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2015-12-11

イルカの知らせ

数週間前の日曜日、友人らとの楽しい晩餐会で飲みすぎしゃべりすぎたためか、病み上がりの喉が痛みだし(飲むなという話だが…)、家に帰ると早々に就寝した。そこで、イルカの夢をみた。

私は普段あまり夢をみない(というか憶えていない)のだけど、その日はめずらしく憶えている状態で、夜中に目が覚めた。小説を読んでいる時期って、想像力なり空想力を活発に働かせるためか、夢をみることが多い。ストーリー性を帯びた鮮やかな色調の夢をみやすく、それで憶えているということかもしれない。イルカが出てくる夢は初めてだったので新鮮だったというのもあるかも。

夢の始まりは、晩餐会のメンバー4人。キャスティングは数時間前の現実と地続きで単純だ…。五月のようなさわやかな陽気で、澄みわたる青空にさんさんと降りそそぐ陽光のもと、私たちはのんびりと新緑の丘を上がっていく。

見晴らしのいい丘のてっぺんまで上がり、私たちは眼下の町の先に広がる湾を見下ろす。日に照らされた水面に薄っすら影が映りこんだかと思うと、一気に水面から影が跳びだし、2頭のイルカが大きくジャンプして、空に弧を描いた。

「わー、イルカだー」と興奮する私たち。そのうち一人が前に出ていって、水族館のショーのようにイルカとハイタッチをする。1頭目とハイタッチ、2頭目とハイタッチ。そして3頭目が現れた。3頭目の体は小さく、前の2頭の子どもかもしれないな、と私は後ろで見守りながら思う。

一歩前に出てハイタッチしている友人が手を伸ばし、イルカもこちらにせり出してくるが、3頭目は大きく湾をはずれてしまう。ハイタッチは叶うも、眼下の町のどまんなかにどーんと落ちる。子イルカは城下町のようなところに勢いよく落っこちて、城を取り囲む瓦塀を壊してしまった。

こちらから見ると、塀は模型のように小さく、イルカは怪物のように大きい。怪物といっても、落っこちたイルカはケラケラと笑っている様子でゴキゲンだ。あっはっはー、まちがった所に落っこちちゃったー!とでも言っているようで、ケガもない様子。

とはいえ、踏んづけられた町のほうは瓦塀が崩れてしまって、そこそこの被害が出ている。あの辺一帯を修繕するのは、それなりに大変だ。私は、ハイタッチでイルカを呼び寄せてしまったのは私たちだし、これは城主なり町人のところに出向いて、説明と詫びをすべきかどうかと考えだす。

しかし、考えだしたところで、いや、ちと待てよ、と思う。なんで先ほどの2頭はジャンプの後、問題なく湾に戻っていったのに、この子だけ城下町に落っこちたのだろう。3頭目だけ体が小さいから?子どもだったから?いや、1、2頭目が丘の上の人と町超えてハイタッチできてるのも、そこからきちんと海の中に戻れているのもおかしいだろう。町とイルカのサイズ差もおかしいし、これ、いろいろと縮尺が合わないんじゃないか?と。

そこで、そうか、これは私の夢だからか、と思いつく。そうだ、私の夢だから大雑把で、描写が精緻さに欠けるのだ。他の人が描けば、こんなテキトーにはなるまい。そうか、夢ということなら、この城主がものすごい金額を負担して塀を直さなきゃいけないということでもないだろうし、特別詫びに行かなくても大丈夫か。なら良かった。

というところで目が覚めた。ほんとに夢だった。目が覚めたとき、「なんだか心地よい夢をみた、イルカの夢をみた」と思った。特別イルカから連想する個人的な体験も思い当たらなかったから、こりゃユングがいうところの普遍的無意識からやってきた夢かもしれぬ、Googleで「夢分析 イルカ」って調べてみようと検索してみた。いい夢っぽかったから、ひどいことも書かれていないだろうというアテもあった。

すると、イルカは「幸運の象徴」とか「援助者を表す」とか書いてあり、「今取り組んでいる物事が大きく動く。積極的に取り組むことで、得られる成果が大きくなることを予兆」とか、「対人関係が良好に」「交友関係に広がり」を暗示とか書かれている。

それはそれで、子供の頃、朝のテレビ番組でやっている星占いを見て、へぇと思いつつ3分後にはすっかり忘れている…というのと同じくらいの感じで忘れていたのだけど、そういえばここ最近、景気よく自分の周辺で人の動きが活発なんだよなと思う。

その前しばらくが相当地味だったので、今が人並みくらいだと思うんだけど。自分の動き自体は相変わらず地味なのだけど、お客さん、取引先、友人と、いろいろ人の出会いなり触れ合いに引っ張られる力が働いている感があり、感謝することも多い。そういえば、成人式以来会っていない中学時代の友だちから20年ぶりくらいに連絡が来たりもした。

「それは年末だからでしょ」と理屈を言う小人も自分の中にはいて、「それもそうだな」と納得する小人も自分の中にはいるのだけど、「まぁでも、イルカの知らせがあったと考えると面白いねっていうくらいの遊びは持っておいたほうが楽しいよね」っていう小人もいる。わからないものは何かに決めつけず、わからないままに遊ばせておくのが、頭のなかの状態として私には心地いい。なんだかよくわからない話、なんだかよくわからない夢だけど、なんとなくメモ。

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