「Web系キャリア探訪」第24回、頭で考えられる限界を心得る
インタビュアを担当しているWeb担当者Forumの連載「Web系キャリア探訪」第24回が公開されました。今回は、4人の子育てとお仕事を両立してこられたSprocket(スプロケット)コンサルタントの大野陽子さんを取材しました。
私は家庭をもたず子どももつくらずでやってきたので、当初は自分とまったく重ならない道を歩んでこられた方のキャリアの歩みを聴くような心もちで取材に臨んだ気がします。
でも、いざ取材が始まってみると、自分と同じ1996年に社会に出て働きだして、この四半世紀の世の中の変化にさらされながら、手探りでキャリアを形作ってきた、そのお話には親近感を覚えることもたくさんあって、おのずと自分のたどってきた道と重ね合わせながら、お話を伺うことになりました。
1996年に新卒1社目でお仕事されているときの話を伺っていたとき、自分の社会人1年目のことが思い出されたのですよね。自分も技術職とかでは全くなかったけれど、Filemakerでデータベースを作る必要があったので、本を片手にあれこれ手を加えたり、Filemakerのバージョンアップにあわせて複数のデータベースを連携させてみたり、そもそものベース知識が足りないと思って初級シスアドの教科書を買って勉強したり、ごそごそと素人なりにやっていたなぁと。
そういう中で、自分が(データというより)情報を扱うのが好きだとか、作業を効率化することとか物事を合理化したいタチだとかいうのに気づいたり。また何より、大人になると仕事でやりたいことをこうやって自分で勉強しながら(勉強したいテーマも、その勉強法も自分で組み立てながら)ものにしていくんだなぁという所作を覚えたのでした。職場に、それを当たり前としている大人たちがたくさんいたおかげです。
まぁ私の場合、そこからエンジニア力を究めようという気概も資質もなく、むしろこっち究めるのはまったく性に合ってないわーという気づきを得て、人材育成やキャリア支援のほうに舵をきるわけですが…。
いずれにせよ自分がどんな仕事に興味を示し、何を仕事にして社会の役に立っていきたいのかって、仕事をする中で体験的に手づかみで分かっていく、そういう社会人初期の自己発見ってあるよなぁ、なんてことを懐かしく思い出したりしました。
自分のキャリアをどうしたいかって、頭の中で想像したり計画立てるのはそこそこに、実際やってみて、自分がどう反応するか体に確認したほうが話が早いってことがけっこうある。
やってみれば、けっこうあっさり、これは好き、これは苦手、これは自分に合う、これは性に合わない、これは難しいけどもっと究めたいとかって、自分の体が自分の頭に教えてくれるものだったりして。それなら、とりあえずやってみるのが早いよなと。自分は仕事が好きなんだなぁっていうのも、当然仕事を始めてから気づいたし。
また一方で、これは記事の「二人の帰り道」にも書いたけれど、
早いうちからあんまり1職種の役割やスキル要件にこだわって、無駄なくその専門性を究めようとすると、経験の点がひと所に小さくまとまってしまって、年月を経て振り返ってみると表層的でつぶしがきかない仕事能力に留まってしまう罠ってあるよなぁ
とも思います。
特に若い時分は、早く何者かになりたくて、明快な肩書きをもって働くことに憧れ、一つの職種を掲げて、その職種を特徴づける役割・スキルを身につけることにこだわりすぎてしまうってことがあるかなぁと思うのだけど、そのリスクも頭の片隅に置いておいておきたいところ。
大野さんがいう
特定の分野の上級者を目指すよりも、どんな仕事もまんべんなくできる偏差値55を目指して幅広くスキルを身に付けることを意識していました
と幅をもたせる歩みも、当時のご本人的にはやむを得ずの面があったとしても、実はユニークで息の長い市場価値を育むのに、そういうアプローチは大変有意義なことだったりして。1つを究めるより、2つ3つ以上をかけ合わせていったほうが個人のユニークな価値は作りやすいものだし(1つだけの専門性で抜きんでるのは大変…)。長期的にみて、いろいろとつぶしがきいて豊かなキャリアを育みやすい王道はこっちだろうなぁと思ったりもします。
個人的には「ママ友の紹介で」ってくだりも好き。仕事の機会って、実はいろんなところにある。それに目をとめられるか、つかまえられるかも自分にかかっているところってあるなぁと。などなど、たくさんいろんなことを感じた取材で、彩り豊かな気づきが詰まっています。ご興味ある方は、ぜひ読んでみてくださいませ。
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