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2017-12-20

転職するとき、転職者を受け入れるとき

自分の年回りに、今年は転職者が多かったなぁ。転職した同世代の一人に尋ねると、やはり40歳という節目が転職を考える上で大きかったと言っていた。男性だと特にそうかもなぁなどと、根拠なく思ったりした。

40歳くらいの転職だと特にだけど、年齢を問わず転職というのは周囲から即戦力を期待されている感があって、本人に無言のプレッシャーがかかるもの。

ちょうど読んでいた本(*1)に、一般企業における「中途採用者が抱える困難・学習課題」という話題があったので、内容整理がてら書きとめておきたい。転職先に参入する際、どのような課題に直面するのかを、4つに分けて整理している。

【1】人脈学習課題
入社したてだと、「誰が情報をもっているのかわからない」「誰に相談すると物事がうまく進むのかわからない」「会社のキーマンが誰かわからない」といった情報不足があって、社内での立ち回りに苦労するよねぇという話。

【2】学習棄却課題(Unlearn)
前職で培ったものの、“現在の職場では通用しない”知識・スキル・経験、あるいは仕事のやり方や信念を捨て去ることに困難を覚えるというもの。ときに自信やプライドを失うことにもつながり、アイデンティティの崩壊と捉える人も。

【3】評価基準・役割学習課題
「職場で自分が何を期待されているのかわからない」「何をすれば評価されるのかがわからない」といった課題。会社や上司、クライアントから求められている役割や仕事の要求レベルが曖昧だったり、それが求められる理由に納得感がないと、パフォーマンスをうまく発揮できない。

【4】スキル課題
今の仕事に求められる知識・スキルが不足している問題。中長期で獲得していくような業界・業務知識、実務スキルもあれば、社内システムの使い方といった短期的で細々したものまで。

転職するときに、こうしたものが課題としてあるなと、自分で意識化できているだけでも混乱は軽減されると思う。私は20代半ばの転職で全部体験して、全部意識化されて、そのときは半年くらい大変だったけど、その後にした転職は精神的には楽だった。こういう課題が待ち受けている!と認識できているだけで、だいぶ楽なものだ。

以下、つぶやきや思いつきに近いものもあるけど、個別に見ていくと、【1】人脈学習課題は、企業の組織構造、各部門の役割、実質的に決定権や発言権があるキーマンは誰か、誰にどういう経路で話を持っていくと物事がうまく運ぶかなど、社内で活動していく上で必要な知識を獲得する必要がある。

これは本人の上司というより、上司以外のメンバーとの関係性、職場での情報流通がものを言う。転職者本人は、そこでの関係づくりを頑張ってみると仕事しやすくなるし、受け入れるメンバーは転職者が年上でも、そういう情報を教えてあげたり、訊きやすいようこまめに声をかけてあげると良さそう。マネージャーはそういう職場内の交流が生まれるよう、場づくりをすると良い。

【2】学習棄却課題は、最も乗り越えるのが困難な壁とも言われる。周囲から即戦力のプレッシャーを感じる中では、ちょっとしたことを質問しづらかったりする。自分もこれまで培ったものに一定の自信をもちつつ即戦力を狙っていると、そうそう自分の培ったものを無しにはできない。そんな中で、何が捨て去らなきゃならないノウハウや信念で、何は捨て去らずに自分が新しい職場に持ち込むべきエッセンスか、調和の見極めが難しかったりもするだろう。

本人としては、こうした課題をまずは認識しつつ、できるだけ気負わずに、いろいろ質問・対話していくことかなと。またマネージャーは、自分が一番、本人が質問しやすい上下関係を持っていることをわきまえて、ちょっとした疑問点をちょこちょこ拾ってあげるコミュニケーションが奏功する。

【3】評価基準・役割学習課題もとりわけマネージャーの働きが肝で、組織が期待する役割やパフォーマンス、その要求レベル、なぜそうなのかを丁寧に伝えていくこと。本人も不明瞭なところがあれば、上司とそういう話をすべく声をかけていくのが良い。

【4】スキル課題は、あれもこれも覚えなきゃ、できるようにならなきゃと、いろいろ出てくるのが常。全部をすぐにと焦らず、思いつくものを書き出して、中長期と短期に分けて、優先順位をつけると、少し落ち着けそう。そういうことを実践しているハイパフォーマーを社内に見つけられたら、そういう人とコミュニケーションをとっていくと、良い学習方法・実践方法を身近で学べるかも。そうやって新しい山登りの過程を楽しめれば、この課題はとても有意義なものにもなる。

と、とりあえずの読書メモと思いつきメモ。

*1:中原 淳氏「経営学習論:人材育成を科学する」(東京大学出版会)

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