「Web系キャリア探訪」第12回、サラリーマンぽくないサラリーマン
インタビュアを担当しているWeb担当者Forumの連載「Web系キャリア探訪」第12回が公開されました。今回は、デイリーポータルZの編集長、林雄司さんを取材。
デイリーポータルZは万年赤字!? 編集長・林さんがサラリーマンを続ける理由
「デイリーポータルZ」(DPZ)は、ネット黎明期から17年続く超老舗のWebメディア。2002年の立ち上げから、DPZを大事に大事に育ててこられた林雄司さんは、ずっとずっとサラリーマンでもありました。
私は「サラリーマン」をひとくくりにして何か語ろうとする物言いに遭遇すると、どうにも違和感を覚えてしまうのですが、林さんのキャリア話は、そういうステレオタイプを軽やかに融かしてくれる感じ。
昔からサラリーマンにもいろいろな働き方があっただろうけれど、合理化とか多様化といった変化の波を受けて、今や「サラリーマンぽくないサラリーマン」は世の中にうじゃうじゃいると思うし、これからますます増えていくとも思う。
自分が何かステレオタイプなものの見方にはまりそうになったときには、「林さんもサラリーマン」という自分ツッコミを入れることで、いろいろ凝り固まったものの見方を溶かせそうです。
従来のあり方・やり方が溶解していって、いろんな概念の輪郭が曖昧になっているご時世、この先「サラリーマン」もひとくくりに何か語ることは、相当むずかしくなるんじゃないか。そういう中で、こうやって一人のサラリーマンのキャリアを掘り下げて話を聴き、メディアを通じて共有する活動に関われることは、大変有意義でありがたいことだと改めて思いました。
さて、今回の記事の編集後記「二人の帰り道」で、林さんのキャリアについて、
「笑いのプラットフォーム」を築いて皆を舞台に上げていく
と書いたところは、補足しておきたいというか、ぜひ紹介したい動画があります。
Web担当者Forumの記事のほうにも、冒頭で「顔が大きくなる箱」「地味ハロウィン」へのリンクがはってありましたが、この「〜世界の反応」記事の動画とか見ていると、ほんと目頭が熱くなります。あぁ、この笑顔を林さんは創り出しているんだ!って胸いっぱい。最初観たとき、泣いちゃったもんなぁ。
林さんが創り出しているのって、笑えるコンテンツにとどまらず、笑いのプラットフォームなんだって、今回取材の下調べをしているときに、この動画を観て思いました。
「顔が大きくなる箱」って、別に自分が変顔しなくても、それをかぶるだけで自分が舞台上の演者の役どころにまわっていて、自分の家族や友人をげらげら笑わせている状態になっている。絶妙なラインに敷居の低さを設定して、さっと人を舞台上に上げる仕掛けになっていて、観るほうだけでなく、箱をかぶったほうも自然と顔がほころんで、嬉しくてなって面白くなって笑っちゃう。そこに、みんなの笑顔と笑い声が広がる。すごいプラットフォーム。
「地味ハロウィン」になると、参加する敷居は「顔が大きくなる箱」より上がるんだけど、その分、参加者の創造力を絶妙に刺激してきて開花させる。みんなが、なにで地味ハロウィンを演じるかにアイディアを巡らせ、知恵をしぼり、ものを作ったり手配して身にまとう一連の準備が人を超クリエイティブにさせるし、当日会場におもむくと、見知らぬ参加者同士でぐっと距離を縮めて親密に笑い合える形になっていて、会場に行かなかった私たちも記事を読んで思いきり笑えて、参加者に敬意を抱いて、読後に心洗われる感覚を覚える。複線的にいろんな人をまきこんでいって笑いが笑いを包みこむ構造をもった秀逸なプラットフォームに脱帽。
ちょうどいい按配で参加の敷居を設定して、みんなが舞台にあがってこられるようにして、みんなが自分で笑いを創り出して、笑い声を立てて、笑いの波動が気持ちよーく外へ広がっていく。そういう場を創り出しているのが林さんの仕事で、これって、参加してくれる見知らぬ人たちへの創作意欲や創造力に対して、根底に期待感や信頼がないとできないことだよなぁと思うし、敷居のさじ加減を絶妙にチューニングするセンスがないとまわり出さないと思うし、身内も参加者も全体をわーっと巻き込んでいく力も必要で、なんというか、偉業だなぁと思います。
ライフとワークが分かちがたくつながっている林さんのキャリア話は、個人的に親近感をおぼえるところも多く、すごく自然体で話を聴き込んでしまい、元気をもらったし、快い取材時間でした。ぜひ本編の記事、ご覧いただければ嬉しいです。
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