「Web系キャリア探訪」第8回、転職から1ヶ月は地図をつくる
インタビューを担当しているWeb担当者Forumの連載「Web系キャリア探訪」第8回が公開されました。今回は、セールスフォース・ドットコムのエバンジェリスト熊村剛輔さんを取材。
44歳、転職は10社目。サックスプロ奏者からIT業界へ転身した男の人生
「転職先では、まず地図をつくる」って、概念的だけど分かりやすい、いい表現ですよね。自分で、自分の居場所を作るのって大切。1ヶ月って期間を設定しているのも、なるほど!というか、さすが「プロ転職家」。
新卒社員として同期と一斉に入社した場合は、ある程度お膳立てされて段階的に居場所や役割を与えてもらえるかもしれないけれど、転職した場合や、新卒でも一人でポンと入った場合は、自分で立ち回って、いろんな人にコミュニケーションをとりにいって、まずはその世界の地図をつくるのが大事。
「地図をつくる」のって、ただ静かに様子をうかがって観察した結果をマップに描き起こすだけじゃなくて、自分のこれからの人間関係を作っていく極めてアクティブな活動を内包しているところが見逃せないポイントだと思う。
そうした地図づくりから、職種や階級などの組織に与えられた役割にかぎらず、個人としてここでどう役立てそうかを自分で模索したり開拓していく能動性が、転職には欠かせないと思う。
また、そうやって手探りで自分の役割をたぐりよせていく自律的なキャリア形成が、21世紀の標準的なスタンスになっていくとも思っている。
私は(ほぼ)最初の転職のとき、これができなくって苦労した。もう20年近く前のことだけど、前の会社を辞める決断をして送り出されるとき、お世話になった人たちから「あなたならどこにいっても大丈夫よ」なんて言われて、自分も新しい環境への順応性は高いほうじゃないかと、どこか高をくくっていたのかもしれない。
自分で自分の役割をつかんでいく意識、自分の使いものにならなさ加減を直視して不足分を恥さらして身につけていく根性が希薄だった。これで転職してから半年くらいは、夜中だけ出てくる蕁麻疹に苦労した。
今振り返れば、20代のうちに谷に落ちておいて軽傷で済んで良かったなぁと思う。あぁそうか、自分で自分の役割や居場所って作っていくんだって大きな学びを得られて、その先の転職時に蕁麻疹が出ることはなく、自分で自分の働きどころを形作っていったり、自分の不足するところを正面から受け止めるスタンスが前提になった。
さて、本編の話。「エバンジェリスト」なんていうと、自分のキャリアとは結びつかないかなぁという印象をもつ方が大半かもしれませんが、熊村さんの転職歴は、なんと10社。ベンダー側と事業会社側、いずれの立場でも複数の企業を経験されているので、いろんな方に、自分のキャリアとの共通項を見いだせる部分はあるかな、とも思います。
また、居場所を変えているからこそ見えてくる熊村さんの首尾一貫した仕事への向き合い方には、刺激をもらったり共感するところも、いろいろあるかもしれません。
一人の人間の人生である以上、それがどんなに変化に富んだものでも「1本のシナリオ」にまとめられうるものだと私は思っていて、それぞれにどんな意味をもたせ、前の経験と後の経験にどんな関係性を見出すかも、本人次第。
意味づけは自在であり、また自分次第であり、自分の意味づけにこそ意味がある、とも思う。だから、一つひとつの経験を編みこんでいって、そこに自分にとっての価値を実感できることが、きっと何より大事なことなんだと思う。
熊村さんは、自分が何を大事にしてどこでどう働くのかに自覚的で、丁寧に言葉に起こしてその辺りをお話しくださっているので、自分のキャリアの解釈を広げてみるのに良い刺激をもらえるかも。ご興味ございましたら、ぜひご一読くださいませ。
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