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2017-11-02

脳のMRI体験

十日ほど前から、急に頭痛を抱え込んだ。ズキンズキンと耳の後ろのほうが痛み出し、左から始まって、右も痛むようになった。ずっと痛いというのではなく、ズキンとするときに激痛が走るという感じ。それが、最初は頻度や時間帯が限定的だったのが、日を追うごとひどくなり、これまでにない痛み方だったので、先週近所のクリニックに行って診てもらった。

思い当たる原因は?と問われても…。いや、あるような、ないような。季節の変わり目?首痛の再来?緊張やストレス?この類いは日頃からそこそこあるもので、それにどれくらい対応できていて、どれくらい実際は参っているかなど、自分ではよくわからないものだ。最近だと父の手術&再手術があり、あとは研修提供の本番があったり、提案書の締め切りがあったり、客先での打ち合わせがあったり、そのどれも緊張はしているが、参っているという自覚症状はない。

結局、医師には「思い当たることがこれといってあるわけではないけれども、数年前に首を痛めたことはある」という話だけしたら、なんとなくそれと関連づけるようにして話が進んだ。きっと筋肉の緊張ではないかと。それで、そういう薬をもらって飲み始めたものの、どうも効いている気配がない。

数日して今週月曜を迎えると朝っぱらからずっと痛みがあり、これはもうもたないと夕方に涙目で早退、二度目の診察へ。前にいただいた薬は効いている感じがなく、筋肉の緊張とか、首由来の問題じゃない気がすると、率直に医師に掛け合う。

それで、今からでもMRIの検査に対応できるところがあるというので手配してもらい、即日MRIの検査をすることに。また神経症の類いかもしれないというので、神経を落ち着かせる強めの薬を、追加で処方してもらった。

クリニックを後にして、薬局で薬を受け取ると、予約してもらったMRIの検査施設へ電車で向かう。そこで検査してもらった結果を、郵便で翌々日の午前中までにクリニックに送ってもらい、結果はクリニックの医師からフィードバックしてもらう段取り。

18時半過ぎに検査施設に着くと、女医さんから簡単な診察と案内がある。「15分ほど狭い所に入って大きな音を聞くことになるが、閉所恐怖症とか、大きな音がダメとかないですか」と問われて、やってみないとわからないと思いつつも「(たぶん)大丈夫です」と応える。

では検査へ…と促され、男性の検査士さんに引き渡される。ヒートテックは焼ける?ので脱いでくださいということで、ロッカーで上だけ検査着に着替えて準備完了。体内に金属を入れていないかとか、時計やカードを身に着けていないかとか繰り返し質問され、緊張が高まる。うっかり危ないものを身につけて入ったら大変なことになる…。MRI検査室の重厚なシルバーの扉には、強い磁場が云々かんぬんと危険度マックスな文字が並んでいる。

中へ入ると「そこに横になって。大きな音がするので、このヘッドフォンをつけてください」と指示がある。ヘッドフォンを装着すると、小さい音量でクラシック音楽が聴こえてくる。

間もなく閉所に入っていき、検査が始まる。カンカン、ガンガン、ビビーなど、いろんな音が大音量で、閉所の外側から聞こえてくる。音がなっているときは、たいていクラシック音楽のクの字も聞こえない。ただ、騒音の音質・音域によっては聞こえるときがあって、そういうときは音楽をつかまえるようにして聴く。

長いこと検査が終わらないので、どんな検査をしているのだろうと、いろいろ想像を巡らす。この音の違いというのは、音によって脳の反応の違いをみているのだろうかと思い(そんなことはないっぽい)、私はだいぶ平静を保っているけれども、むしろこの不快音を聞いたとき、もっと不快な脳の反応を示していないと正常ではないのではないかとか冗談半分に考え出す。いや、でもなぁ、その反応を見分けたければ、わざわざクラシック音楽なんて聞かせないだろう。

また今度は、これだけ何種類ものカンカンとかガンガンとかビーとかの音を出し分けているのが全部、リアルタイムに脇で楽器をとっかえひっかえ検査士の男性ひとりが鳴らしている一人オーケストラだったとしたら、そうとうおかしいなぁと思いついてしまう。その絵を想像すると、もう表は検査士さん汗だくで、てんやわんやの大騒ぎだ。挨拶したとき、ものすごくクールな人だっただけに、だいぶおかしい。

いや、でも、ここでぷぷっとか思って脳に「面白い」といった反応が出てしまうと、この音でこういう反応はおかしいとかなってしまわないか、もう少し平静を保っていたほうが普通であると思い至り、またヘッドフォンに意識を向けてクラシック音楽をつかまえにいったりした。

ともかく15分ほどの検査を終えて、その日は帰ってきて就寝。神経を落ち着かせる薬とやらが、だいぶ強力そうなので、飲むのをしぶっていたのだけど、夜中にまただいぶ痛い症状が出てきたので、やむなくカプセルを飲み込んだ。翌朝目が覚めてみると、頭痛がない。あの神経系のカプセルは有効なのかもしれない、と思う。

月曜の晩、火曜の晩と、結局カプセルを飲まないと深夜に激痛が走るが、飲めば落ち着くことがなんとなくつかめてくる。本日水曜は、痛みはないが、薬で痛みを覆い隠しているような気がしてならない、という感覚を右の耳後ろに覚えつつ過ごす。

そして午後はお休みをもらって、クリニックへMRI検査結果を聞きに行った。で、問題は見つからなかった!ことを確認して、心底ほっとした。

実際のところ、経験のない脳の痛みに、だいぶびびっていた。まだ死にたくないよーと切実に思い、公私問わず大事な人たちと会って語らって一緒に過ごせる時間を心から愛おしく思ったりした。健康に、あと数十年、大切な人たちと過ごせたら。多くは望まないというんじゃない、それこそが私にとって最大の望みなのだ。そう痛切に思った。

この薬の効き具合だと、神経症の類いか。神経症は原因が分からないことも多いとのことで、しばらく神経を落ち着かせる薬を飲みながら様子をみることになりそう。いろいろあるお年頃。気を抜かずに、体大事にしていかないと。

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