直接フィードバック
ひと月半ほど前、32年間続いた「笑っていいとも!」が、あと半年で終了するというニュースが日本中を駆け巡った。私も会社の自席でネットを通じてそのニュースに触れ、ついにかぁと静かに受け止めたのだったが、それからしばらくして席を立ち、エレベーターに乗って1階に向かっていたときのこと。
エレベーターが途中階で止まり、ドアが開くと別の会社の20代後半くらいの女の子たちが3、4人乗ってきた。まさに「笑っていいとも!」の話をしていたので聞くともなく聞く。すると女子Aが「笑っていいとも!終わっちゃうんだったら私1回ぐらい出たいなー」と言うので驚いた。
その後に続く女子Bの切り返しも実に自然で、「そうだねぇ、ポルトガル語がしゃべれる〜〜とかだったら出れるんじゃない?」って、具体的なネタの検討に入ってるよ…。この子らにとっては、それがフツーなのか。これが世代間ギャップというやつか。「終わっちゃうんだったら1回くらい〜」の後に続くフツーの視聴者の発想って「観に行きたいなー」だと思っていた。
これが本当に世代間ギャップなのか、ただの個人差なのかは知らないが、ここはとりあえず世代間ギャップがあると仮定して考えてみよう。時代は全員参加型、みんなで作る、舞台の上とか下とかの区別はどんどん曖昧になっていく、フラットな世界観が広がっていくのだ。
として、この時代変化に健全に対応していくためには、どう旧来型の態度を改めるべきであろうか。って心のうちで問答していたら、このところぽわーんと思っていたことを思い出した。はっきり言って、上の話とこの後の話がどれくらいつながっているかはよくわからない。
ともあれ、自分が長くつきあっていきたい製品とかサービスとかブランドとか会社とかに対して、正面から自分の意見をフィードバックしていくってことが、ごくフツーの健全な態度になっていくかなぁというのが、最近ぽわーんと思っていたことだ。
へたな客意識とかなくして、黙って買うか買わないか使うか使わないかだけの意思表示しかしないんじゃなくて、もっとこういうふうに使えたらいいとか、こういうところが使いづらいとか、そういうことを作り手に直接フィードバックしていく。そういうフラットな意見の流通が一般的になっていくのかもなぁと(やっている人は時代に関係なくやっているのだろうが)。
もっとも、こういうコミュニケーションは客側に「期待を込めて」「長くつきあいたいからこそ」という意識がないと本物にならないし、企業側も「相手をクレーマーと思わない」「サービスをよりよくするための意見」って受け止め方でないと価値化されない。この共通認識をもった信頼関係を築くのに、従来型のビジネスにはそれなりの時間がかかるかもしれない。
一方で、インターネット界隈のサービスは、そういうことを先んじて進められそうな風土を感じる。だいたいサイトには「ご意見求む」というフィードバック用のフォームがあるし、価値のある意見なら前向きに検討してくれそうな空気感もある(というのは私の個人的感覚にすぎないが)。そこに期待を込めて直接言葉を返していくっていうのは、私の中の旧来型の客意識をかえて、ちょっとやっていきたいなぁという気もする(ゆるふわ)。
インターネット外でも、どこかで店員さんがお客さん対応に困っていたら、通りすがりの客として助けたりもするし、みんなで社会を作っていく、みたいな感覚は、少し前より広がっているかもなぁとか思う。あるいは、取り戻そうとしているのか。私が歳とったってだけかもしれないが。
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