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2018-05-15

ピン案件

今年のはじめから、純粋なコンサルティング案件を一つ引き受けているのだけど、そこのお客さんから「すごいです!これが僕のやりたかった内容です!」とメールをもらって、涙ちょちょぎれるほど嬉しい今晩。祝杯でもあげたいところだけど、明日の朝に緊張する仕事があるので、残業そこそこにコーヒーやさんに寄り道して一杯。

ここでいう純粋なコンサルティング案件というのは、やりたい研修の講師はクライアント社内(今回だと先方の代表取締役)にいる前提で、研修プログラムを作る裏方に私がピンで入る案件。

社員に教えたいことがあって、教えられる人も社内にいるんだけど、研修やってもいまいち伝わった感がないとか、現場に変化がないとか、効果検証ができていないといったお客さんのパフォーマンス向上を裏方サポートする仕事だ。

私が普段よく手がけているのは、講師もこちらでコーディネートして、まるっと研修プログラムをオーダーメイド提供するタイプの案件なので、そういう分かりやすい形をもたない「私単体の働き」をお買い上げくださるというのは、ちょっと特別なのだ。

通常手がけているオーダーメイド研修も、請負契約で何か納品するというのではなく、準委任契約で役務提供する形をとっているので、コンサルティングに近しい形態ではあるのだけど、お客さんからすれば「講師」の役務提供が核になっていると思うので、「裏方」だけで発注いただく案件は、私的にコンサルティング純度高しと感じられる。

実際にどんなことをするかというと、今回だとまず何のために研修をしたいのか、をさらに引き戻して、社内の人材・人材育成にどんな問題意識があるのかから話しこんで、どういうパフォーマンスができるようになってほしいとか、理想と現実にどんなギャップがあるのかとか、いろいろ聴かせてもらった話を持ち帰って、明文化して構造化してドキュメントに整理する。そのために研修としては何ができて、現場で何をすべきかを整理して、研修のゴールを、最終的に目指すパフォーマンスゴールと分ける。

研修の全体像を整理した上で、優先度の高い研修プログラムから個別具体的に作り込んでいく。今回は、講師兼代表の方が過去使ったスライドを再編集して、こういうことを伝えたいというのを送ってくれたので、そのスライドから逆読みして、個別の研修プログラムの狙いやゴール、そのための教授方針、カリキュラム構成、教える際の講義ネタ、キメのコピー、演習ネタ、事例、演出などを作り込んでいった。

いただいたスライドから、それを効果的に、能率よくインストラクションするには?というのを考えながら教材をまとめる。で、今日そのスライドを仕上げて、こんな感じで作り変えてみましたがどうでしょうかと、作り変えた意図の説明を一つひとつ付けて送ったところ、冒頭の返信メール。

いやぁ、嬉しかったな。歳をとるごとに、大きなお客さんだけでなく、知人友人の立ち上げた会社のサポートを手がける機会が出てきているのも楽しい。そうした案件だと、研修屋さんという型にはまらない形で、こんなことできないかなと相談いただけることも多くて、これがまた有りがたいし面白い。

手段に縛られたくないので、こういう案件ばかりで埋め尽くしたいとは思わないし、講師と組んでやる仕事にはそれはそれ特有の面白さがあって大好きなのだけど、この手のピン案件も細く長くやっていけるといいなぁって思った。

ありがたいことに、春から夏にかけてはあれこれの案件が並走して忙しく過ぎていきそう。いっこいっこ大事にやっていこう。

2018-05-06

ゴールデン学習

ゴールデンウィーク(GW)の大半は、地味すぎるが勉強に費やした。あと映画をいくつか観たり、父と根津神社を散歩して(ここの空気は好い)、国の重要文化財にもなっている近くの「はん亭」で好物の串揚げを食しつつゆったりおしゃべりしたのがハイライト。

GWに入る前、私の目の前には分厚い課題図書が2冊。WordPressの入門書(PHP入り)と、PHPの入門書(SQL入り)。別に誰かに出された課題じゃないけれど、あるクライアントさんの研修案件でこの辺りを手がけることになったので、GW中に基礎知識をインプットすることに。

私が講師をするわけじゃないものの、プロジェクト全体をより良く進めていく上でも、効果的・効率的な学習方法を模索していく上でも、学習テーマの知識はあるに越したことはなく、そういう意味で自己評価しても、私の前提知識は不足感を覚えざるをえない状況だった。

学習者の知識習得度を測る筆記テストの問題作成は、これまでの経験上、講師(学習テーマの実務エキスパート)が作って、私がそれに校正を入れるより、私が問題を作って、講師にそれを監修してもらうほうが能率的に良い問題ができるのだけど、自分にテスト問題のたたき台を作れるだけの知識がなければ始まらない。

まぁそんなの一朝一夕にはもちろんいかないわけだけど、行けるところまで行って、できるだけ良い仕事をしようというので、広く浅い全般知識の上に、それぞれの入門知識を肉づけていくことに。

しかしまぁ、学習範囲というのは四方八方に広がっていくもの。WordPressを使うならPHPも。っていうか、そもそも私の場合は、あわせてプログラミングを学ぶ必要があるわけで。さらに、PHPが真価を発揮するのはデータベースと組み合わせたときって話になると、SQLもご一緒にどうぞ!となる。

SQLは20年前に初級シスアドの資格取るときに勉強したなぁとか、データベースもその頃作り&使い込んでいたなぁとか遠い記憶があるけれども、頭にのぼるのは面影ばかりで、使える知識の残っている感がまったくない。などと開き直ってページをめくっていると、概念は変わっていないので、思いのほかすらすら進められて喜んでみたり。

ともかく、WordPressの「Wor(ぅわ)」を口にした途端、一気にそういう新しい世界の広がりに触れ、過去学習した世界との関わりに再会することになるのを観察して味わい深く思った。

で、とりあえずGW前半に、WordPressとPHP基礎。後半にPHP基礎とSQLと、その掛け合わせを学習。GW最終日に振り返ってみると、PHPがきついのなんの…。PHPに踏み込むと、まるで炎天下に砂浜に出て、タイヤを腰に巻いて走っているように学習スピードが鈍化。

プログラミングの考え方は好みなんだけど、プログラミングそのものの運動神経がない。というのは、もともと自覚していたけど、改めて認識。のそのそ、のそのそ、亀の歩みだ。

PHPの学習は、だいぶ体育に近い。本を読むだけだと、概念やら考え方やら書き方やら薄らぼんやりしかつかめない。実際にスクリプト書いてみて、頭と体を一緒に動かすと、それで、体が感覚的にわかってくれることがあるので、書いてみて体の反応に期待する、みたいなことをやっていた。

それでも、まだ取り損ねている感、ものにできていない感があちこちに残り。しかし立ち止まってもいられないので、先へ進める。そうすると、自分の足場の不安定感が半端ない。

それでは健康に良くないと察してか、PHPを勉強していると、ケーセラーセラー♪という歌が、よく頭のなかに流れてきた。たぶん脳内のどこかで危険サインが出て、自動制御で陽気な音楽を流してくれているんだろう。うまくできている。

餅は餅屋。いい言葉だなぁと思う。人類は異なるタイプで成り立ち、助け合って生きていくのだ。多様性が大事なのだ。人には得手不得手があり、凹凸があり、その組み合わせで補完し合えるからこそ、種として強いのだ。人が不得手なところで、自分がわりと得意なところなり、やって辛くないところは思い切りやろう。自分がそれをしている間に、自分の不得手なところを百、万、億の人に助けてもらっていることに感謝して生きていこう。そうだ、そうだ。苦手なことの学習体験は、こういうことを再認識する機会として有効だなぁ。などとひとしきり考え終えると、また勉強に戻る。ケーセラーセラー♪は、もうとっくに流れ終わっている。

そんなわけで、この勉強で自分がサポートできる仕事の質が、実質的に大きく変わるとは思えない状態でGWが暮れつつはあるのだけど、クライアント、講師、受講者が当たり前にもっているベース知識をもってサポートする、自分なりのたしなみは大事にして、この案件に臨みたい。来年覚えている自信はまったくないけれど…。

2018-05-03

三歩冷やして二歩温める

ゴールデンウィークに入ったあたりから、世の中がすこぶる寒い。なかでも都内の地下鉄の寒さといったらない。

ぐっと真夏なみに気温が上がったのを受けて、ぐぐっと空調の温度を下げにかかったようだけど、あわてるな、まぁとにかく落ち着け!と、都内の空いた地下鉄に乗るたび思う。黄金週間で混雑が緩和された車内、人がまばらだから余計に冷房のキンキンぐあいが骨身にしみる。

私は夏場でも長袖が基本なのだけど、これだと薄手の長袖では身がもたない。今朝は半袖Tシャツの上に薄手の長袖シャツを着て出かけたが、腕の部分が一枚なので、地下鉄に入るやいなや寒くてブルブル。表に出てきたときの空気の温かさに、湯船につかったときのような安堵を覚えて、思わずふぃーっと声がもれた。

なぜ、こう(空調で)三歩進んで(服装で)二歩下がる的な温度管理で、(ちょうどいい)一歩を手に入れなければならんのか。

私の寒がりが一般とずれているとしたら、まぁそれは仕方ない。でも、もし私の希望する一歩が平均と大差ないとして、最初から絶妙な歩幅で一歩を狙ったら、電気代も減らせるし、着る服も減らせて身軽だ。それだと使うお金が減っちゃうじゃないかと言われると、そうかもしれないけれど。そうやって、出すぎて、引っ込めて、行ったり来たりしながら暮らすのが人の常というものなのか。

ゴールデンウィークが明けて車内が混み出すと、もう少し適温になりますよってことなら、人の混雑度に応じて空調を弱めたり強めたりチューニングできれば良いのだろうな。電機メーカーとかが、その辺は作ってくれそうだけど、お高いのだろうな。地下鉄車内をショールーム的に使って、「どうです?うちのエアコン気が利くでしょう。これ、我が社が作ってるんです」というのを乗客に体験してもらって…という取引で安くしてもらえないものか。

いろいろ震えながら考えているうちに降りる駅に着いて、腕のあたりをすりすりしながら表へ急ぐ。私はとりあえず長袖2枚で、巻き巻きものも携えて夏を過ごすことになりそう。知っているのだ、私の寒がりが極端だということ。

と、、この文章に意味などないのだけど。そういうものも、分をわきまえれば世の中には存在していいのだと思う。

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