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2021-09-02

「Web系キャリア探訪」第33回、社会の”当たり前”をアップデートする仕事

インタビュアを担当しているWeb担当者Forum連載「Web系キャリア探訪」第33回が公開されました。今回は、生まれつき全盲の辻勝利さんが中学時代にコンピュータを使い始め、1995年にインターネットにつながって、Webのアクセシビリティエンジニアとしてキャリアを積み、ミツエーリンクス、コンセントなど経て、今月からクラウド人事労務ソフトの「SmartHR」に参画するまでの道のりを取材しました。

障害者に「やさしい」は不要。アクセシブルが当たり前の世の中に変えたい!

いち早くコンピュータを使って「点字ではなく、文字で」読み書きコミュニケーションする手段を取り入れ、いち早くスクリーンリーダーを介して「文字を聴く」情報のインプット手段を取り入れてこられた辻さん。

コンピュータやインターネットが普及する以前から今日に至るまで、さまざまな制約に直面してこられた。けれど、その課題に対して受け身をとるというのではなくて、Webアクセシビリティエンジニアとしての職業的専門性を磨き上げ、真っ向から挑んできたことに敬服します。

視覚障害による制約って、視覚障害の側に問題をおくのではなく、それが制約になる社会環境のほうに問題をおいてとらえたほうが、いろんな人が課題解決に参画しやすいと思っていて。前者だと、どうしても医学とかに素人発想で偏っちゃうんだけど、後者の社会環境のほうなら、いろんな立場の人がいろんな切り口で、いろんな階層で手をくわえていって、大小さまざまの問題を軽くしたり無くしたりできるイメージを持っています。

また、例えば視力が低い人ってことで考えると、眼鏡やコンタクトなしで外に出歩くのは危険すぎるって人が現代はたくさんいると思うけれど、それでも大きな支障なく生活したり仕事したりできているわけで。技術って、その進化をうまく取り入れて社会をアップデートしていけるのがいいよなという思いがあります。

それがまた、コンピュータ、インターネット、Webっていうお膳立てあるところで仕事している職業に就いているんだったら、その「アクセシブルな社会を実現できる」って原点的な3種の強み、3層の厚みを生かさない手はないというか、封じ込めるのはナンセンスだよなと、そんなふうな思いがあって。そういう思いを、それぞれの持ち場で職能を磨いて、きちんと社会に実装していけるといい。

辻さんはその先頭で、奮闘している。クライアント案件にとどまらず、官民共同の研究会活動やオープンソースプロジェクトなど、活動領域も多岐にわたり、今月初めにはSmartHRに転職。受託サイドから事業会社に身を移して、自社プロダクトを普及させて「社内システムはアクセシブルが当たり前の社会を作っていく」というミッションを掲げています。

もはやコンピュータ、インターネット、Webを使うのが当たり前になった世の中で、視覚障害ある後輩たちが、当たり前に単独で人事労務の諸手続きや確認ができ、本業に集中できる環境づくりに邁進。ぜひお時間の良いときに読んでみてくださいませ。

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