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2020-02-05

[共有]一人でもできる、キャリアの棚卸しシート

少し前のこと、「7割の働き手は、自分のキャリアやスキルを棚卸しした経験がない」という調査結果が目に止まった。

気になったので情報源をたどってみたところ、経済産業省サイト内にある資料で、「キャリアの棚卸しをしたことがあるか」「行った場合、その手段は?」を問う調査結果に行き当たった(産業人材政策室 2017年12月 「人材像WG参考資料集」 P43~60、上の記述はP57)

対象者は、民間企業でフルタイム勤務する30~50歳の潜在的転職者(転職を意識したことがあるが、実際に転職までできていない層)で、インターネットによる調査。

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ここで問う「キャリアの棚卸し」とは、これまで携わってきた全ての仕事、身に付けた全てのスキルについて書き出し、整理すること。

回答は、やったことが「ない」がダントツの7割(71.5%)。続いて「自力で」やったが2割(21.0%)、あと残りの「企業内研修で」「転職サイト等への登録で」「友人・知人に相談して」「キャリアコンサルタント等のプロに相談して」やったが、まとめて1割満たない。

キャリアの棚卸しというのは、「手間がかかるし疲れる」「面倒くさい」以前に、「知るもやるも、機会がない」ことから、あまり行われていないように思われた。それっておいしいの?という人がマジョリティではないかと。

ただ実際のところ、過去の自分ほど、本当の自分を深く知れる(探れる)情報源もないのでは?というほどに、自分がこれまで実際にどうしてきたか、その時どう思ったか、それでどう行動したか、しなかったかというのは、自己洞察の最たる情報源。

スガシカオも「progress」の中で歌っている。

ずっと探していた 理想の自分って
もうちょっとカッコよかったけれど
ぼくが歩いてきた 日々と道のりを
ほんとは”ジブン”っていうらしい

恐れ入った…。というわけで、これまでのキャリアを丁寧に棚卸ししていく中で、無意識下にあった自分の特徴を意識(認識)することができる効用は確かにある。

オーソドックスなやり方だし、手間はかかるが、他の手軽なメソッド・ツールではなかなか掘り起こさない、自分オリジナルの自己洞察に当たれるのが、キャリアの棚卸しというやつではないか。

時期ごとに、自分の好きなこと、嫌いなこと、得意なこと、苦手なことなどを掘り起こすことができ、次に活かしたいこと、逆に自分が金輪際かかわりたくないこと、人、環境もはっきりする。

また一枚のシートに過去のキャリアの全容を書き記すことで、俯瞰的に自分の浮き沈みや、自分の一貫したこだわり・関心事、段階的な成長をうかがい知ることもできる。シートを見渡すと、点と点をつなぎあわせて新しい可能性を発見・発想できることもある。こうした情報が、今後のキャリア選択の指針になったり、自己アピールのネタになったりもする。

30歳くらいまでに一度やっておくと、あとはアップデートで済むので、後々も活用しやすい。あんまり歳を重ねちゃうと、もう昔のことを思い出せなくて、やるのがしんどくなる…。

私はたまたま、若い時分に転職を何度かしたので、その都度やる機会があったのと、キャリアカウンセラーになるための講座受講時にやる機会があったのと、そういうのを熱心にやる親会社だったときに30歳前後の社員がグループ各社から集められて企業内研修でやる機会もあった。

あと転職求人サイトの「中の人」をやっていたときに転職相談アドバイザーとして働いていたので、ユーザーのWeb職歴書の添削を数千件はやっていて、「キャリアの棚卸し」作業には並々ならぬ縁があるけれども、そんな人はマイナーだろう。

ということで、一人でもできるように「キャリアの棚卸しシート」の型と手引きを作ってみたので、(1)とりあえずやってみたいという方、(2)今ちょうどそういうことをやるべき時期な気がするという方、(3)自分の志向を探りたいけれど、何のメソッドもなく立ち往生しているという方などは、ぜひ試しに使ってみていただければ。Slideshareにて、とりあえずダウンロードできるようにしてみました。

一人でもできる、キャリアの棚卸しシート(型と手引き)

使い方は、シート内にも書いておきましたが、
(0)ダウンロード→A3紙に印刷(1枚目がサンプル、2枚目が記入シート)
(1)自分のキャリアを大まかな時期に区切って「年齢/時期/西暦」を記入
(2)時期ごとの「満足度の高さ」を、まずはざっくり曲線で表してみる
(3)各時期の「主な居場所」「主な活動」「主な出来事」「影響を受けたコト/モノ/ヒト」などを振り返って、埋められるところから飾らない言葉でメモ書きしていく。時系列で埋める必要はない。後から思い出したことがあれば、その都度、書き足していけばいい
(4)これまでの経験を振り返った中で「発揮した能力」「獲得した能力」「自分に関する気づき、再認識したこと」があれば書き出してみる
※記入に困ったら、右枠の「記入の手引き」も参考に

必ずしも全員やるべきものだという話でもないけれども、有用な局面にありながら、その存在を知らなかった、やり方がわからない、面倒くさいというので、できていないというのであれば、そこを乗り越える支援ができたらと思います。他にこういう項目出しも有効だったとか、こういう順序だと書きづらいとか思うところあれば、フィードバックくださいませ。

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