「Web系キャリア探訪」第36回、自分の興味って何よりの源泉
インタビュアを担当しているWeb担当者Forum連載「Web系キャリア探訪」第36回が公開されました。今回は不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME'S」をはじめ、さまざまな生活関連サービスで事業を多角化するLIFULL(ライフル)の小川美樹子さんを取材しました。
コーダーからUXリサーチャーへ! 興味あることを追求して築き上げたキャリア
小川さんとは「CSS Nite」というWeb制作者向けイベントが立ち上がった2000年代後半から面識はあって、セミナーや懇親会の会場などで顔を合わせていたのですが、きちんとお話を伺うのは今回が初めて。気がつけば、最初にお目にかかったときから10数年の年月が…。
記事内でインタビュアの森田雄さんが解説くださっているとおり、1990年代から2000年代にかけてHTMLやCSS、Adobeのグラフィックツールなど使ってWeb制作の仕事を始めた人は、これまでの道中で「今後あなたは、どこ専門で極めていくんですか?」っていうキャリア選択の分岐点があった方、多いと思うんですよね。
Webまわりの市場発展、制作技術の専門高度化、業務の複雑化、職種の専門分化とあれやこれやの変化にもまれて、そのままの職能を発揮しているだけでは、このさき自分の労働市場価値を維持できない壁が立ちはだかってきたというか。
JavaScriptに抵抗がない人は、フロントエンドエンジニアとして実装力を高めていく。一方で、どうにもそっち方面は肌に合わないという人は、別の路線にシフトチェンジを余儀なくされたりして。
グラフィックデザイン出自の人は、それを足場にしてWebサイトやスマホアプリのUIデザインを極めていったりとか。紙もWebも媒体特性を使い分けてビジュアルデザインできるところを強みにしていくとか。
あるいは、文章を中心としたコンテンツ作りを極めていくと、Web媒体のライターというのもあったり。情報を構造的に扱うというのだと、インフォメーション・アーキテクト(IA)に進む人も。
またマーケティング、ビジネス寄りに軸足を移す人もいれば、アクセス解析を極めてデータの扱いに長けたアナリスト、データサイエンティストに転じる人もいたのかな。
新しい技術、潮流を取り込んで仕事化する技術者な人だと動画編集とかもあるかと、とにかくいろいろな展開を見せている感じ。
そして小川さんが関心をもって追求したように、ユーザビリティ、HCD、UXデザインの方向に向かった人も少なくない。
小川さんのキャリア話をうかがうと、就職してからここ20年とかで起きた技術進化、Web制作まわりの労働市場の変化、そして自分自身の関心の変化や広がりを、見て見ぬふりすることなく都度、正面から丁寧に受け止めて適応してこられた様子がうかがえます。力みなくお話しされる中には、彼女の着実さと大胆さ、自主性と受容性が健やかにバランスされている感じがして、大変聴きごたえがありました。
時と場合によって、転職を選ぶこともあれば、今の組織の中で自分の役立てどころを模索して自ら作り出していく選択もしてこられた。事業ステージに応じて、いま自分がどう組織に貢献できるか、それは自分の関心事とどう結びつけることができるか、主体的に問いを立てて、組織と良い関係をつむぎながら仕事に向き合ってこられているんですよね。
組織の中での自分の役割や仕事内容を、組織がこしらえた枠組みありきではなくて、自分で思案して、上司や周囲と相談しながら作り出していく。組織内にとどまらず、社外も含めて活動を広げ、経験を積んでいっている。それを地で行っている感じが素敵だなぁと思いました。
「自分の興味の向くところ」って、大事な自分のキャリアの道先案内人になる。自分の中に芽生えてきた関心ごとを、適当に扱っちゃもったいないな、それを育てて役立てたいなら、注意をもって拾い上げて、実務で活かせるレベルまで自分で引き上げていく活動に出るべきだよな、そうしたらきっと楽しいよなって、シンプルに背中を押してくれるようなお話です。私もそろそろ元気を取り戻さねば。ぜひお時間の良いときに、読んでみてくださいませ。
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