タイの鍾乳洞からの救出劇「13人の命」を観て
8月9日にTBSラジオ「たまむすび」で、映画評論家の町山智浩さんが紹介していた「13人の命」。これは観たいなぁ!ということで、早々に観てみた鑑賞録。Facebookに書いたこと、ほぼそのままの簡単なメモなのだけど、いつかの自分が掘り起こせるように、こちらにも残しておく。
2018年6月、世界中でニュースにもなったタイの鍾乳洞の奥地に閉じ込められた少年サッカーチームの男の子12人とコーチ1人の救出劇。この実話をもとにした作品で、監督は「アポロ13」とか「バックドラフト」とか手がけたロン・ハワード、出演者もセットもハリウッド映画なみとのこと。Amazonプライム独占配信。
少年たちがいるのは、洞窟の入り口から4km近く先。豪雨と長雨によって中は水没、救出経路の途中も何箇所も崩落しているため、幅60cmしかないところも。そういうところはスキューバ用タンクがあっては通れず、素潜りするしかない。水は濁っているし、光もささない。
でも中には食料もないし、本格的な雨季が迫っているから、雨水が引くのを待ってはいられない。絶体絶命とは、まさにこのこと。
タイの海軍では太刀打ちできず、洞窟専門のダイバーがイギリスから呼ばれる。水が引いてきた9日目にして、ついに突入、プロでも片道で6時間、水の中を這って進む。
少年たちを発見し、パニックにならず瞑想して生命維持していたのを確認するも、洞窟の外に脱出するのが、これまた至難の業。一人ずつ、人数ぶん片道6時間かけて往復していくしかない。具体的なアプローチを公表しては洞窟の外の世界中がパニックになるため、ニュースでは報道規制をしていたとか。
って町山さんの紹介を聴いて、これは観たいーと思って早々観てみた。評判どおり、すごい映画だった。観て良かった。
町山さんも、実際は作品のそれよりずっと水は濁っていたはずと言っていたけれど、ほんと暗闇の中を触覚とかを頼りに進んでいく途方の無さだったと思うと恐怖が増す。
また観る側は13人が助かったことを知った上で観ているけれど、それを成した人たちには、そんな確たる未来はなく、いくらかの可能性にかけて大リスクを冒した状態なわけで、実話っていうのが本当にものすごいなと観終わった後に改めて感服。
それに今時点からみると、コロナ前夜とも言える2018年の出来事というのも、2022年の自分に訴えかけるところが多分にあった。世界中から人が集まって、体ごとひとところに結集して、13人の命の救出に集中して骨を折る。否が応でも今の自分、今の世界情勢と対比して見えて、たった4年前なのにものすごく断絶感を覚えた。一方で、そこに一筋の光を見出すこともできる作品だなと思った。あのときと同じ地平に立って、連綿と続く時間の流れの中に生きているのだから。
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