[共有]会社行事でのプレゼンをどう評価するか
プレゼンテーションの上手さって、声の大きさ、話すスピード、話しぶりの流暢さ、佇まいの安定感、円滑な話運び、構成の分かりやすさ、物語の展開力、語彙の豊かさ、興味をひかれる事例選び、スライドの見せ方…と、いろんな切り口で評価できると思う。
けれど、そうした評価軸を分解して提示することなく、聴衆に「どうでしたか?」「良かったですか?」「満足度は?」と、ざっくり総合評価を求めるだけだと、表層的な話の上手い下手だけに評価が偏ってしまう恐れがある。
いや、ショーとしてみれば、仕方ない、パフォーマーが悪い、もっと人前で話す力を身につけろ、話はそれからだ!ってことで話は終わるのかもしれない。
でも、会社行事となると話は別ではないか。たとえば、期の節目に行うキックオフミーティング(全社会議)とかで、前の期を振り返り、今期われわれはこういう活動をしていこう!と、話し手(主に上の人)が聞き手(全社員)に働きかける場だとすると、仕方ないで終わらせず、主催者としては、もう一捻りしたいところである。
参加者に事後アンケートをとったとき、たとえ中身が薄くても、なんとなく話が上手かった気がする(盛り上がった、笑えた、事例が豊富で飽きなかった…)人が高得点をとる。逆に、ぼそぼそしゃべっていて聞き取りづらかった人のプレゼンは、中身の良し悪しに関係なく低評価になってしまう。これが常であれば、組織的にもう一踏ん張りしたいところではないか。
話し手が、大勢の前で話し慣れていなかったり、もともとどちらかといえば聞き取りづらい声質だったりすることもある。前の期では聴く側だった人が、今期から昇進して話し手にまわった、これから徐々に経験を積み、大勢相手のプレゼン力を鍛えていく段の人も出てくる。
そういう場では、話し方一つで「あの人の話は聞くにたえない」と断じることなく、聞く側も話の中身に集中して本質を汲み取る努力をし、話し手も中身を練り上げ、きちんと伝わるように話す努力を重ねていく双方の向き合い方が大事だろうと思う。
それは聞き手にとっても大いに利のあることであり、ひとまとまりの話を聴いて、多角的に、また本質的な論点を汲んで評価するというのは、何者になるのであれ大事な基礎力の鍛錬だ。
そういうわけで、会の主催者が評価軸をいくつか分解して事後アンケートの中に入れこみ、参加者にさまざまな観点からプレゼン評価してもらうやり方もありかなぁと。期首に行うキックオフミーティング(全社会議)を想定して、評価軸の例を8個に書き分けてみた。
▼キックオフ[期首の全社会議]のプレゼン評価(例)
話し方
スライド表現
市場・公共性
具体・現在性
道筋の論理性
内容の妥当性
育成効果性
意欲向上性
それぞれが何を指しているかは、次の資料にお目通しいただければ。
私の手元には、自分の勤め先のキックオフを想定し(て勝手に書き起こしてみ)た「実施目的」「期待する効果」、それを踏まえた「評価軸」の書き起こしがあるのだけど、その「評価軸」をいくらか汎用的な言い回しに変えたもの。なので、ご利用の際は、資料内の※で付記したとおり、それぞれで、その会の「実施目的」や「期待する効果」を明文化し、これらを踏まえて評価項目を追加したり、上記を変更・削除いただければ。
また、アンケートでどう問うか(設問文の表現、回答の選択肢)は、参加者が回答しやすいよう言い回しを要チューニング。資料内の「どのような観点で評価するか」の説明文は、主催者向けに意図を共有すべく、ゴツゴツした荒削りのまま出しているので。それにしたって、言葉の与え方が適当かは微妙なところだけど…、ざっと雰囲気をつかんでいただいて、よりフィットする言葉に洗練させていっていただければ…。
というわけで、どこでも通用する汎用性の高さをもつものじゃないけれど、一から起こすより、これにケチつけながら自社向け・自部門向けにカスタマイズしていくほうが話が早いかもしれないので、そうやって使えそうだったら、たたき台に使ってください。
趣旨としては、参加者が、資料の例でいう上のほうの項目、「話し方」や「スライド表現」だけに意識を奪われることなく、話の中身の良し悪し、意味の有り無しに関心を向けてプレゼンを聴き、内容の理解を促進したり、皆で健全にプレゼンを評価してブラッシュアップしていく、あるいは全社的にマーケティング視点を涵養する機会に使えたらいいなぁという思い。
もちろん、そういう分解した評価軸と別に「一通りの話を受けて、今回のキックオフに参加した収穫はありましたか」と総合点を訊いて数値評価したり、「具体的にどんな収穫がありましたか」とコメントを求めるのも有効かと。
追記:PDFのダウンロードはSlideshareから。
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