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2013-07-21

いとおしい大人

ラジオというと、パーソナリティーとリスナーがやりとりするインタラクティブな番組をまずイメージする。リスナーからメッセージを受けつけて、パーソナリティーがそれに応対しながら番組が進行する。

そのことは子どもの頃からわかっていたけれど、それはそれ、これはこれ。私は昔からラジオを「聴くもの」として扱ってきた。自分がメッセージを送るという発想が子ども時分にはなかったし、大きくなってからも特別そうしたいと思うことがなかった。性分のようなものだろうか。はたまた千葉の片田舎で育ったからだろうか。

ただ、もう10年ほど前になるかしら、人生で一度だけラジオ番組にメールを送ったことがある。突き動かされたのだ。勝手な話だが、この番組がこのまま終わっちゃいけない、と思ったのだ。

うちはテレビがないので、その頃はよく、聴くともなくFMラジオをつけて過ごしていたのだが、ある晩、22時くらいから始まる若者向けの番組で、聞きづてならない話が耳に入ってきた。

確か、これから社会に出るという若いリスナーからのメールがきっかけだったと思うのだけど、「サラリーマンになって毎日くたびれた顔して生きるのもいやだし…」みたいなメッセージに対して、ラジオのパーソナリティーが「だよなぁ!」と全面肯定して、「サラリーマンは全員くたびれた顔していやいや仕事してて目的もやりがいもない奴ら」的な物言いを続けたのだ。

それを聴いて、おいおい、馬鹿言っちゃーいけないよー、と。若い子らが聴いている番組で、「サラリーマン」ひとくくりに偏った印象与えて、このヤローと。なんだかそのままではやりきれなくなってしまって、多少の逡巡もあった気がするけれど、人生初「ラジオ番組にメールを送る」行動に出た。

送ったメールは少ししてから読まれて、「いや、ほんと、そうだ。ごめんな。」とコメントされて、事なきを得た?のだが。

また別の機会に、飛行機の中で隣り合わせた男の子とひょんなことからおしゃべりすることになり、私が楽しそうに仕事の話をするのを驚かれたこともあった。「仕事が楽しいと言っている大人に初めて会った」と。

考えてみれば、私も「サラリーマン」というものに、学生の頃特別キラキラした印象はもっていなかった。ひとくくりに「サラリーマン」とみていたような気もする。けれど、二十歳のときにたまたま入社した会社が、フルカラーでも表しきれないような彩りを、私の「サラリーマン」像に与えてくれた。

当時、社会に対してこれといったイメージをもたなかった私は、その会社に入って目にするすべてを、社会とはそういうものかと素直に受けとめた。会社には、こんな芸人みたいな人がいるのか、こんな女優さんみたいな人もいるのだな、こんな猿みたいな人もいるのか、こんなストイックな人もいるのだなぁ。そして、その多様さのすべてを受け入れ、生かす心意気で会社があった。90年代のことである。

昨晩は、その頃の皆さんが集まるOB会があり、21時過ぎに仕事を切り上げて会場に向かった。退職以来お会いしていなかった方との再会もあり、しかしみんな変わらず元気でバラエティ豊かな変人で、とても心地よかった。

あと、やっぱり10数年のときを経ても、声っていうのは変わらないなぁと。あぁ、あの人の声だ、そのままだ、と。声って、音の振動って、何よりもその頃の空間を身体によみがえらせるんだなぁと感じ入った。

社会に出たての二十歳の私に、仕事は楽しいものなのだと刷り込んだ諸先輩がた。時を経てお会いして、頭に浮かんでくる言葉は「いとおしい」だった。諸先輩がたを表すのにこれでは礼を欠く気もするが、なんだか一番しっくりいく言葉だ。

今夏、というか今年は仕事づくめで暮れていきそうな勢いだけど、とてもやりがいのある仕事に巡りあわせてくれたこの会社に、この会社を通した出会いに改めて感謝して、たのしく、よい仕事をしようって思う。

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コメント

いいねえ!
モチベーションがあって、志が高くて、仕事が楽しくて。
俺は正直仕事に対して高いモチベーションややりがいを強くは持てないなぁ。
そのラジオのパーソナリティが最初に言った方(汗)
一時期、会社を辞めようかと悩んだ時、
・仕事をするために生きる
のではなく、

・生きるための手段として仕事をする

なんてことを教えてもらって気が楽になったことがあったよ。

俺だってやるからには自分にしかできないいい仕事してやる、っつ思って、自分なりに頑張ってるけどね。

根底にあるのは上に書いた通り。

家族と楽しく過ごす
いいドラマを観て感動して涙する
おいしラーメンを食べる
川崎フロンターレを応援する
日本代表を応援する
旅行に行く
同僚と飲みにいく
知人、友人との集い
墓参りにいく
親、祖母の顔見て感謝する

そんなために生きてると思う。
そうするために必要な金を稼ぐのが仕事だな

ただ、それだけじゃなく、社会人として、人間として成長させてくれるという一面もあると思う。


先週、仕事で行った有楽町を歩いてたらK島先輩とバッタリ!
貴方も含め、仲間と再会し、集うのも大袈裟に言えば、僕にとっては生き甲斐!

そんなにたくさん幸せなことがあって、贅沢なこといいなさんな。私は仕事に偏ってるだけでしょう…(笑)。

自分にとっての仕事の位置づけがとらえられているって大事なことだよね。そこに優劣なんてないのだし。かず〜さんはかず〜さんの価値観の線上に仕事をこれと置いて、きちんと日常のことを大切に暮らせていて健やか。まぁその中で仕事をどこと順位づけしなきゃいけないわけじゃないし。
以前、私の母のお姉さん(私の伯母)とおしゃべりしていたら、自分が人生で一番何なしとげたって考えたら、やっぱり三人の子どもを育てたってことだわーって言ってた。私、その言葉がすごい心に染みいって、なんか大好きなんだ。尊い言葉だなぁと思った。私はかず〜さんの人生、素敵だなぁと思う。
またみんなで会って語らいましょうね。

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