43歳という立ち位置
この週末に誕生日をむかえて、一つ歳をとった。同世代の友人から「お互い50歳に向けてますますアップデートしていきましょう!」という威勢のいいメッセージをもらい、「ご、ごじゅう…」と一瞬ひるんでしまった。
歳を重ねることに抵抗はないのだけど、自分が50を迎える日が来ることを現実的に想像しようとしても、まだ難しいことに気づく。私の周囲には魅力的な先輩方があちらこちらにいて、あの器には程遠いな…と思う。
まぁ、そういう先輩方とはずっと距離を縮められないまま歳を重ねていくのだろうけれど、そんな人たちと一緒に同じ時代を生きられて、ちょっと前を歩きながら人生を謳歌する様を見せ続けてもらえるのは、たいそう心強い。
とりあえず50まであと何年あるかと慎重に数えてみると、丸7年あった。この7年のうちに、ぐいっと大人になれれば50も怖くない。あと7年あれば、どうにかなるかな…。そう考えると、一年一年、しっかり成長していかないと間に合わないなって気にもなる。
若者からみれば「おばちゃん」でもあり、諸先輩方からみれば「一介のペーペー」でもある40代前半というのは、自分の位置取りにバランス感覚を求められるものだなと思う。いつまでも若い気でふるまわれても若者にはうっとうしいだろうし、おばちゃんおばちゃん言うばかりでも、なんだ40の若造が玄人ぶって生意気に!って感じがある。
私個人的には、どうしても意識が「おばちゃん」より「一介のぺーぺー」感覚に寄りがちだ。放っておくと若者より先輩世代にすり寄っていく傾向があるため、ずっと下っ端の感覚が抜けないし、チームマネジメントを避けてずっとプレイヤーでやってきているので、人材育成には裏方で関わり続けている割りに、自分が直接的に若い人たちに何か教えるとか育てるといった立ち位置は、さほど馴染みがない。「自分に有能感を覚えたら最後、そこが自分の能力の終着点だ」という危機感も体に馴染んでいるため、自分の仕事人生で「一介のぺーぺー」感覚はおそらく一生抜けないだろう。
だけど1割2割、そろそろ若い世代との交流機会ももちつつ、その対話から、自分に何ができるのかを問うて活動していく時間も有意義なんだろうなと、最近若い女子たちとゆっくりしゃべる機会があって、思ったりした。
自分がどういう役に立てるのか、どういう働きができそうかって、文脈や環境に依存するから、その現場の文脈・環境に身をおいてみて、そこで出会う人たちと話してみないことにはわからない。話してみれば、何かできることも発見できたりする。
一人で閉じていると、あるいは固定的で偏った環境下にずっといると、それが見えてこない。自分が知っていることは皆も知っていると思うし、自分ができることは皆もできると思うから、自分は何の役にも立たないようにしか思えないし、人の話を聴いたり読んだりすると、自分の知らないことできないことを、いろんな人が知っていたりできることに圧倒されて、ますます本当に自分は何の役にも立たないなという気がしてくる。
だけど、どこかの場に出ていって、そこに身をおいて、そこにいる人としゃべってみたり、そこで起こっていることを観察してみたり、人や物の動き、事の流れを肌身で感じて追っていると、いろいろ自分ができること、言ってみたら力になれそうなこと、やってみたら役に立ちそうなことを発見できたりする。
それはとてもささいなことで、ちょっと場を和ますだけのことかもしれないし、ちょっと話を前に進めるくらいのことかもしれない。それでも何の役にも立たないだろうというゼロ地点にいるのとは雲泥の差、心が晴れ渡っていく。
そういうのを見つけてはコツコツやっていくことで、きっといいんだよなと思う。自分に過大な期待をかけず等身大で、できること、できそうなこと、ちょっと頑張ったらできそうなことに手を出していけば。
それがきっと積み重なって、ひとまとまりの経験になったり、再現性ある能力になったり、他の場所でも応用がきくノウハウになったりしていくのだ。
最近、むかし自分が書いた自分のキャリア分析の資料を読み返す機会があって、あぁそうだよな、私はいろんな魅力的な人と出会っていくこと、お話しすること、関わって作り手をサポートしていくことを、すごく大事だなって、これが自分のキャリアの幹だって、若くしてわかったんだった。そのときは意識していたけれど、最近はそういう自分の考えに同化しすぎていたのか、そのことを「意識して大事にする」ってことができていなかったかもしれないなって思った。
大事なものをシンプルに、大切にやっていく43歳にしようと思います。ここまで読んでくださった有り難い方、この一年もおつきあいのほど、どうぞよろしくお願いします。
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