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2020-12-27

開放、自然、野性、編集、物語り

今年はしんどかったなぁ。一年を振り返ろうとすると、喉がきゅっと締まって、目の奥がぐっと熱くなってしまう。こういうときはあんまり過去を振り返らずに、今やるべきことをやり、未来に目を向けて突破するのが年越しの健全な過ごし方だろうなと思う。

振り返りは、そうだな、10年くらい寝かせるとちょうどいいくらいかな。10年前のそれを思うと、そのくらいがちょうどいいあんばいな気がする。その頃には、どういう形でか軽やかになっていたい。あたたかく、強く、しなやかに生きていたいものだ。

この間、駅前の大きな交差点で地図を片手に困っていそうなおじいさんがいたので、「お困りですか?」と足を止めて声をかけたら、「そうなんです。困ってるんです!」と志村けんのコントみたいな滑舌で返ってきて、田舎から出てきて右も左も分からないと言うので、一緒に地図を見て道案内をした。おじいさんは行き先を把握すると、しゃきっと右手を額にあてて敬礼、「ありがとうございますっ」と言って顔をくしゃっとさせた。

そうだ、こうやって生きていったらいいんだと思う。ダメだダメだと自分で自分の首をしめるようなことをせず、こうやって生きていったらいいだけなんだと。

仕事内容はこの一年で大きく変わり、年末にはだいぶ、自分はこういう役どころで所属の枠組みなく野性的に活動したらいいんだという役割の果たしどころが見えてきた。サラリーマンとして働いていることを弱さとみる人もいるけれど、職業や就業形態といった属性をもって人の生き方や働き方に優劣、強い弱いの評価をつけるのは偏見だよなって、何十回も考えて自己問答して今は思う。

一方で、気を抜くと自分が勤める組織・環境に過剰に内部化してしまって、いわゆるサラリーマンになってしまうっていうのも体験的に思うところあり、それはそれで自分で注意してかからなくてはならない。

また職種や所属の枠組みにこだわらず、縦横無尽に自分の使いどころある所どこでも働くスタイルを追求するつもりだけれど、それによって専門性を磨くことを止めてしまわないように、無個性化していかないように、健全な自己批判とのバランスが大事だ。要は、職種や組織の所属なんて小さい枠組みにおさまってたまるかという野性を大事にしてやっていこうという話だ。人間だもの。

私はデータや数字の取り扱いにめっぽう弱いのだけど、データや数字が情報になるあたりで興味が出てきて、それを編集して知識から知恵へ、それを編集してコンテンツからサービスへ、それを編集してシナリオ立てて人と人をつなぐメッセージへ展開させたいという思いがあるらしく。その辺の総じて編集という役割を期待されることが多いので、そういうゆるふわをいろんなところでつかまえて、いろんなところに分け入って、いろんな人の中にある情報をもらって、自分なりに物語をつむいで提示していけたらいいなぁと思う年の瀬。

2020-12-09

YouTube「キャリアデザイン講座」第5回を公開(自分の現在地を把握する)

勤め先のYouTube公式チャンネルで公開している「クリエイターのためのキャリアデザイン講座」、年内最後の第5回を公開しました。これまでは、キャリアって何?キャリアについて考える意味ってあるの?というそもそも論について話してきましたが、今回からキャリアデザインの方法論に話題が移りました。

【クリエイターのためのキャリアデザイン講座5】自分の現在地を把握する

まずは、キャリアデザイン・プロセス上のどこに自分が位置しているのか、全体マップを見渡して現在地を把握しておこうというのが、今回のテーマです。

キャリアデザインの工程ってこうなっているんですって、ざっと紹介して終わりではなく、その知識をどうやって使ったら有効なのかというのをかみ砕いて伝えたいと思うと、どうも話が長くなって、1回で前進できる歩幅がものすごい狭くなってしまう、これは果たしてメリハリなのか冗長なのか…。

今回の動画作りのプチ成長は、オープニング画像に見出しを入れて、今回の中身がわかるようにしたこと。あと初回から比べれば、だいぶ普通にしゃべっているふうになった感はあるのですが(プチすぎる)。

相変わらず、自宅でこつこつ中身練って台本作ってスライド作ってナレーション&アニメーション録ってと細々やっている次第で、お手製感満天なのですが。来年も小さい成長を重ねながらせっせと作って参りますので、何かのタイミングでちょっと覗いたろっかなと思った際は、あたたかい飲み物でもお手元に用意した上で心穏やかに見てやってください。

中身はオーソドックスなキャリアデザインの基礎知識ですが、今の時代感をつかみながら、クリエイターの皆さんにできるだけ親しみやすく、1本10分程度で気軽に見られるものを念頭において作っています。来年もどうぞ、ごひいきに。

2020-12-05

Webサイトをつくってきた人々の写真展「Era Web Architects」の被写体に

「この中に一人だけなんでもない人が混じっています。誰でしょうか?」という問題を出したらダントツで1位を取れる自信があるってなものなんだけど、Webサイトをつくってきた人々の写真展「Era Web Architects」というプロジェクトで、被写体30人のうちの一人に選んでいただいた。

1年くらい前だったか、プロジェクト発起人の坂本貴史さんから連絡をもらって話を聞いたのが最初。こういうプロジェクトをやりたくて、という趣旨説明を受けとった私は、当然「なので裏方を手伝ってほしい」という相談が続くものと予想して次の一言を待っていたのだけど、その後のメッセージが写真展の被写体側の要請とあって、ものすっごい驚いた。そんなバカな、と。

スマホ片手に通りを歩きながらしばらく、どういうものの考え方をしたら被写体側に私を採用する話が成り立つんだろうかと頭を悩ませ、もう一度プロジェクトの趣旨を読み直したりした。

ただ、基本自分にはもったいないようなありがたい話が巡ってきた際は前向きに受けるようにしているのと、腕利きの写真家が自分のようななんでもない被写体をどう映すのか見てみたいという好奇心と、何はともあれ私にとって戦友のような発起人の企画を応援したいという気持ちが働いて、快く引き受ける旨、その場で返答した。

一応の納得の足場としては、自分の役どころはまぁ遊びというか、はずしというか、バラエティ担当というか、今回の人選に多様性と独自色をもたせる役割なんだろうと見た。この手の人選に私を混入させるなど、後にも先にも坂本さんしかいないだろうから、自分が入ることで、人選の独自性をむちゃくちゃ高めている自信?はある。不快な方、嫌悪感を抱く方もあるかもしれないが、これからは多様な価値観を寛容に受け止めることが求められる時代ということで、私も他の面々と横並びだなどと一切思い上がっていないので、どうか溜飲を下げてご容赦願いたい。

さて、その最初の声がけから、コロナの影響でスケジュールは後ろにずれつつも、この秋ごろから目に見える形でプロジェクトは活発に動き出し、私も少し前に写真展用のポートレート撮影をするため、都内のスタジオに足を運んだ。

スタジオには、発起人の坂本さん、写真家の坂本貴光さんのほか、少し前に撮影を終えた原一浩さん、中村享介さんがリラックスして談笑していた。私は皆さんと久しぶりに笑顔で再会できたことに120%意識が向いて片時の同窓会のような時間を過ごし、もうそれだけで、これに参加させてもらえて良かったなぁと心から感謝した。

改まった写真撮影なんて、遠い昔に履歴書用の撮影を伊勢丹の写真館でしてもらったくらいか。「女性なんでね、鏡の前でいくらでも準備してください」と席を譲られたところで、化粧道具も持ってきていないし、何か駆使する腕もないし、やることが思いつかず、髪を手ぐしでいくらか整えること3秒、これでいいです…とおずおず準備完了を申し出た。

撮影は、10分だか15分だかみんなとおしゃべりしている間に、写真家の坂本さんがシャッターを切って程なく終わった。ぱしゃぱしゃ何枚も撮るのではなく、ここという彼のタイミングで数少なく撮影が行われる。どういう瞬間をとらえたのかは、私も見ていないのでわからない。その場で覗かせてもらうこともできたのかもしれないが、何か踏み込んではいけない感じがして、写真展までお楽しみとした。

3月初旬に都内(恵比寿)のギャラリーで写真展を催す予定だという。2011年に坂本さんが「IAシンキング」という単著を出したとき、その書籍の奥付に企画協力として私の名前が載っているのを見せたら父がえらく喜んでいたので、今回の写真展も状況が許せば、父を誘って見に行ってみようかと思っている。実際以上に自分の子どもが何かえらいことしたふうに見える、数少ない親孝行の機会だ。

このプロジェクトは、写真展のほか、今すでにYouTubeでインタビュー動画を配信していたり、それを順次マイナビ出版「WD ONLINE」で記事にしたり、CAMPFIREで活動資金のクラウドファンディング支援者を募集していたりする。

私の個人的な親孝行はいいとして、このプロジェクトを広くはどう意味づけできるものだろう。クラウドファンディングで支援してもらえるような形で、内輪感や閉塞感をもたれず良い形でいろんな人に意味を見出してもらえるシェアは、どのようにして可能なものだろうかと、しばらく静かに考えていた。

というのは、どうもここ数ヶ月の坂本さんの発信を追っていると、彼はどうやら人の生き死にをも身近に捉えながら、このプロジェクトに並々ならぬ思い入れをもって力を注いでいるらしいことが伝わってきたからだ。

私のようなおまけが下手にプロジェクトを紹介して、格を落としたり下手に批判されるような目には合わせたくない。それは最低限として、何か良い形でこのプロジェクトを知ってくれた人が、それぞれの手元で有意義な意味を見出してもらえるあり方、私なりのシェアの仕方というのはないものだろうかと考え続けていた。

そんなことをあーじゃこーじゃ考えている暇があったら、さっさとシェアするのが一番だろうというのは、それはそれで自分で突っ込み入れつつではあったのだけど。

ネット黎明期から現場で汗水流して働いてきた面々を30人というと、いくらでも切り取り方がある。人の数だけ人選のしようがあるだろう。今回はあくまでも坂本さんが独自の視点で選んだものであり、その独自性にこそ意味がある一方で、別の人が見れば、自分が選ぶならそうはしないなって反発も覚えやすいことが危惧された。

でも、私たちがそれこそインターネット黎明期からずっと大切にしてきた心持ちというのは、こうしたいろんな受け止めようがある誰かの企てに対して、真っ先に落ち度や不満点に目をつけて叩くところから入るのではなく、それぞれが自分の手元に引き寄せて、そこに可能性を見出すポジティブさではなかったか。インターネットそのものが、オープンに、フラットに、情報をつなぎ、人間関係をつなげていく、その恵みの計り知れなさに興奮と感謝を覚えながら仕事生活を充実させてもらってきたのが私たち世代であったように思われた。

何かそういう心持ちに立ち返らせてくれるプロジェクトでもあって、いろんな人とそういう原点の心持ちを交わしていく、情報も人間も気持ちも有機的につながっていく発展的プロジェクトの種に、なったらいいなぁと思う。結局、だいぶモヤッとした文章にしか書き表せない自分の力量を認めて、これで一旦シェアすることにしたのであった…。

2020-12-04

「Web系キャリア探訪」イベント記事の公開

月1連載しているWeb担当者Forum「Web系キャリア探訪」のスピンオフ的イベントに出演する旨こちらにも記しましたが、そのレポート記事が公開されました。

リモートワークのマネジメント方法は? キャリアや働き方どう変化する?

当日はインフォバーンの田中準也さん、ツルカメの森田雄さんから「Web界隈の私たちの働き方 コロナでどう変わった?どう変わる?」をテーマにお話を伺いました。

私はというと、、中身をどう構成するか整理する事前準備でいくらか役に立てたかな…くらいの感じで、当日はお二人の自由演技にすべてを託していますが(一応、進行役で出ている)。

ちなみに、事前に整理しておいたコロナ禍の「こんな問題よく聞かれたよね」リストは、こんな感じ(イベント当日は動画内のスライドでお見せして、話のとっかかりに使いました)。


個人の働き方の変化、浮上した問題と解消法

  • 在宅勤務で困った!(通信環境、育児との両立、腰痛い…)
  • 在宅勤務が合わない(書斎ない、集中できない、滅入る…)
  • 仕事の進め方、プロジェクトのまわし方に変化は? (ブレスト、営業、プレゼンむずい…)
  • 職場でのコミュニケーションが減った、何か工夫した? (気軽な会話減る、声かけづらい…) 云々

リモートでマネジメントする側/される側の難しい局面

  • 「仕事を教える/教わる」のが難しい
  • 「メンタル不調に気づく/気づいてもらう」のが難しい
  • 頑張りすぎる人、怠けちゃう人の自己管理とマネジメントの関わり
  • 評価が難しい(プロセスを評価する?、どう評価されるのか不安)
  • オンラインでの採用活動が難しい
  • 組織への帰属意識の持続・醸成が難しい 云々

ありがたいことに、キャリアに関する相談ごとを事前にお寄せくださるご参加者が予想より多くいらして、後半はそれに応える形で、コロナ禍だからどうこうというのはあまり関係なく、キャリアについてあれこれお話ししました。

テーマにご興味ありましたらば、お時間のあるときに、ぜひ見てみてくださいませ。これという正解を提示できているわけではないし、そういうテーマでもありませんが、この中の何かに触れることで、ご自身の考えなり状況なりを相対化して捉え直す材料の一つに使ってもらえたら嬉しいです。

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