「相談できる、自分を受け入れてくれる」と感じる居場所と幸福感の相関関係
「AIは人間知性の進化の罠か」というfinalventさんのブログを拝読していて思い出したのが、最近見ていてぎょっとした、こども家庭庁の「我が国と諸外国のこどもと若者の意識に関する調査(令和5年度)」。
106ページからの第5章 学校関係【分析】居場所感と主観的ウェルビーイングの関連から、私が驚いたところを取り出して一枚にしてみたのが下のスライドだ(画像をクリックすると拡大表示。PDFでご覧になりたい方はリンク先のSpeakerDeckにて)。
私が何の分析結果にぎょっとしたか。ざっくり言えば、全国の13歳〜29歳の男女に対して、つぎの前者を説明変数、後者を目的変数として重回帰分析を行ったもの。
日常的な5つの居場所を挙げて、
- 自分の部屋
- 家庭(実家や親族の家を含む)
- 習いごとや趣味のサークル(学校での活動は除く)
- 地域(図書館や公民館や公園など現在住んでいる場所やそこにある建物など)
- インターネット空間(SNS、YouTubeやオンラインゲームなど)
それぞれの場所で自分が「悩みの相談ができたり、自分の意見や希望を受け入れてくれる」感じがしているか回答してもらった。その結果を、次の3つの項目と重ねあわせて相関関係を分析した。
- 全体的な生活満足度
- 幸せな気持ち
- 人生の意義
安直に考えると、どこであろうと「悩みの相談ができたり、自分の意見や希望を受け入れてくれる」感じがする居場所があれば、正の相関か、あるいは何ら関連が見出せないかで終わりそうにも思われるが、そうは問屋がおろさなかった。
「家庭」や「地域」に、「悩みの相談ができたり、自分の意見や希望を受け入れてくれる」居場所があると思っている若者は、生活満足度、幸福感、人生の意義を強く感じていた。というのは、さもありなん。
一方の「インターネット空間」では、相関関係の正・負が反転していたのだ。つまり、SNS、YouTubeやオンラインゲームなどの「インターネット空間」に「悩みの相談ができたり、自分の意見や希望を受け入れてくれる」と感じている若者ほど、生活満足度と幸福感を感じていなかった。
この結果の解釈は、逆向きの因果関係の可能性もありましょう?というのはその通りで、レポートの中にもこのような記述があった。
この結果の解釈としては、たとえば「インターネット空間に居場所を作ることが生活満足度などを低下させる」という可能性だけでなく、「生活満足度などをあまり感じていないことから、インターネット空間に悩みの相談ができる居場所を積極的に作った」という逆向きの因果関係の可能性も考えられる。
今回調査した他国(アメリカ、ドイツ、フランス、スウェーデン)と比べて、日本のほうが「居場所の影響力」が強いことが示唆されたというのも興味深いところ。
これ一つとって、何かを固定的に捉えたい気もわかないのだが、なんとなく気に留めておきたい情報だなと思い、ここに書き留めた次第。分析データの取り扱いに詳しくないので、国語力だけで私が理解したところどまりだけども...。
« 大きな病院の奥のほうの30分間 | トップページ | 新人がまだ見ぬ「大変だが成長実感できる仕事」との邂逅演出 »

コメント