エキスパートと初心者の違い
エキスパートに関するメモ。〈新装版〉「経験知」を伝える技術(ドロシー・レナード+ウォルター・スワップ著)の第3章から、多少の個人的解釈を含んだ要約。
まず、エキスパートの要件っぽいもの。
●少なくとも10年以上の集中的な練習と経験を積んでいる
●経験とは、漫然としたものではなく、十分な振り返り、意識的な課題への取り組み、かつコーチの指導とフィードバックをもったもの
●豊富な経験のレパートリーをもつ
●システム全体に関する統合的理解がある
●経験に基づく高度に一般化された知識、抽象化された知恵をもつ
エキスパートが具体的な状況に直面したときの表れ。
●パターン認識能力が高い
初心者には分からない微妙な違いを識別し、
豊富な経験から適切なパターンを見出し、
客観的にものが見られる。
●先読み能力が高い
少ない情報からでも大局をつかみ、
仮定の選択肢をさまざまに想定し、
先の展開を予測して可能性とリスクを見抜く。
●意思決定が迅速
問題解決に重要な情報を選別し、それだけに集中、
質の高い解答を素早く導き出し、
迅速に意思決定できる。
初心者は、少ない経験を一般化してしまい、そのときの経験に判断を左右されすぎる。あるいは、判断を先延ばして様子をみようとする。前にも進まず切り捨てもしないで、なんとか全部こなそうとする。
エキスパートが新しい状況に直面したときの表れ。
●メタ認知能力が高い
自分の知識の欠落や例外的な状況に気づき、
自分の経験則の適用範囲を慎重に見極め、
目の前の状況を対して一般的なルールを適用すべき場面か否かを見分けられる。
初心者は、無知・過信・先入観によって、未知の経験を自分の見知ったパターンにあてはめてしまう。あるいは、そもそもある知識領域にどのような知識が含まれるのかわかっていない。
※追記
ちなみに多少の個人的解釈というのは、最後の部分。本書では「無知・過信・先入観によって〜」をエキスパートがおかす過ちとして書いていたけど、前に「エキスパートは自分の経験則の適用範囲を慎重に見極める」って書いてあるのと矛盾する。なので、真のエキスパートはそこを適切にふるまえるって解釈して、これは初心者のすることとざっくり整理した。
ただ、長い経験をもつ人こそ注意したいポイントではある。「健康な自信と、不健康な慢心を隔てる壁はとても薄い」のだ。村上春樹の「走ることについて語るときに僕の語ること」より。
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なるほど、色々と納得。
投稿: nobsato | 2013-12-05 12:01
その一言、深みがあります。
投稿: hysmrk | 2013-12-05 12:26