1週間と、十日間
クライアントからオリエン(相談)を受けて、提案書を出すまでの期間って、みんなだいたい「1週間」なのだろうか。私はたいてい「では、1週間以内には提案書をPDFでお送りしますので」と言って客先を後にする。
どういう業界の、どんな規模感の、どんな複雑性の相談ごとかで違うのだろうけど、とはいえ1週間ならOK、2週間だと(特別な事情がないかぎり)「遅っ」と思われそうな感じは、野生の合意事項なのかなんなのか、なんとなーくある気がしてならない。
提案を出す側の感覚として、1週間なら相手も「うん、そんなもんだよね。うちの仕事だけやってるんじゃないんだし」と、普通に受け止めてくれそうな気がして口にしやすい。実際、1週間と言って眉間にしわをよせるお客さんはいない。ちゃちゃっと1日2日でやって!という類いのものは別だが。
それが2週間となると、言う前から「遅いですね」という相手の反応が想像されて口に出す気にならない。自分に向き合っても「2週間与えたらダレて、いい提案かけないだろうな」という気がするので、相当な規模なり複雑さを漂わせた案件でないかぎり口にしない。
私がそういう規模感の仕事をしているということかと当初は思ったのだけど、大きいなら大きいなりに粗くとも方針を指し示すとか、小さければ詳細に落とし込むなりして、提案内容の粒度は違えど、1週間という期間設定は似たり寄ったりなのかもしれない、とも。でも忙しい人だと、直近1週間確保ってきついかもな、とも。
ただ、あるとき、1週間はつらいなぁという重ための提案があって、「十日」と言ってみるのはありなのではないかと思いついた。それで言ってみたら、すんなり快諾くださったのだった。
以来、基本は変わらず「1週間以内」だけど、まれに「十日以内」というのを使っている。
オリエンでいろんな話が挙がって、ちょっとこりゃ提案作るのもいろいろ大変でしょうって共通認識が、お客さんと握れているふうのオリエン時に言う。「いただいたお話を踏まえると、ご提案を用意するのに少し時間がかかりそうですので、十日ほど…」というセリフを覚えたのだ。今のところ「えぇ、えぇ」と、すんなり受け入れてもらえている。私は選択肢を手にしたのだ。
そうして、その十日間が始まるのだが、余裕はない。今日までの十日間が、そうだった。あれやこれややっていると、あっという間に十日は経つ。ちなみに「十日ほど」のニュアンスは、10営業日ではなく、10日間だ。なので、週末を2回挟んだ約束は気持ち的な余裕はあるものの、営業日的には先々週の金曜日にオリエンを受けて、翌々週の月曜日までに提案書を出すスケジュール。
与件を整理して、要件を定義して、提案方針を考えて、具体策に展開して、それを準備するスケジュールをたてて、見積もりに落とし込んでと、自分の中で整理して、構造立てて、提案書に起こして、関わってくださるパートナーの方に説明して、内容を調整したりして、なんてやっていると、十日まるまる。
今日は十日目。約束どおり提出できて、とりあえずほっとした。お客さんからの反応は戻ってくるまで予想がつかないけれど、年明けから意識的にストレッチのきいた提案を出すようにしているので悔いはない。あとは正面から受け止めて、応えていきたい。
先日、無事に誕生日を迎えて歳を重ねた。大人になると、自分で自分のバーをあげていく必要があるんだよな。今年はそういう、自分なりにストレッチをきかせた提案書を丹念に作っていこう。「もっと洗練されたものを」「もっと頭の回転を早く」などは、憧れるものの向かう先が不透明で難しいけれど、案件ごとに「お客さんがそういうことなら、こうしたらいいんじゃないか」という提案を、自分の見える120%先まで言葉にして提示することはできる。そこをきちんとやって、提案が通ったらしっかりやり抜いて、実務が強化トレーニングも兼ねるようにやっていきたい。
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