実家の書類整理
12月初旬に実家に帰ったとき、父が書類の整理をしたがっていたので、大晦日は実家でたまった書類の束を広げて大掃除した。家の中はいつもこぎれいに保たれており、年末だからといって大物を掃除することもないのだけど(いや、やろうと思えばいくらだってやるところはあるんだけど)、家の中にはこれと別に小空間高密度領域という小宇宙があって、ここをどこかのタイミングできちんとやっつけておかないと、後で大変なことになるのだ。
前に実家で手をつけたのは「調味料入れ」と「薬箱の中」だ。あれはまさしく、小空間高密度領域だった。場所的にはものすごいスペースを割いているわけじゃないんだけど、いざ掃除するとなると、お酢だのごま油だのラナケインだの、なぜか同じものが何本もあるので、一つひとつ賞味・消費期限を確認していくのに一苦労。新しいものだけ残して、期限切れを捨てるよう仕分けしていくと、整理するのに小一時間を要す。
ああいう所は、一線を越えるともう手がつけられなくなってしまう。いざ整理しようと思っても、その場がはきだす戦意喪失力が半端なく、生涯触れずにやり過ごすか、分別せずすべてを捨てるかしか選択肢がなくなってしまうのだ。そして先々に引っ越しイベントがない実家などのケースでは、前者になる確率が高い。一線を越える前に時期を見極めて、えいっと立ち向かう必要がある。
で、今回は書類の整理。書類というのは、例えば家の保険だったり、車の保険だったり、ガン保険だったりの書類。放っておいても、あれやこれやの郵便物が実家には大量に届いているのだ。それがかろうじて一所にまとめられており、古い期限切れのから期間中のものまで、どさっとファイリングされている。これでは急に必要になったときに書類の整理から始めねばならない。
では!と父と娘、書類の束を挟んでテーブルに向き合い、父が書類を一つひとつ取り上げ、二人で吟味していく。これは3年前の→捨て、これは4年前の→捨て、これは2年前の→捨て、これは今の→イキと仕分けしていく。捨て行きのものは娘のほうに寄せ、個人情報が含まれているものとそうでないもの(ガイドブックとかパンフレットの類)に分ける。イキのものは、これは何系の書類、これは何系の書類と分類し、父のほうへ戻す。
間違って大事な書類を捨てないように二人で確認しながら、コツコツやっていく。45分くらいやっていると、父が一度「あぁ、じゃあくせぃ」みたいな弱音をはく。そこで娘、「ここまで頑張ったんだから。ほら見て!この書類の束。これだけ処分できてすっきりしたんだから、あと少しだよ」と、いつもよりテンション高めに励ます。
こんなこと、自分一人でやっていたら言えない。たぶん私が「あぁ、じゃあくせぃ」の役を買って出ている。父が弱音をはくから、私はバランスをとってサポート役にまわれるのだ。やはり、これは一人でやってはいけない。この手の作業は身内と二人ペアで行うことが肝要だ。あと、一人は老眼が始まっていない者を割り当てること。で、こちらも小一時間かけて完遂。
それから実家の書類の整理をするときは、娘(息子)はゴミの書類を中心に扱うようにし、父(母)はイキの書類を中心に扱うようにする。イキの書類をファイルに戻したり、もとの場所に戻したりするのも父(母)がやったほうがいい。いざという時に、自分でしまっておいたほうが、すぐに「あれはここにこういうふうにしまってある」というふうに思い出しやすいからだ。ゴミの類は覚えておかなくていいものであり、また量も多いし、個人情報書類の分別もあるので、こちらで一通り扱うようにすると、役割分担として適切だと思う。と、役に立つのか立たないのかよくわからない豆知識風に終わる。
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いいですね、父と娘のやりとり。林さんのお父さんの表情が目に浮かびます。
一人じゃ面倒くさいことも、複数でやれば何とかなる。会社なんてそのためにあるのでは。フリーランスはそこがネックでしたね。
お父さんだろうと、会社の同僚だろうと、一緒に頑張れる仲間がいるのは幸せなことですね。
投稿: naoyuki sasaki | 2015-01-07 03:18
佐々木さん、今年もどうぞごひいきに。
能力的にできるできないの問題以外に、「やる気になるか」みたいなところで、みんなでやったほうがいいケースもありますよね。こうした書類整理なんかは、まさしく…。
組織は、一人でできないことを実現するためにあるものですから、会社はまさしくそうでないと意味がないですけど、今は「会社」でない組織の組み方も出てきていると思うので、そういうののサポートが充実していくといいのかもしれませんね。
投稿: hysmrk | 2015-01-07 06:56