プロジェクトを任せたい順、引き受けたい順の反転
最近、数冊のプロジェクトマネジメント本を読み比べているのだけど、そのうちの1冊*にこんな話があった。プロジェクトで人をアサインするときは「信用も、信頼もできる」人が一番いいよね、次点は「信用はないが、信頼できる」ポジションの人だよね、という話。
下の図のとおり、「信頼」を縦軸に、「信用」を横軸において、それぞれ高い・低いを両端にもつと4象限の図ができる(図をクリックかタップすると拡大)。
ここでいう信頼とは「未来」に照準を合わせて「これからに期待していること」を示し、信用とは「過去」に照準を合わせて「これまでの実績から得られるもの」を示しているという。
例えば、「今までの実績は十分だが、現時点のモチベーションや態度からあまり任せたくない」人は、右下の「信用は高いが、信頼は低い」ポジションとなる。とすると、アサインする順位としては三番手になるという、そういう話だ。
これは、著者の方が親しくしている経営者の考え方を紹介したもので、別になんちゃらセオリーとか根拠とかを迫られても困るので、見方の一つとして活用したい人は活用したらいいという按配で捉えてほしいのだけど。
私がこれを読みながら、ふと思ったことというのが、ここでは本論となる。それというのは、この本では「アサインする側」の視点に立って「任せたい順」について書いてあるけれど、
これ「アサインされる側」の視点に立って「引き受けたい順」をつけると、今の私は1位と2位の順位が入れ替わるなぁってことだった。
今やらせてもらっている案件は、「私、そのたぐいって直接的な実務経験とか実績とかないんですけど、いいんですかね?」っていうものがほとんどを占めていて、つまり左上を中心にやっているのだ。「過去の実績はないが、これから期待したい」枠をやれているのだ。それって相手も自分も「未来」に期待して、やってみなはれ、やってみます!という合意で、やってみたい仕事をやらせてもらえているということだ。
そのことに、この本を読みながら改めて、ありがたいことだなぁと感じ入ってしまったという話だ。わざわざ図までこしらえている割りに、拍子抜けするほど、ただ、ふと思ったことに過ぎないのだが、こういう読書の寄り道って楽しいじゃないか。
*前田和哉「プロジェクトマネジメントの基本がこれ1冊でしっかり身につく本」P77(技術評論社)
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