40歳の肖像
5月某日、「パーティー行かなあかんねん!」という機会に乗じて、せっかくなのでおめかしした。髪を巻いて、メイクアップして…というのは、私には5年に一度くらいの珍しいイベントだ。40歳の肖像を控えめに残す(誰もいないお手洗いで撮った…)。
私は手先が不器用で、手の込んだことが一切できない。面倒くさがりも相まって、この手の類い(装うこと?)に最も手先を使った記憶をたどっていくと、高校時代の「おさげ」にまで遡る…。
以来ずっと野放しで、厚化粧したり、パーマをかけたり、髪の色をつけたり抜いたりしない、とにかく不自然な負担はかけないから、どうか髪の毛もお肌も各々で健康面は自己管理して頑張ってくれと自立的な関係づくりをしてきた。
そんなわけで、いざおめかししようとしても、手先が器用に言うことをきくかどうか以前に、髪もメイクも何をどうしていいのか勝手がわからない。なので、そこはもうお金を出してやってもらう一択。髪を巻いたり、アイメイクしたりの軽めコースを事前に予約しておいた。
しかし、「普通に手先が使いこなせる人ならお店の人に頼まない程度のことを、自分は不器用なので発注している次第なのです」という認識のすり合わせを冒頭でお店の人としておかないと、とんでもなく濃くなってしまうのではないかと気が気でならない。というので、先述したような事情を切々と語り、「ほんとに軽く、ほどほどでいいんです!」とお伝えして、着手いただく。
お店の人が大変いい方で、じゃあ控えめに、自然体で、アイライン軽く入れてみますか、マスカラして大丈夫ですか、スプレーしてもいいですか、と都度声をかけてくださる。はい、控えめに。えぇ、軽めでしたらと、こちらは尻込み&後ずさりなレスポンスを繰り返す。
仕上がりは、私からすると、まぁしっかり化粧した顔だわぁと思ったけど、だいぶ控えめにやってくださったということで、実際ドレスに着替えてみるとちょうど良い感じに顔がのっかっていた。
思えば今日着たドレスも、十年ほど持っているものの、表に出してやるのは今回で2度目。30歳手前ごろだったか、なんとなくデパートを歩いていたら目にとまり、妙に心惹かれるものがあって、何の用途もなしに買うという暴挙に出たが、やっぱり私の生活にドレスを着る機会など一切なく数年が経過。
数年後に、友人の結婚披露宴に呼ばれたところで、はたと気がつく。このドレス白地で、結婚披露宴に着ていけない…。かろうじて自分に巡ってくるパーティー機会が白地NGだなんて、もはやこのドレスに外出機会など一生訪れないではないか。というので、あんまり不憫に思い、結局その結婚披露宴には、真っ黒のストールのようなものを巻きつけて黒を大増量し、黒地ドレス風を装って、そのドレスを着ていったのだった。そして、また眠りについた。
今回は結婚祝いじゃなかったので、その点では心置きなく着られたが、今度は年相応でなくなってくる問題が差し迫る。5年に一度とかで着ていると、これは着れてあと一回くらいになるのかもしれない。そう考えると、このドレスには、ちょっとかわいそうなことをしてしまった。もっといいとこの子にもらってもらえれば…。とりあえず、あと数年のうちに、できればあと一度くらいは表に出してあげたいと思うのだった。
とにもかくにも、今回はパーティー仕掛け人としていろいろ仕込みをして臨んだのだけど、たいへん快い時間を過ごせて良かった。
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