ケガに毛が
先日、フロア(階)違いの同僚と久しぶりに顔を合わせたので声をかけたら、Facebookで私の近況を知っていて、「体、いろいろ大丈夫ですか」と心配の声を返してくれた。
いやいや、まぁ大丈夫なんだけど、どこそこの階段のところで転んでさ、膝がどうで、手の甲がこんなで、難聴のほうは昨日ちょうど先生んとこ行ってきたんだけどこんな感じで云々、ひとしきり病気自慢するおばあちゃんのようにおしゃべりしたりして。
すると彼女、「気をつけてくださいよ」と、びっくりな忠告をくれた。何を気をつけるって、前に彼女がケガをしたとき、そこから毛がはえてきて濃くなっていったのだと言う。なんという人間の自己防衛力。この部位は危険の及ぶところなのだと体が察知して、そこに毛をあてがってやろうと働いたようなのだ。「大部屋」と呼ばれる執務室の脇っちょで立ち話しながら、なんですとーっと衝撃を受ける私。からかうようにケラケラ笑う彼女。
おそらくは、こういうことだろう。
あるところを彼女はケガした。彼女の体内で緊急会議がもたれた。
ヒラ「防衛部長、実はわれわれの◯◯部に外部から予期せぬ攻撃がありまして、流血、鈍痛、精神的ショックと、本体に大変な損傷をもたらしました。まさか◯◯部が攻撃を受けるとは想定外で…、脇が甘かったと反省しております。今後の対策として、この先あれくらいの攻撃を外部から受けても、今回ほどの損傷に至らぬよう防衛策を打つ必要があると考えます」
部長「ふむ、プランは?」
ヒラ「あの程度の衝撃を前提に考えますと、"発毛"の対応が妥当かと考えます。これでしたら、リソースもノウハウもありますし、早急に対処も可能です」
部長「どうだね、自己防衛課長。その対応策だと君のところに一任することになるが、任されてくれるかね」
課長「はっ」
部長「よし、じゃあ早速取りかかってくれ」
ということになったんでしょう。
膝から毛…。いや、彼女がどこをケガしたのかは確認し損ねたのだけど、なんかありえないところからふうであった。どこだったんだろう。でも、謎は謎のままにしておいたほうがいい(楽しい)こともあるので、それがどこの部位だったのかは、あえて確認しないままにしている。
とにかく、それは困るなぁと思って、その日おうちに帰って着替えるときに両方の膝こぞうをさすって、「もう大丈夫、今後はそんな危険な目に遭わせないから、ここを毛で守ろうなんてあなたは考えなくていいのよー」と、手のひらですりすり労っておいた。今は青たんが黄色になってきた感じで、そろそろ完治しそうなんだけど、その後の動向が気になっている。
最近は、会社で「行ってきますー」と言って外出するときも、「お先に失礼しますー」と言って家に帰るときも、同じ島の女の子から、時おり男性陣からも、「行ってらっしゃい」「お疲れさまでした」じゃなくて「気をつけてー」「足元をしっかり見て!」と送り出される始末。もはや、おばあちゃんの外出である。
新卒の子たちが、妹でも姪でもなく、もはや若くして生んだ子どもの年齢に達しているのは潔く認めるところなのだけど、最近は同僚のアラサー女子が、妹的な存在というより、体をいたわってくれる孫のように感じられることがある。これは、さすがに老けこみすぎか。もう少し加減を調節せねばなるまい。
« 「CodeZine」にイベント登壇の記事が | トップページ | 「デザイニングWebアクセシビリティ」の感想メモ »
« 「CodeZine」にイベント登壇の記事が | トップページ | 「デザイニングWebアクセシビリティ」の感想メモ »
コメント