直やりとり
今期はなんだか案件の引き合いが多い。予算や期間など規模はさまざまながら、半年間に13社ほどとおつきあいがあるのは、自分が法人案件をメインにやり出して10年弱、前例がないんじゃないかと思う(曖昧な記憶…)。というわけで、大変だけど彩りがある。
受託ビジネスに関わる面白みの一つは、「いろんな業種」のクライアントさんと「どっぷり仕事の話」ができること(*1)。生来アクティブな人なら、仕事に関わらずいろんな業種の人と知り合う機会を持つのだろうけど、私は人の集まる場に出ていくタチではないし、そういう場に出ていったとしても、仕事の具体的な話、業務環境や組織の内情をそうそう赤裸々に腹わって話せるものでもないだろう。
一方、人材育成の受託ビジネスとなると、社内でどんなパフォーマンス上の問題があって困っているかを話さないことには提案もできないから、初回訪問して、いきなり話題はそこに入る。初めて会ったその日のうちに、そこを1対1で話し込むのだ(人数は1人とは限らないが)。
私は初対面の人と会って誰とでも軽やかに会話を楽しむ技量に乏しいので、最初から1対1で本題に入って深掘りしていく会話は、性に合っている気がする(頭がおっつかない不安もあるけれど…)。それに問題が鮮明になって、これなら何か役に立てるかも、役に立ちたいという自分の役割が具体的につかめてくると、がぜん話もはずむ。
私は、人が問題を抱えていると思ったときに問題が生起すると思っているので、人が思わないかぎり、そこに問題はないという考え方をする。どんな地球の危機が訪れようとも、それを問題視するのは常に人間であって、地球はそれを問題とは認識しない。問題という概念は常に人間が作るもので、人間だけが事象を「これは問題だ」とか「たいした問題ではない」とかより分けるのだ。
というわけで、解決したいほどの問題意識が当事者にないところに割って入っていって、「これは問題です!解決しましょう」という気概がない。問題を抱えていないというAさんに、外野からBさんが「あなたは問題を抱えている」というのは、それって実はBさんの問題であって、Aさんが問題を保有しているわけではないのでは?という仮説のほうが先立ってしまう。
他者に問題提起することの有意義さは、それはそれであるとも思っているので、もちろん一概には言えないのだけど。世の中のあれこれは概ねバランスの中にあると思っているので、一概には言えないことだらけで何を書くのも大変だ。
って、話が遠くに行き過ぎてしまった…。まぁまぁともかく、そういうわけなので、私にとってクライアント案件は相性がいい。クライアントさんは基本的に問題の認識をもったところで、社外の人間に相談を持ちかけるのだ。
受託側の私はのこのこ出ていき、問題を抱えていることを自認する人にお話を伺う。あれこれ直に質問できて、それを持ち帰って対応策を練り、それを整理して、また直接に提案できる。最初から最後まで直接できる受託ビジネスは、私の性にものすごく合っていると、よく思う。
緊張するし、難しいし、大丈夫かなぁという不安も抱えつつだけど、自分の力のかぎりやってみて、どうでしょうか!って「直接」相手に出してみて、正面から相手のフィードバックを受け止めていく以外にやり方もない気がするし。そうやって素直にやっていくのが一番自分に合うステップの踏み方なんだろうなぁと思う。
なんか、前にも同じような話を書いた気がしてならないのだけど、自分の受託ビジネスのフィット具合いというのは、ときどき言葉にしたくなるのだ。この環境を支えてくれている人たちに感謝する気持ちも、こういう過程をとおして、自分の中でちょこちょこ確認したい。
このところ案件が多いのは、戦略的にどうこうした結果ではなくたまたまなので、山谷の自然現象でいくと、いずれ谷がやって来るだろう見通しなのだけど、とにかく今いただいているお仕事を一つひとつ大事にやっていこうと思う。結果的にそれがまた次の何かにつながっていくのであれば、それが一番いい。自然が一番性に合う。
*1: といってもクライアントは広告、メディア、ネット系(たまにゲーム、映像)にだいぶ偏っているし、クリエイティブ関連の人材育成テーマに限った仕事の話なんだけど
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