青くさい思い
今回は仕事寄りのネタを取り上げつつも、内容的には超個人的な思いを書き連ねる。という前提共有をした上で、ひとつ前に書いた「中堅Webクリエイティブ職のキャリアを考える(序章)」について。
あのスライドを読んで違和感をおぼえたという方がいらしたので、直接お会いしてお話をうかがったのだけど、そこに一つ誤解があったのでそれについて話して誤解が解けて、ほーっとしたこと。
私があのスライドの中で、Web業界の労働環境を「Webクリエイティブ職を取り巻く環境」として"悪いふう"に述べているのは、あのスライドが「問題提起→解決策」のストーリーを前提としたものだったから。
私がまるごとWeb業界的なものを"問題ばかりの業界"とマイナスイメージにみているという誤解があれば、それは心底、解きたい。心が痛む。私は、サポーターとしてではあるけれども、この界隈で働く人たちと一緒に仕事ができることをすごく嬉しく楽しく有意義に、そして大事に思っているし、だからこそここ(の近く)に身をおいて仕事をしている。
「Web業界」ってくくりがいつまで通じる言葉かはわからないけれど、とにかくこの業界まわりに対して私が抱いているのは、基本的に好意的なものだし、魅力を感じている。それが私個人として前提にある。
そこに、いくらかでも自分の持ち場で貢献できることがあればと思って仕事をしている。で、今の私が実際的な仕事能力として何かを提供しうるとすれば、大きなビジョンを描いて人を率いていくというよりは、明らかに問題解決のほうだ。
だからあのスライドを作って、今こういう問題があるということはないか?と現場の人たちに投げかけてみたのだ。もし、そこで現場の人たちが「まったく、んなことないよ」って反応であれば、それを勝手に「いやいや、そんなことはないはず」と押し切って次にいっても意味がない。問題のないところに踏み込んで部外者が場を荒らすようなことはしたくない。実際には、想像以上にいろんな人に見てもらえて、いろいろな意見を伺うことができた。一定数、それに共感する人たちがいることもわかった。今はそれを踏まえてできることをやっている。
私は批評家でもないし研究者でもない。近所にいる1サポーターだ。立派な批評はできないし、あのスライドも入念な調査を行って発表したという類いのものではない。けれど、問題かもしれないことを言葉に表してスライド共有してみることはできるし、そのフィードバックをもらいつつ、問題解決に向かうための試みを一つ二つと投じていくことはできる。
当然ながら、まるごと解決する手だてを打てるわけじゃないし、本当にささやかな働きにすぎないけれども、私はその小さな仕事が自分の仕事だと思って働いている。私は1サポーターとして、いつも当事者でいたい。当事者の仕事をしたいのだ。
目の前にあるのは、常に現象にすぎない。「現象」を「問題」にするかどうかは人の決めることだ。そして私は、目的のあるところにしか問題は生起しないと思っている。自分が問題に感じたとしても、相手が問題に感じないのであれば、それは個人的に問題に感じることであって、相手と共有できる「問題」とは言えない。それは相手と自分との間では「現象」のままだ。それを押しつけで「みんなの問題」にすり替えて、自己満足の仕事をしたくはない。
一方で、それを問題提起するときに、ごにょごにょ「現象」を表す言葉にとどめていては、それが本当に「みんなの問題」なのかどうか検証できないと思うのだ。あまり心地よい表現でなくとも、「問題」として表す言葉に置き換えて共有しないと話が進まない。だから、スライドは「現象」ではなく「問題」として伝わる言葉を選んだ。
それが、普段このブログとかでおつきあいくださっていて、直接お仕事をご一緒したことがない方には違和感のあるものだったかもしれない。ちょっと戦闘的で仕事モードな言葉が馴染まなかったかもしれない。まぁ、どれもこれも私だ。ただ、明るいほうに行きたいのだという単純さで動いているのは基本的に変わらない。私は、明るいほうに行きたいのだ。
と、青くさいことを書き連ねている間に誕生日が過ぎてしまった。37歳。いやー、びっくりだ。
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