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2019-07-10

20-30代の生態、マネジメントする40-50代の葛藤

法人研修を提供する仕事をしていると、クライアント先で40-50代の現場マネージャー(発注者)から相談を受け、その話をもとに作った研修プログラムを20-30代の受講者(発注者の部下)に提供する機会が少なくない。

研修案件を引き受けるときには、客先の現場マネージャーにいろいろと話を聴く。どうなりたいのに、現状どこに従業員の能力不足があって問題なのか。そうした話の中では、現場マネージャーが年々、歳の差が開いていくばかりの若手をどうマネジメントしていけばいいものか、苦悩したり葛藤している様子もうかがい知ることになる。

いちいち説明が必要、わからなくても質問してこない、指示待ちが基本、安心安全な場所で練習したがる、業務時間内に勉強したがる、権限を求めず責任を負いたがらない、メンタルが弱い、何か言うとへこんで這い上がってこない、働かされている感じ、ハングリー精神に欠ける、こんな時代に社内にロールモデルがいないと嘆く、やりたい仕事ができないと嘆くわりにやりたい仕事を獲得するための具体的アクションを起こさない、無駄かどうかなんて判断できない頭で無駄を嫌う、不平不満を表立って言わずにある日突然に退職を決めてくる…とか、どうだろうか。

世代違いを要因に持ちだすと、「なんでもかんでも世代論で片づけやがって!」と拒否反応や反発を覚える人もいるかもしれないが、一方で、なんでもかんでも「世代間の違いは関係ない」と決めつけてかかるのも、それはそれで違うかなと感じる。

世の中のあらゆる「結果」は、複合的な要因のもとに起きていると思うので、その一因に世代差による影響、育ってきた環境や時代背景が違うことで双方が相容れずに発生している問題も、あっておかしくない。個体差もあれば、地域差も、世代差もあって、その他にもいろんな影響を受けて、人の違いが生み出されている。どうにも相容れないという行き違いも起きてしまう。そこで大事なことは、さまざまな要因に丁寧に目配せすること、それが一番、健全な洞察を得られると思う。

なんて考えているときに、ちょうど関心事にひっかかる英語の記事を目にした。Training MagazineというWebメディアの「企業が直面している難題」という記事で、「いかにミレニアル世代を理解し、リードし、モチベートしていくか」という12個のポイントをまとめているリストがあったので、ざっくりそのリスト部分を訳してみた。

※20年ほど離れていたところから、のっそり英語学習を再開したばかりの私が、英語の練習がてら意訳したものなので、あてにならないことこの上ないが、雰囲気の共有です…。そこはご容赦を。

ここで取り上げられているのは、米国でいうところのミレニアル世代というやつか。デジタルネイティブとも呼ばれ、「2000年代に成年期を迎えた世代」が今、職場では一線に立つ。1981年から1996年に生まれた人たちとくくると、2019年現在、23歳から38歳くらいの働き盛りだ。けっこう広いな。

THE MOST CHALLENGING ISSUE COMPANIES ARE FACING RIGHT NOW│Training Magazine

以下、「ミレニアル世代は〜だ」という12個のポイントに整理した意訳。

1.ミレニアル世代は、チームで協力して働くことを好む
すこし背伸びした目標を与え、部門間のやりとりを入れると良い。ただ、職務からはずれた活動に巻き込みすぎてもいけない。大変すぎると年間目標を達成できないだろう。

2.ミレニアル世代は、フィードバックを欲している
働きに対して、フィードバックを返そう。ただ「よくやった!」では、うまくいかない。プロジェクトごとに週1で具体的な指導を与えるようでないと、彼らは満足しない。

3.ミレニアル世代は、トレーニングにやりがいを得る
適切なトレーニングを受けられるようにしよう。予算と時間が許すなら、トレーニングを提供しよう。

4.ミレニアル世代は、仕事の「How」と「Why」を知りたい
彼らは仕事の全体像を捉えて、貢献したいと思う。会社のビジョンや戦略について話し合うブレストやオフサイトミーティングの時間を作ろう。

5.ミレニアル世代には、「フレックスタイム」が必要
仕事とプライベートを分けるのが困難で、何時にでも仕事をすれば、それを仕事として認めてほしいと思う。できるだけ彼らのライフワークバランスを尊重しよう。

6.ミレニアル世代は、高い倫理基準をもつ
みずから見本を示して、彼らを引っ張っていこう。言うだけ言って実行しないなど、この人は口先だけだと思われたら、彼らはついてこない。

7.ミレニアル世代は、説教を好まない
フィードバックやトレーニングは望むけれど、説教は求めていない。講釈をたれたり、尊大な態度をみせると、そっぽを向かれてしまう。

8.ミレニアム世代は、一人芝居で話し続けられると退屈する
ミーティングは双方向で、できるだけ楽しくやろう。皆を会話に参加させ、折りに触れ皆にミーティングをリードさせる機会をつくろう。

9.ミレニアル世代は、始めるとき「始め!」の号令が必要
きちんとスタートを宣言されないと、待機を続けて何もしない。プロジェクトを始めるときには、明確に「始め!」と宣言しよう。

10.ミレニアル世代は、自分よりテクノロジーに明るい
彼らのほうが、アプリ、ゲーム、ソーシャルメディア、Webサイト、ソフトウェアなど、様々な技術知識に秀でている。それを認めて、技術絡みのプロジェクトを任せていこう。

11.ミレニアル世代は、顧客や地域社会にとって重要な役割を果たす会社の一員でありたいと思っている
彼らの仕事観は、仕事をやり遂げて給与を稼ぐだけでは満たされない。自分たちが手がける製品・サービスが顧客に価値や利益を提供し、自分たちがうまくここにフィットし機能を果たしていることを示そう。彼らにとって「意味のある」環境を作っていこう。

12.ミレニアル世代でなくとも、報酬は嬉しい(超意訳…)
皆が感謝され、尊敬され、評価されていると感じるようにケアしよう。よくやったと褒めたり、ありがとうと伝えたり、ちょっとしたギフトを贈るのでもいい。

ここまで書かれると、「自分はミレニアル世代のご機嫌取りのために仕事してるんじゃない!」という気になるかもだけど、現場マネージャーにも見直せるところはあって、もちろん若手の側にも見直したらいいことがある。そんなふうに捉えて、とりあえずこの生態を参考までに眺めてみると、何かしら打ち手の発案に使えるかもしれない。

何のためにやるのか、どこを目指しているのかをシェアしたり意見交換する時間は大事っていうのは、別にミレニアル世代に限った話じゃないと思うけれど、そこんとこ本当に丁寧にやれているかなって見直してみるとか。

現場叩き上げで、寝る間も惜しんで休日使って知識・スキルを獲得してきた人たちには、会社でトレーニング機会を提供してあげるなんて甘ったれていると思う向きもあるかもしれないが、実務に就く前にある程度体系立てて知識をインプットしたり、練習して失敗して見直すトレーニング機会を与えてあげることで、彼らのモチベーションが高まったり、あとは自学自習していける取っ掛かりになるなら、そんなの家でやれ!の一辺倒で一切をはねのけるより、取っ掛かりのトレーニングをやってあげたほうが問題解決には話が早いかもしれない。

このあたりを丁寧に洞察深めていきたい。それぞれにどういう施策が功を奏すのかと、あれこれ考えたり情報を整理したりしている。そこで自分が、なにか働けたらいいんじゃないかと。

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