「Web系キャリア探訪」第39回、語られがたい光
インタビュアを担当しているWeb担当者Forumの連載「Web系キャリア探訪」第39回が公開されました。今回はSBテクノロジーでWebフォントサービス「FONTPLUS」を手がけ、エバンジェリスト(またの名を「フォントおじさん」)としても知られる関口浩之さん(の裏の顔?というか、今日に至るまでの分厚いキャリア)を取材しました。
「50歳を過ぎたら知見の伝承を」Web黎明期を支えた“フォントおじさん”が長年働いて気づいたこと
関口さんの講演を以前に拝聴したことがあって、私のような門外漢でも、お話を聴く数十分のうちに「フォント」への関心がぐいっと引き上げられるのを感じて、これがエヴァンジェリストの手腕かぁと感心してしまったのが数年前のこと。
表層的なプレゼンの巧さっていうのではなくて、ほんと(あ、ダジャレじゃなくて)フォントへの造詣が深くて、一つひとつの書体の個性にも通じていて、それぞれを愛情豊かに紹介する雄弁さも人並みはずれていて。
その一方、私たち聴衆に向ける表情は好奇心旺盛な少年そのもの、ずっとにこやか&なごやかで、会場中みんなが快く関口さんの語りに巻き込まれていく舞台パフォーマンスには、ものすごいインパクトがありました。
そのイベントの懇親会で少し立ち話をさせていただいたのですが、当時は定年を間近に控えていらした時期だったかな、それまでの激動のキャリアにも話がおよび、ぜひゆっくりお話をうかがえたらなぁと思っていた方だったのです。そんなわけで、この度そのものずばりキャリアについて取材させていただく縁に恵まれて、記事としてシェアできることを大変うれしく思っています。
あれから数年が経ち、現在はすでに定年を迎えられて、SBテクノロジーには嘱託社員という契約に切り替えてお仕事されていますが、今も超ご活躍。SBテクノロジー在籍27年をひも解き、1995年からビジネスプロデューサーとして数々の新規事業を立ち上げ、今に至るまでのキャリア変遷をうかがいました。
記事内の「二人の帰り道」にも書いたように、旺盛な好奇心が底力として働いてきたのであろうなぁと強く思う次第なのですが、そうした少年の魂と同居するようにして関口さんに一貫して感じられるのは、人・こと・ものに真摯に向き合う姿、それをすごく大事にしていること。
その心持ちが、関口さんの包容力、にとどまらず、深い洞察力や、多方面への目配せ力、いろんな人を巻き込んだり巻き込まれたりする中での事業推進力やチーム統率力、関わる人・こと・ものの全部を有機的につないで事業を軌道にのせていく、もう一つの底力としてずっと働いてきたのだろうことが察せられました。
関口さんも記事内で、専門職へのコンプレックスがあったと言及されていますが、上に書いたような働きというのはなかなか具体的な言葉が追いつかなくて、周囲もそこに専門性を見出して褒めたり評価したりというのが、その場で直接的には難しかったりする。
けれど関口さんだからこそ場面場面で人から引き出せたこと、目配せできたこと、あって気づいたけど口にせず相手を信じて待ったこと、誰かの訴えを咀嚼して別の誰かに翻訳してうまく伝えられたこと、一見つながらない何かと何かを結びつけて発想できたこと、リスクを前もって回避できたこと、いろんな壁を乗り越えて前進させられたことが、これまでにたくさんたくさんあったんだろうなって思うのでした。関口さんがそこにいなければ、そうは成らなかったということが。
結局私も「なんとなく、そう思いました」にとどまっているのが、まったく力不足なわけですが…。でも、誰に認められるか、どれだけ多くの人に認められるかって話とは別に、「こういう役割を果たせた」って自分で自分を認められるキャリアの満たされ方もあるんじゃないかって思っていて、そういう充実感を関口さんの笑顔に覚え、勝手に受け止めながらお話をうかがいました。
いろんな世代、いろんな職種の方に、何か思ったり思い出したり、考えたり感じたりするきっかけをお届けできるんじゃないかなと願っています。自分がごきげんに仕事を楽しめるように、深い自己理解のもとにキャリアを舵取りしてこられた軌跡も読みごたえあり。ぜひお時間よろしいときに、ご一読いただければ幸いです。
« 赤と青とエスキース、作る心、作り手の心 | トップページ | 妹が見てきた「この世界」の物語り »
コメント