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2016-08-25

暗中模索に一筋の光

クライアントから「わかりやすい内容で、いろいろとイメージが膨らんだ。次回の打ち合わせを楽しみにしている」との返信をいただいた。嬉し泣きすぎる…。今回出した提案に対して、これほどもらって嬉しい言葉があるだろうか。いや、ない!夏休みだけどメールチェックしに来て良かった…。提案書を送った昨日のうちに、一通り確認して返事をくださっていたのにも胸がつまった。ほろり。

思えば、ここ2ヶ月ほどは暗中模索の日々だった。今もまぁそこから脱したわけじゃないが、この一筋の光は私にとって大きな意味をもつのだった。

もともと、この案件に関わる自分にとっての個人的な意味は、疑いの余地なくあった。研修に落としこむ前提ではなく、組織の人材開発という通常より広いスコープで、お話をうかがって分析する機会を得た。わらわらと挙がってくる問題をどう整理して、その先どこに解決策を導き出すのかは、私のこれまでのキャリアに照らすと、レールのない地頭勝負な面が強かった。

その道のプロとしてお助けしましょう!と胸はって言える領域じゃない。が、まずは営業活動の一環として無償でやる流れだし、それであれば文句も言われまい。使えないなと思えばそこで終了にするだろうし、それであれば客先にかかる迷惑も最低限に留められるだろう。私としては未経験ともいえる分野を実践させてもらえる機会だし、やらないと伸びない能力なのだからやりたいならやるっきゃない。というわけで、とにかく今自分ができるかぎりのことを体当たりでやってみようと思った。個人的に進むべき道は一択でシンプルだった。

ただ、それをメタ的にみて、自分の仕事のあり方を差配するのは難しかった。お話を聴いて分析レポートを上げた後も継続してやりとりがあり、この自分の働きはお客さんにとって有用なのか、自社にとってはどうなのかと悶々としていた。

私との継続的な関わりが、お客さんにとって無駄骨になってはいけないし、会社の時間を使って立ちまわる以上、自社にとっても意味ある働きに還元できないと申し訳ない。では、この案件において自分がどういう立ち位置で役割を果たせれば、お客さんにとっても自社にとっても望ましいのか。どう動けないなら、どこで自分は判断して身を引くべきなのか。先方から言われれば話は早いが、自分は自分で厳しく自己評価する目をもたねばなるまい。

しかし、わからないのだった。新しい要素を多分に含んでいるため、自己評価はたいそう難しい。この打ち合わせ時間はお客さんの問題整理、課題発見に有用だったのだろうか。この分析レポートは、お客さんが施策展開に打って出る一助になるのだろうか。すでに社内でも散々話し合って整理されていること、関係者間でもとうに共有されていることであれば、打ち合わせの中で私に状況説明する時間も、私のドキュメントを読む時間も、先方にとっては無駄な時間、労力なのだ。私には、自分の働き、打ち合わせのパフォーマンス、提出したドキュメントの有用性、これらを評価する能力が著しく欠けていた。

客先からの評価がどう下ろうとも、それを真正面から受け止めようとは腹をくくっていた。けれど実際のところ、こちらが何か出したものについて、お客さんがその良し悪しに焦点をあてて明確なフィードバックをよこしてくることは、なかなかないものだ。

それは、違和感なく読めて的を射ており、腹落ちしたから課題そのものに集中していて突っ込みがないということもあるし、可でも不可でもないとか価値が見出せなくてスルーしているから反応がないということもありうる。そこんとこが、つかみとりづらいこともままある。

でも前者なら、せっかくお客さんが課題そのものに集中しているのを遮って、私のアウトプットどうでしょうと野暮な質問を持ちかけたくはない。私だってお客さんと一緒に課題に集中して次に歩みを進めたい。一方で後者なら、向こうが言い出す前に察して、自ら引く冷静さを持ちたい。お客さんに気を使わせて、ずるずると要らぬ打ち合わせをもったりドキュメントを読むコストをかけ続けさせるような迷惑はかけたくない。

研修案件と比べて自己評価のあてがなく、自分の仕事に対してずっと懐疑的だった。ただ、一段階二段階と歩を進めていくうち、最初期に比べれば靄が晴れてきて、提案も具体化でき、あぁこのご担当者のこの課題にはこういうサポートができるかもしれないという提案ごととか、この人の真剣な取り組みを自分がこんな役回りでサポートできたら嬉しいなぁという思いとかが、ぐぐっと鮮明になっていった。それで、都度都度行けるところまで突き進んで分析や提案をまとめては提示してきた。

そこから得た、一筋の光だったのだ。はぁ、嬉しい。力になれるといいなぁ。力になりたい。まぁ引き続きの暗中模索、自分のできるかぎりを尽くすのみ、それでどうなるかはお客さんの判断だ。ここまでの道中だけ振り返っても、すごく良い経験をさせてもらった。この先も悔いのないように、こつこつ頑張ろう。

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