下の歯の地力
しばらく省エネモードで暮らしている。歳をとるごとに佇まいの淡々とした感じが色濃くなっていき、活動も普段からインドアな過ごし方に偏っているというのに(つまり地味)。今の様子はもう一歩先を行き、一般的にみたらふさぎこんでいるような感じに見えるだろうか。あるいは、いつもと変わらないということになろうか。
ともあれ原因はわかりやすくて、歯の痛みだ。数ヶ月前から歯医者に通っていて、そのグランドフィナーレが親知らず3本抜きだったのだけど、最後の下の歯を抜いたのが、10日以上経った今でも痛む。それより前に抜いた上の歯2本は、痛かったし精神的ショックも大きかったけど、ともかく薬を飲んで3日もすれば落ちついた。けれど、下の歯を抜く痛みはその比ではない。
歯を抜くときの大量の麻酔(上を抜くときよりも麻酔の時間が長くて、それだけでも精神的ダメージが大きい。舌までしびれを感じたときの、精神まで奪われるんじゃないかという恐怖感たるや…)、抜く時間も20分だか30分だか正確な時間はわからないけど、とにかく長かった。ぐいぐいっ、一息ついてはぐぐぐぃっというのが続いて続いて、足腰がくぶる、目に涙。歯や歯ぐきに申し訳が立たず。ごめんよ、ごめんよ、と思いながらも、怖いので脳内には「おお牧場はみどり♪」を流し続ける。それでもなかなか抜けない。下の歯の地力には恐れ入る。
ようやっと「終わりましたよ」と聞こえてきて、はぁーーーと深い息をはき、息を整え、先生にパタパタうちわで扇いでもらい、しばらく休ませてもらって這い出てきた。が、そこからずーっと、ずーっと痛みがあって、痛み止めの薬が切れては、まだ治まりませんと薬をもらいに行く日々。
薬を飲み続けるのも気が滅入るが、痛いので飲まないとやっていられない。1週間して恐怖の抜糸も終えたけれど、相変わらず痛い。糸が抜けて異物から解放されたら一気に元気になるのでは?という謎の仮説に期待を寄せていたけれど、そんなこともなかった。体温も通常34度後半から35度前半というところ、今測ったら36度前半。なんか身体頑張ってる感(夏だからかもしれないが)。
昨日今日くらいで、あれ、すこーしだけど静まってきたかな、という感じがしないでもない、というくらいの小さな変化を感じるのだけど幻覚かもしれない。まだまだ気が抜けない。全治3週間くらいのケガをおったくらいの気構えでいないと、やっていられない。
とにかく右頬内側がずっと泣きべそ状態なので、ここしばらくいつも以上にこもって過ごしている。先週末の3連休も、前からランチを予定していた友人と会った後は身内以外、誰とも話さなかったのではないか。それもまぁ普段と変わらないといえば変わらない暮らしぶりなのだけど。とにかくちょっとふさぎこんだ感じ。
歯が痛いだけで人はなんと気弱になるのだろう
と、脳内に浮かぶ。村上春樹の「雨天炎天—ギリシャ・トルコ辺境紀行」という旅本に、「雨に打たれただけで人はなんと気弱になるのだろう」という言葉がある。これが心に染み入ってずっと頭に残っていたのが持ち出された。
梅雨もあけたことだし、そろそろ気分を上向きにして、いくらか活動的になりたい。とにもかくにも、そろそろ治りたい。
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