キャリア支援をテーマに自分ができること
最近、企業さんから「社員の自律的なキャリア開発」に関するご相談をいただいたのを契機に、キャリア支援をテーマに自分ができることを、サービスや講座の形に落とし込んで整理してみた。
畑を耕すように、DropboxPaperに足を運んでは文章をしたためていって、今の状態。一覧ページから、それぞれの詳細を案内するページにとべるようになっている。
こういうのを一般人がテキスト打つだけで発信できてしまう時代って、なんてありがたいのか。(それが魅力的にきちんと伝わるかは、また別の問題があるけれども…)
「パッケージではなく、オーダーメイド」を基本に活動しているので、最終的に落とし込む形は相手に応じて手作りしていくのに変わりないけれど、それだけじゃどんなことを頼めそうなのかが一向に伝わらないよなと思い、仮で「形」を与えてみた感じ。
キャリアってテーマは、すごく個別的なものだし、答えのないものだし、誰かが(まして私が)大上段に構えて説くような話でもない。「研修」や「講座」として扱うことにそもそも違和感をもつ方もあると思う。
でも、ちょっとステレオタイプな「研修」「講座」イメージを捨てて、「一人だけで考えて結論しないキャリアデザインの意義」みたいなところにフォーカスをあててみると、こうした支援の形にも一定の価値を見いだせるかなと。
「考察:自己理解を能率化するアプローチと支援」を書いているときに改めて思って言葉にしてみたのは、こんなこと。
自分が大事にしたいことや自分に合うことは自分にとって当たり前のことであり、また抽象的な概念のため言葉にしづらい(=意識化しづらい)。自己理解は、いきなり自分の内面に問いただすより、一旦外側から検討材料を調達して取りかかったほうが能率化する面がある。
キャリア開発の考え方や支援ツールなど、あれこれ触れていると、例えば「どんなライフスタイルが好みか?」みたいな問いに30項目以上の「〜な生活」という選択肢を列挙しているツールとかあって、そういうリストに「これはいい」「これは自分の価値観から遠い」なんてざくざく反応を返していくと、ピックアップした「〜な生活」から、自分てこういうライフスタイルを好む人間なんだなって浮き彫りにできたりする。なんだかなって気もするだろうが、並んでいるからこそ優先順位も自ずと浮かんでくるというもの。
与えられた選択肢を一つ選んだら、それを自分の答えにしなきゃいけないって縛りも、どこにもない。あくまで自分を理解するための道具にすぎないのだから、「これと近いんだけど、自分の感覚はこれとちょっとニュアンスが違って、こんな感じなんだよなぁ」というところから、もっと直接に自分をつかみにいったらいい。近しい選択肢から、解釈を広げたりずらしたりして、自分のことを掘り下げていくことができれば能率的。たとえ「1つ選べ」という問いかけだったとしても、2つ3つ選んで、そこからオリジナルの1つが頭の中に浮かび上がれば結果オーライだ。
自分がこれを選んだ理由、あれを選ばなかった理由はなんだろうというふうに、選択理由の説明を試みることで、思考の旅はいくらでも膨らましようがあり、そこから自分の理解が深めることもできる。
ライフスタイルからもう一歩具体的に「仕事をする上で大切にしたいこと」リストなんかも、いくつかメソッドやツールを見比べてみると、仕事観って一括りにいってもいくつか切り口があるんだなぁみたいなことが見えてきたりする。
私がみてとったのは、次のような3つの切り口だ。
●「〜な仕事をしたい」「〜の役割に従事したい」(仕事内容、役割)
●「〜な働き方をしたい」「〜な会社・環境で働きたい」(働く環境・スタイル)
●「仕事を通じて〜を得たい」「〜のために働きたい」(働く目的・獲得したいもの)
でも、ここの「〜」に自分がびびっとくるものを思いつくのが、一人でやっているとけっこう難しい。ちょっとニュアンスが違かろうと、一旦は外から選択肢を提示してもらって、それをきっかけに自分の言葉を探していくほうが、アプローチとしては能率的かなって感じがする。
一人で部屋にこもってウーンって考え出しても、なかなか言葉が出てこない上、思いつくものに網羅性もないから、いつまでも考え終える蹴りをつけられなくてズルズルしたりする。ある程度、隅から隅まで行き渡ったリストがあると、とりあえず一定の網羅性をもって検討できる。
まぁ別に必要ない人・時期には全然必要ないのだけど、何かを取捨選択・意志決定しなきゃいけない局面では、自分のことを深く理解しているっていうのが、ものすごく判断を速く、楽にするし、間違いがない、あるいは後悔がない。
変化の激しい時代・業界では、数年・数十年先の世の中を占うより、自分のことをよく理解しておいて、世の中が変化するとき、だったら自分はこう動くという判断がすぐ出るようにしておくほうが賢明かもって見方もあると思う。
ともあれ、外部から与えられる言葉は、自分の脳を働かせる「刺激」として受け止めて、刺激を受けた自分がどんな「反応」を返すかを観察して、観察したプロセスや結果を丁寧に解釈すれば、そこにこそ大事な情報が生起する。そういうふうに、あくまで一時的&一次的な道具としてつきあうことを大事にできれば、こうした支援ツールも有意義じゃないかと思う。
私もそういうスタンスで、能率化する支援ツールの一つとして役割を果たせたらなと思う。キャリアカウンセラーというのも、こうした言語表現のあれこれを、一般の人よりは多く使っている(かもしれない…)ので、対話の中で解釈を広げたりずらしたり、フォーカスを絞りこんだり考えを精緻化する際の話し相手に使えるかも。
また、自己理解を支援するツール選び一つとっても、いろいろ見比べていると、フォーカスのあて方が異なるから、適切な道具選びもサポートの一つだ。先の図「自己理解を能率化するアプローチ」では、下のように切り口を分けてみた。
●性格
●希望のライフスタイル
●仕事の価値観
●適職
●環境/条件
その人が自分の何を知りたいのかを見定めて、話を聴いたり、整理したり、深掘りしたり、一緒に探索したり、必要なら適切なアセスメントツールを紹介したり、その解釈をサポートしたり。そういうことをやっていけたらなと思う。
DropboxPaperにまとめたのは、半分は自分の考えの整理用に起こせて良かった感じ。もう半分は、自分でお客さんに案内するときの手元資料として使えたらというイメージだけど、どこからでも見られる状態になっているので、この会社で興味あるかも?といったお相手にいつかどこかで巡りあったら、ぜひこちら思い出してやってくださいませ。
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