父と気晴らし銚子旅行へ
「6~9月の間に5日間とってください」という夏期休暇を2日分、未消化のまま9月下旬をむかえていた。もう後がない。しかし9月4週目までは、やることが詰まっていて休めない。29日も会議がある。ということで、28日(月)、30日(水)に駆け込みで夏休みをとることにした。
それであれば、27日の日曜日から一泊二日で、父を誘って銚子旅行に出かけようと企てた。
このコロナ禍では、九州から妹を呼び寄せるわけにもいかず、兄一家を誘って大所帯で旅行ってわけにもいかない。私との二人旅じゃ、醤油も薬味もつかない冷やっこのような味気なさだろうけれど、太平洋に行けば大丈夫。太平洋まで行けば、あとは太平洋がどうにかしてくれるはずだ!という全幅の信頼をもって銚子に出かけた。
銚子であれば、特急「しおさい」に乗ってびゅーんと行けそうだし、観光地として南房総ほどの華はない?ので、人口密度もそう高くなさそうだ。40~50メートルの断崖が10kmにわたって続くという屏風ヶ浦も一度見てみたかったし。銚子は海も硬派そうで個人的に好みだ。
私は(眺めるには)硬派な海が好きだ。千葉の海って、日本海ではなく太平洋であるという開放性をもちながら(って日本海に失礼だが)、湘南のようなロマンチックさをもたない飾り気のなさが良い。そんなに穏やかでなく、ざっぱーん、ざっぱーんと打ち寄せる波が豪快で、見ていてすがすがしい(という生まれも育ちも千葉県人の勝手なイメージ)。
ということで、直前に「よし行こう」と決めて、父の都合を確認するのと並行で、宿泊先を手早くネット予約し、太平洋を手配した。太平洋、温泉宿、ごちそうがあれば、もう十分だ。いくつか目ぼしい観光地や食事処をチェックして、あとは当日に、二人の気分&天気で動くことにする。
父は車の免許を返納し、私はペーパードライバーなので、今回は電車、徒歩、タクシーの移動。この辺はちょっと面倒かけるかなぁと思ったけれど、なかなか悪くなかった。移動距離と父の疲れぐあいにあわせて移動手段を使い分けると、二両の銚子電鉄に揺られて移動したり、終点の外川駅から町並みを楽しみつつ宿泊先まで歩いたり、ちょっと離れた食事処にはタクシーで移動したりして、彩り豊かな旅になった。
電車とバスは1時間に一本という感じだったけれど、タクシーは銚子市内なら電話で呼んでから10分でどこでも来てくれるので、大変お世話になった。どこの目的地にも、せいぜい10分程度で着いた。初乗りは500円。2回お世話になった運転手さんは、観光地情報もいろいろ教えてくれて良きガイドになった。
銚子ポートタワーから犬吠埼灯台まで運んでくれた運転手さんは、「一山いけす」は店内にあるいけすから、いきのいい魚を出してくれて人気なんだと教えてくれた。海辺を歩いて太平洋を見渡し、犬吠埼灯台に昇った後、お昼は一山いけすに行きたいと父が言うので、タクシーを呼ぶと、さっきの運転手さんが再び迎えに来てくれて運んでくれた。
一日目の午前中は、時々雨も降って、ちょっと寒いくらいだったけれど、昼過ぎから徐々に天気が回復してきて、ぽかぽかしてきた。二日目は朝から晴天で、すばらしい秋晴れにめぐまれた。
宿泊先は、部屋の目の前に太平洋が広がっている絶景。夜寝ている間も、ずーっとざっぱーんざっぱーんという海の音がけっこうな大きさで絶え間なく聴こえるのだけど、決して耳障りではないんだよな。自然のものとして難なく受け入れ、心地よい眠りにつける、人間はそういう生き物なんだろうな。
太平洋は、大浴場の露天風呂からも望めた。目の前が海。宿は、部屋、風呂、食事処、ロビー、どこも海に面していた。台風のときなどは相当こわいと思うが、穏やかな秋晴れの日には最高だ。日の出も、私は部屋から、父は露天風呂から楽しんだ。
旅行中は、父といろんな話をした。ちょっと会って食事するだけでは、なかなか話題にあがらないような話も、一泊二日の旅をともにしていると、時間もたっぷりあるし、いろいろ話題にあがってくる。父が最近みている夢の話もあったし、小学校あがる前に進駐軍にチョコくれって言うのが流行ってた話も聴いたし、菅政権どうよ?って話もしたし、スマホで動画をどう撮ってどう見てどう人に送るかを教えたり、父が現役だった終身雇用制の時代と違う現代の40代がどういう価値観で現役をやり、将来設計しているのか問われて、私なりの考えを述べたり。
父は私の話を聴いた後、「なるほどな、そうすると、おまえと○子(私の妹)じゃあ、結婚しない、子ども産まないという点では一見同じように見えるけど全然違うってことなんやろな」と口にした。「そうだろうねぇ、○子には○子なりの考えがあるんでしょう。私とはまた違いそうだねぇ」と私は応じた。
こういう会話が、なんとなく大人の親子旅ならではという感じで、なかなか良い思い出だ。父は、自分と娘の人生観には違いがありそうで、自分にはよくわからないけれど、自分の価値観を押し付けたいわけでもないし、願わくばその娘世代の人生観とやらがどんなものか当人に話を聴いて理解したい好奇心をもっているようである。
私はそういう父のスタンスがすごく好きだし立派だと思うので、自分が今の現役世代の代表とはまったく思わないけれども、一例として自分なりの考えを言葉に起こして伝えることには努めたいと思う。今回は、そういう会話ができたような気がする。
父が1日目の夕食どきも、2日目の旅の終わりにも、「いやー、よく歩いて、よく食べて、よく飲んで、よくしゃべったわー」と満足げに言って「おまえのおかげだな、ありがとう」と礼を口にした。こちらこそ。私も楽しかったし満足。ぱっと決めて、ぱっと行って、よかったなぁ。いい旅だった。
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