「ワークショップ課題を作る」という自主トレ
野球選手の素振りのように、インストラクショナルデザイナーはワークショップの演習課題を作る…のかどうかは知らないが、私はWebサイトやら関連書籍やらに目を通しているとき、「おぉ、これは演習課題に使えそうだなぁ」というネタに遭遇すると、素振りがてら演習課題を作ってみたりする。
「誰ターゲットで、こういうスキルを鍛えるための、こんな演習課題に使えるかなぁ」などとぼんやり考えるだけで終わりにしてしまうことも多いのだけど、実際に演習課題の「問い/ワークシート/回答例/時間割」を書き起こしてみることもある。
あるいは関連書籍を読んでいて、この内容の理解度を測定するにとどまらず、理解促進や知識定着を図る筆記テストを作るとしたら、どんな設問が良いだろうと考えてみたりとか。そんなことをしていると、さらに本を読むのが遅くなっていくわけだけど…。
こうした活動はすこぶる創造力を使うもので、自分の力の限りを引き出してくれる、あるいは引き上げてくれるもの(にもなる、頑張れば)。つまり、インストラクショナルデザインを生業とする私の、一種の自主トレになる。
何かを教えるときの講義内容の構成、事例解説のネタ集め、講義スライドの作成などは、その道の実務スペシャリストである講演者・講師役の方が単独でも素晴らしいものを仕上げることが多い。
けれど、それを受講者に「説明して終わり」ではなくて、「どう理解促進を図って知識定着させるか、スキル定着させるか、現場に持ち帰って発揮させるか、発展的な継続学習につなげるか」ということになると、それだけでは足りない。そこが、実務者向け学習を扱うインストラクショナルデザイナーの力の発揮しどころである。
と、大きく出たが、まぁたいそう難しい。難しいけど、それこそいくらでも知恵が絞れる広がりがあり、創造的で面白い活動だ。そして、ロールプレイやシミュレーション課題、理解度テストやパフォーマンステストといった類いが、それに寄与する。
この週末は、「中古車のガリバー」のWebサイトに食指が動くページを見つけて、それをネタに演習課題を作ってみた(暇か…)。情報設計の系列化(どういう順序で情報を並べたら分かりやすいか)を考える課題を皆で取り組むワークショップ形式に仕立ててみた。つまり「このページ、分かりづらくない?」と思ったということなのだけど…。
車の種類を5つに分類して、セダンはこういうので、コンパクトカーはこういうのでと初心者向けに説明してくれるページなのだけど、「順番これが一番いいのかしら?」「どうしてこの順に並んでるのかしら?」と不思議に思ったので課題に展開してみた(暇か…)。
だいぶ狭いところを突いている…。取り扱う範囲が狭いと、自主トレで作ってみようって腰をあげやすいのだ…。ちなみに私が考えた答えは、これ。
これは正解(例)ではなく、あくまで一つの回答例にすぎない。実案件でも、自分でたたき台は作るけれど、正解例や問題そのものの監修は必ず、その道の専門家の方にやってもらう。そもそも、この問いに答えることが今回獲得したい知識なりスキル習得にあたって本質的な意味をもつのか含めて、学習テーマ(ここでは情報設計)の専門家の検証は必要だ。
というわけで、どこかに閉じ込められて10分、15分暇を持て余している方とかいたら、ぜひおつきあいいただいて、回答を教えてください…。私はまったく車種に詳しくないので、実案件だったらもう少し調べてから演習づくりに取り掛かるところ、その辺も今回は雑だ。
ちなみに、最近さくっと何か書くのにDropbox Paperをよく使っているのだけど、これがすごく手軽で、ちょうどいい。さくっと!に必要十分な機能と表現力で、複雑すぎず使いやすい。これがあるなら、もうちょっと自主トレ数を増やしていこうって気にすらなる。諸々他のことでも、ちょっと構造化して整理しておきたいってときに、これがあるおかげでちょっと構造化して整理しておくことが増えた。ツールのパワーって、すごい。
結局、思ったことをぼやんとしたまま脳内イメージに留めてしまうと、全然トレーニングになっていないし、脳内の生産活動になっていないんだよなと、今回書き起こしてみて、すごく思った。きちんと言語化して、構造化して、精緻化するってことをやらないと筋力にならないのだ。
今回は作り込んだと言えるほどじゃないけれど、自主トレとしては良い頭の運動になった。今後は「おっ」と思うネタに出会ったら、もっとフットワーク軽く自主トレしていこうと思う。
追伸:
研修で教えられる講師は社内にいるんだけど、適当なトレーニング課題がないとか、実案件ベースで課題を作ろうとすると、案件の背景事情が複雑すぎて課題想定がややこしくなっちゃって、受講者のスキル習得にちょうどよい&興味をもってやってみようと思えるサイズの演習ができない。
…とかで結局、講義形式で方法論とか事例共有とかする研修に終始しているといったお悩みがあれば、そういう現場の力にこそなれたらなぁという思いが常々ありますので、課題づくりとかテストづくりとかで何か手伝えそうなことがあれば、ぜひお声がけくださいませ。ニッチすぎて、そんな働きに市場はないかもしれませんが…。
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相変わらず、頻繁にブログ更新されてて尊敬します!
ところで、アタクシ、この度の人事異動で長野県の松本支社に異動になりました。単身赴任で行って参ります!
とゆーことで、宜しくお願いします!(笑)
何をお願いしたのかしら?!
投稿: かず~ | 2019-02-28 21:49
かず〜さん、お久しぶり。コメントありがとう。
元気にご活躍のようで何よりです。
単身赴任とは大変そうだけど、新しい体験がつまっていそうでもありますね。新鮮で楽しい暮らしとなりますように願っています。
とんでもなく遠い場所でもないしね、またみんなで会えるといいですねぇ!
投稿: hysmrk | 2019-02-28 23:40