「CSS Nite Shift9」参加メモ
昨日は、「CSS Nite Shift9」( #cssnite )というWeb制作に関わる実務者向けのセミナーイベントに参加してきた。
CSS Niteは今年10周年を迎えた老舗のセミナーイベント。CSS Niteとのつきあいは古く、2005年にマンスリーイベントを始めて間もない頃から、ほぼ10年のつきあいだ。3年前にもここで書いたことがあるけれど、10年の節目をもって改めて敬服するのは、この時代、この業界では「変わり続けなければ、存続しえない」ことを、その10年の発展的存続をもって体現しているように思うからだ。CSS Niteは、変わり続けたから、在り続けたのだよな、と改めて敬意の念を抱いた。
主催者・登壇者・参加者がフラットにつながるポリシーを大切に継承しつつ、しかし取り扱うテーマやカテゴリーは業界の発展とともにさまざまに変化を遂げ、年々広がりを見せた。イベントのやり方も開催頻度も、開催地も参加者層も(もちろんリピーターも多いんだけど)固定化することなく、いろんな属性を取り込みながら今に至っている。前と同じことを書いているだけだけど、あれからさらに3年、それをやってのけているのは、やっぱりすごいことだなと思う。
市場はどんどん高度化していき、講演内容も登壇者もどんどん専門性を高めていく。イベントとしても、主催者・登壇者とも年々成熟していって、事前の作りこみも当日のパフォーマンスも半端ない。正直、その凄みをひしひし感じ取ると、小心者の私は気軽に登壇者に声をかけられなくなっていった。せっかくのコミュニティのフラットさをうまいこと自分に取り込むことができず、昨日などは、相対的に自分の10年がものすごく小さな成長に見えたりもしたけれど、それも一つの刺激として持ち帰って、来年のエネルギーにしたいところ…。
「Shift」は年末恒例イベントで、「マークアップ」、「アクセシビリティ」、「ツールと制作環境」、「デザイントレンド」といったカテゴリーごとに、その年のWeb制作シーンを振り返り、知識やスキルの棚卸しをするというもの。それぞれの内容は他所に委ねるけれども…(スライドは確か3ヶ月後には公式サイトで一般にも公開されるはず、Togetterはこちらで)、ここでは冒頭の長谷川恭久さんの基調講演に触れたい。
それは、Web制作の現場でデザイン工程を担う人たちへのメッセージとしても、ぐっと来るものだったけど、(現場外の)私個人としても、共感するところや、自分ごととして考えさせられることがある話だった。私が受け取ったメッセージと、自分の中の共感ポイントが一緒くたになったものをメモに残すと…(つまり正確な講演の要約じゃなく、私の考えや言葉がちょいちょい混入している)。
〜デザインを、デザイナーだけのものにしないこと。そこはもはやビジネスと直結した意志決定なわけだし、デザイナー以外も巻き込んでデザインの評価や検討をしていく必要がある。そうするためには、デザイナーが「デザインプロセスを可視化」する必要がある。デザイナーがプロセスを可視化して、人に伝え、周囲に還元していくこと。最近は、プロセスを簡単に可視化できるツールもある。そうして、デザインをビジネスの線上できちんと意味づけていかないと。
で、そのためには、インプットしたものをアウトプットしていかないと進まない。アウトプットしなければ、スキルアップもしないし、周りも変わっていかない。人に向かってアウトプットするのが怖い気持ちは誰にだってあるし、自分にだってある。けど、出さなきゃわかんない。出すから、足るもの・足らぬものが見えてくるのだ。〜
というわけで、自分のアウトプット活動をちょっと見直したいのと、その先「人にどう還元できたか」を注視したい。アウトプットして自己満足じゃなくて、それが何views獲得したとかじゃなくって、自分のアウトプットを受け取った人が、それをどんな「その人のインプット」として受け取ったのか、それがどんな「その人のアウトプット」に変容したのか。そこがやっぱり肝心なところで、特に私のような媒介者のような役回りだと、そこにバトンを渡せられなければ全くの役立たずだ。
って全然Webの話していないけど、この基調講演を引き継いでの各カテゴリーの講演で、いずれも濃密で面白く有意義なCSS Nite Shift9でした。主催者・登壇者・運営者の皆さん、ありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いします。
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