いろんな仕事人の話を分かろうとする仕事
クライアント仕事の面白いところは、必要に迫られて過去一度も前に立ったことがない大型書店のコーナー前に仁王立ちし、みずからは決して手を伸ばすことがなかった本に興味を持って手を伸ばす気にさせてくれること。
実際買ってきて読んでも「なるほど」と興味をもって読め(なるほどと思って読めそうな入門書しか手を出していない…)、宿題を作って持っていくと、その道の専門家に直接話が聞けて新たな世界が広がり、一緒に宿題の精度を上げていけること。このプロセスが面白い。だけど、これってお客さんに恵まれているからこそだわと、はっとして改めて感謝した。
と思いながら週末パシャリしたInstagram写真。こういう他力本願というか、ある種流れに身を任せることによって活力を与えられ、知識欲をおぼえ、楽しく生きながらえている仕事人もいるというのが、私のようなタチの若者にも知れ渡ると、仕事観というのはもう少し豊かに映るのではないかと思ったりするのだが。バリバリ働くでも、仕方なく働くでもない、ぬるっと楽しく働く人も社会には生息しているのだ。
まぁ、この案件で言えば、たまたまの縁で得られたもので私もこのタイプを受注する再現性は乏しいのだが。本件は、私の仕事力の不透明ながらこの辺が核心だろうなと肌感覚でご存じの元上司だったから振ってもらえただけで、私は人事制度設計のコンサルタントとかでキャリア積んでいるわけじゃなし、そういう会社に所属したキャリアも持たないので、制度設計全体を預かれるわけでもなく、発注される見込みもない。この先、組織の人事制度づくりのプロジェクトに今回のようなプレイヤーとして組み込んでもられることは、まぁちょっと難しい。
そういう引いた見立てをしながら思うのは、一方で、これってこれまで自分がやってきた人材開発系、企業研修の分析・設計で使ってきた能力と丸かぶりだったよなぁということ。なので、組織のHR施策の要件定義であれば、この手の職人技は何にでも使えるんだなっていう発見機会でもあった。今後関われる全部に使っていこう、全部で使えるように継続して鍛え上げていこうと意識することができた。
あと、こういう組織活動の文脈でもそうだし、最近お能の入門書とかを本屋で物色しているときにも思ったのだけど、私は「業種」とか「文化」とかのカテゴリー切り口ではなくて、どの業種でもどの文化でも「そこで生きる人」がどんなふうに職能を発揮したり、どんなふうにその業界、その仕事、その専門性をとらえて現場で振る舞っているのか、現場で良い仕事をするために、どんな鍛錬を積んで、どんなところに目配せして、何を大事にしているのかみたいな話を聴くのが大好きで、それを分かろうと努め、その切り口で情報摂取のアンテナをはっているんだなということ。仕事なら、その理解・洞察の深さによって「要件定義から施策展開」の精度を上げていくのが、大好きなのだなというのを自覚した。
そういう意味で、やっぱり私は組織のHR施策を中心に仕えたいし、組織のHR施策と個人のキャリアデザインをどう止揚するかという役割を足場にして社会に関わっていけたら嬉しいなと思い新たにした。まぁこの先の仕事がどうあるかは独立1年目で不透明すぎるけれど。今の仕事を一つひとつ大事にやっていって、そこで自分が思うことを大事に、次につないでいったら幸せじゃないかとのんびり構えている。
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