例年どおり帰省するつもりで冷蔵庫の食材をすっかり空っぽにした小晦日(こつもごり)の夕方、体調が急降下しだした。朝起きたときは確かに平熱35度台だった体温が、その晩には38度を超えていた。万事休す。
2年前にも、年末ぎりぎりにコロナにかかって実家に帰れないことがあったが、そのときは症状が出たのが12月29日の朝。ぎりぎりその日の午前中までクリニックも薬局も開いていたので、コロナとも判定がついたし、薬局も一度は閉じたシャッターを半開きにして薬を処方してくれた。
今回は、具合を悪くしたのが12月30日の晩。夜があければ大晦日で、クリニックはやっていないだろうし、こちらにも移動する気力体力がない。インフルかコロナかただの風邪かもわからぬまま、体内ではたらく細胞に全乗っかりして寝正月を決め込むことと相なった。年末に映画「はたらく細胞」を観ていたのだ。
まず帰省は断念するほかない。大晦日の朝、家族に詫びを入れた。父、兄、妹それぞれに引き継ぎ事項をこさえて、あーしてくれ、これを頼むとベッドの中からLINEで送った。それだけでへとへとになり、あとはひたすら眠った。
しかし二晩眠り続けても、熱は38度を下回らない。さすがに、はたらく細胞だけになんとかしろというのは虫が良すぎるのではないかと思い至る。寝るたびに様々な不穏で不可解な世界に閉じ込められる夢をみるのにも疲れ果てた。
それで以前、歯の治療のときにもらったロキソニンのあまりが薬箱にあるのをがさごそ取り出して一錠飲んでみることに(遅い)。これが元日の午前3時頃だったろうか…。一眠りして熱を測ると、まぁ不思議、一気に37度台におちている。とりあえず一日(3錠)は続けてみようと思い、すると平熱35度台まで戻した。
ロキソニン、おまえいったい何者だ?と訝しむ。薬の効き目がきれれば熱はまた上がってしまうのか、それとも飲むのをやめても平熱は維持されるのだろうか。そこで1月1日夕飯後に3錠目を服用した後、翌朝までに10時間は経つので、そこで様子をみてみることに。
1月2日の朝に目覚めて熱を測ると、ロキソニンがきれた体温は38度超えに逆戻りしていた。熱を測るまでもなく絶不調ふたたびだった。起き上がって3歩移動するだけで気持ち悪くなり、3歩戻ってベットに倒れ込んだ。昨日からの落差が大きい。
しかし、それでは今日もロキソニンを服用しないことには仕方ないし、ロキソニンを服用すれば昨日レベルの安定は取り戻せるということだ。そうして時間をおきながら、どうにかしておかゆを数口腹にいれ、ロキソニンを飲み込んだ。どうにかこれで起き上がれる程度に戻し、また一日(3錠)続けてみたところ、1月3日朝には薬の効き目はきれているであろうに平熱を維持することに成功した。
とはいえ熱以外の、頭が何かに押さえ込まれているような感覚、喉の痛みと咳は残っていたので、3日も4日もほぼ寝て過ごした。そんなわけで、私のお正月は2年ぶり二度目の寝正月で過ぎ去ってしまったのだが。
とにかく妹も帰省してくれ、兄一家も元日に実家にやってきてくれて、例年どおりに父を囲んで実家の恒例行事が滞りなく行われたのが何よりだった。ここさえ守られれば私の心はずいぶんと穏やかだ。
世の中はとてもとても大きな問題を抱えていて、それは至る所であり、複雑に絡み合っていて、途方に暮れるばかりのことも多い。だけど、混迷の時代などと一言で表したところで事態を好転する策は立たない。メディアよろしく365日事態を追い続けて自分の営みをおそろかにしてしまっても、社会は停滞してしまう。小さな私を主語にして、私は私の述語を繰り出していこう。私が今年、縁をいただいた人たちの力になれることを丁寧にやっていきます。
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