとこんな感じ。

Research_

●スキルマップ作成に取り組んだ理由は?
「組織の拡大や変化に伴い、スキルの可視化が急務と感じたため」が54.1%で首位

●スキルマップの作成方法(内製/委託)は?
「一部、外部の支援を受けて作成した」が50.5%で最多

●スキルマップ作成時の主な課題は?
30.7%が「スキル項目の洗い出しと定義付け」

●スキルマップを人材育成に活かせている実感は?
34.2%が「非常にそう感じる」、「ややそう感じる」をあわせると9割以上が実感

●スキル項目や評価基準の見直し頻度は?
「半年ごと」が4割、「毎年見直し」とあわせると1年以内の定期見直しが7割以上

●スキルマップの運用や人材育成課題の改善策は?
「評価基準を見直し、現場でも運用しやすくしている」が最多、62.2%

●スキルマップ作成後のポジティブな変化は?
約6割が「各従業員が自分の強みや課題を理解し、自己成長の目標を立てやすくなった」

詳しくは調査元(株式会社Hajimari)のリリースにて。
スキルマップ、人事担当者の9割以上が「人材育成に活用できている」と実感作成フェーズでは「スキル項目の洗い出し」が課題に┃PR TIMES

2025-10-13

夢うつつ雑記、著作権の移ろい

21世紀の初頭、若い人たちのシェア文化に、その萌芽は見られていた。著作権という概念は、21世紀半ばに廃れた。2020年代の生成AIの普及でいよいよ無理が出てきて、権利の折り合いがにっちもさっちもいかなくなった。

権利侵害なのか、どうなのか?と白黒つける裁判に、手の打ちようがなくなった。爆発的に裁判沙汰が増えて捌ききれなくなり、ええぃっと人々はある時機に著作権へのこだわりを捨てた。みんな、疲れたのだ。

もちろん全員が一気にこだわりを手放したわけじゃないが、現役世代が交代する中で段階的に、価値観は塗り変わっていった。2070年には、こだわる人もほぼほぼ失せた。

著作権という概念は、印刷技術の出現とその後の一般大衆の識字率の上昇に伴って発展したそうだが、そうであればデジタル技術の出現、インターネットの普及、その後の一般大衆の複写率の上昇に伴ってそれが衰退しても、なんら不自然なことはない。

人間が作り出した価値観は移ろうもの、決して絶対不変のものではない。そもそも、先人の著作の上に後人のあらゆる著作物は成り立っているし、それに権利主張しだしたのは、ごく最近のこととも言える。

という寝言が、私のスマホのメモアプリに書いてあった。昨晩寝ぼけ眼で打ち込んだ記憶がうっすらとある。1行目が頭に浮かんで、ぽりぽり打った遠い記憶が残っている。夢うつつ雑記。

« 2025年9月 | トップページ | 2025年11月 »