研修屋を脱して
呼び名はなんでもいいのだけど、というか外からわかりやすいし、下手に大きく出てかっちょいい名前をつけても身の丈にあわず心折れるのでそのままでいいのだけど。自分の内面的に、ここを節目に脱研修屋をかかげて仕事しようと思う2015年春うらら。
私がやっている仕事は、オーダーメイドで1社向けに研修をつくっておさめるという仕事で、それがお客さんの要望に応じてOJTプログラムになったりモバイルラーニングになったりもしたけれど、多くはトレーニング、ワークショップの類と講義からなる、いわゆる研修プログラムを提供してきた。
いろいろと研修の発注者にヒアリングをして、その会社の現場にそくした研修になるよう力を注いできたけれど、ちょっと改まって、自分にえぐるような視線を向けてみると、やりきれていなかったな…と思う領域が確かにそこに広がっているのだった。うん、甘かったなと。
やりきれていなかったな…と思う領域というのは、自分がもっとやり尽くしたい領域があるというふうに、言い換えていいんじゃないかと思うのだ。暗そうでいて基本的に発想は前向きなのだ、私は…。
その会社の実務を変えること、仕事のやり方、ふるまい、アウトプットの精度、人のパフォーマンスが前より価値をあげ、売りに貢献するものに変わっている状態にすること。一般のセミナーやOff-JTの研修を受けたのと同じ刺激しか持ち帰れないなら、そこにオーダーメイドの付加価値はほとんどない。
業務委託契約を結んで、その会社の問題意識や現状を把握させてもらうならば、それにふさわしくもっと踏み込める余地があってしかるべき。研修の領域にとどまらず、研修の前・後をどうデザインするか。とくに後をどう実務に直結させるか。
今ちょうど、発注者たるマネージャー陣だけじゃなくて、現場の人たちにも業務のヒアリングをする機会をもらって、そこからどう現場の仕事に直接的に接続させられるか考えながら演習を作りこんでいる案件があるんだけど、そういうことをもっと丹念にやっていきたい。ご要望に応じてじゃなくて、今回みたいに自分で機会を作っていかないと。
マネージャーさんは現場の方々に業務ヒアリングする時間を快く作ってくださるし、現場の方々も協力的にお話ししてくださる。一緒に、どういうふうに現場の仕事につないでいったら一番いいのか現実的な道筋を考えていけたりする。
そうやって具体的な機会を探り当てて、一本筋道を見出して、持ち帰って精緻に構成立てていく作業は、すごく楽しいし面白いなとも感じる。超裏方ながら、私にとってたいそう創造的な仕事でもある。
他のお客さんでも、そういう機会はいくらでも作れる手がかりはすでにあるし、ちょうど、そういう領域を掘り下げていきたい案件がいくつか目の前にぶらさがっている状態。あとは自分が拡張する気があるか、具体的に考えて作って提案できるかって問題だ。なので、まずはこれらを一つひとつ形にしていこうと思う。
そうして、直接的に現場の変化につながる研修を作りたいし、その会社のどの仕事から着手していったら、その能力を段階的に獲得していけるのか、会社の売りに着実に貢献していけるのかを、現実をとらまえて具体的に提案していけるように。そこを、これまで以上にきちんと時間をとってこだわっていこうと思う。
しばし、自分の提供しているもののレイヤーが凝り固まっているような停滞感があった気もするんだけど、ちょっとその感じが晴れた。これこそが講師ではない私の果たすべき役割の核だし。上から見れば、狭い領域の地味な働きの変化になるだろうけど、私は私なりにこの仕事を大事に務めあげたい。
こんなふうに会社の期の節目に、心のうちから目標らしきものを掲げたのって(実は)あんまりないのだけど、ちょうど良い節目。来期は一つ上のことを提供するように意識を変えてみようと思う。
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