組織のパフォーマンスが上がらない理由
組織のパフォーマンスが、いまいち上がらない。その理由を、きちんと要因分析することなく「現場スタッフの能力が低いから」だけに着地させちゃうのは、わりと起こしがちなマネジメント層の早とちりだと思う。
組織のパフォーマンスを改善するのは、一般にマネジメントの役割。それこそマネージャーは、そこを主戦場にパフォーマンスを発揮することが求められる。その主戦場での働きっぷりで己の優劣を上から評価されるとあらば、これを真っ向勝負で受けて立つのは、なかなかしんどい。真っ向勝負を回避しようとする無意識が働くと、自分のマネジメント能力ではなく、現場スタッフの実務能力が低いことが、組織のパフォーマンスが上がらぬ根本原因であるというふうに話をもっていきがちになるのではないか。
あるいは、「組織のパフォーマンスが上がらないのは、現場スタッフの能力が足りないから。ゆえに対象スタッフを集めて研修を施す」というのは、かなりオーソドックスな打ち手。深く考えなくても打ち出せる定番の策であるがゆえに、持ち場の実態把握をスキップした場合、その施策「だけ」講じるというところに流れ着いてしまう側面があるのかもしれない。
「現場スタッフの能力」を理由に挙げたって、採用したのは君だろうとか、それをうまいことやるのが君の仕事だろうとか、マネジメント機能不全に返ってくる側面はもちろんあると思うんだけど、なんとなく直接的な「マネージャーの能力問題」からは、ちょいと横道そらして急所はずせた感があるというか、「間接的には私の不徳の致すところで申し訳ございません」としつつも、己の能力レベル問題からはちょっと逸れた安全地帯に移動できるというか。
業務プロセスなり業務システムなり、部下の業務管理なりがうまくできていないからだというと、もうどんぴしゃマネージャーがうまく機能していないからだ!みたいな感じで矢面に立ちそうだけど、これを現場スタッフの能力問題に焦点化して、ポテンシャル高いと思って採用した新人が期待したように伸びないとか、中堅どころが伸び悩んでいて…とかに振ると、わりと「まぁなかなか思う通りにいかないものだよね」的にマネージャー間の情の交換が、言葉少なに肌感覚で成立しやすいのではないかとか。
実際、現場スタッフが全員ものすごい能力を持っているなんて環境は、多くの組織がなかなか構築・持続できないので、「現場スタッフの能力問題」は、まったくずれたことを言っているという話にならない。それに、研修という打ち手も有効な一手であって、だからこそ(そうなるように)私も本業として、それに携わっている。
ただ、要因が「現場スタッフの能力」一辺倒に捉えられ、じゃあどうするんだというと解決策が「研修」一辺倒に講じられるのでは、もったいない。
物事がうまくいかない要因て、たいてい複合的なものだし、一つのソリューションが一発で万事解決するという単純な世の中でもない。
スタッフの能力以外の「何か」にも目を向けて、要因と解決策を考える視野とか、心の余裕とか、考える時間とか意識とかをもつことができれば、もっと打ち手にも広がりが出てくるし、あの手この手で継続的に施策を講じられるのではないかと思う。複合的に策を打とうとすれば、研修をやるにしても、これは研修の前にやったほうがいい打ち手とか、研修後に打てるように仕込んでおいたほうがいい準備なども、並行して計画的に進められる。
ということでの資料整理&共有。共有というには、ちょっと自分の頭の整理用に振れている一枚絵のシートではあるけれども、何かの参考になれば。
※下の図は、クリックすると拡大表示。モバイル端末でボケる場合、PC表示に切り替えていただくと良いかも…。
心の余裕がないときに、自分にとってしんどい認識を買って出ようとはしないもの。やっぱり情緒の安定というのは大事だ。研修の相談に限らず、こういうことをクライアントさんがゆったり考えられる話し相手、分析するときのパートナーになっていきたい。
*組織のパフォーマンス改善策をPDF形式で、Slideshareにアップしました。
*関連エントリー:人材育成施策は「研修」だけじゃない
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