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2011-08-05

直観を形にする

提案書の書き方がかわってきた。気がついたら「直観を形にする」ようになっていた。直観を微調整に使うんじゃなくて、直観を提案全体の構造づくりに使うようになっていた、という感じ。

なかなか自分の直観を信じて提案の全体構造をつくるって危なっかしくてできない。私は無意識でいると直観人間だけど、提案仕事のときとかは意識的に、ロジックやら経験、実績、既存のリソースを総動員して全体構造を考えてきた、と思う。自分の直観頼りにやってはずして、お客さんの期待に応えられないでは困る。それを預けられるほどには、自分の直観を信じてこなかったってことなんだろう。臆病さの表れでもあったと思う。

それに、自分の直観をベースに提案の全体絵を描いて、それに納得感が得られたとしても、その全体絵を反映した具体的な企画に落とし込めるだけの力量がなければ、結局提案書を最後まで書ききれないから、道半ばで引き返し、他の安全パイで全体構造を書き直さざるをえなくなる。

だからこれまでを振り返ると、自分なりに毎度熟考して提案書を書いていたけれど、直観とともに、経験、ロジック、既存のリソースやノウハウ、いろんなものを総動員して、提案の幹や全体像をどこに置くのか練り、わわわーって書き散らかした後に整理をし、最終的な提案をひーこらまとめあげていた気がする。

それが、ここ数年いろんな研修案件をやってきて、ここ2〜3ヶ月は他の業務メインで研修案件から離れて…。その経験の積み重ねとひと呼吸が、何か吹っ切るのにちょうどよく働いたのかもしれない。

ここ1週間くらいでまた、一気に繁忙期を迎えて研修案件を並行で再開しだしているのだけど、お客さんからヒアリングしてきたものとにらめっこして、うーんって企画の全体像を考えていると、自分の直観が、こういうのが一番いいだろうってしゃべり出すのだ。それを手がキャッチして、紙に起こしだす。すると紙に起こされた企画の全体絵を、きちんと実のある企画に落とし込むべく、ロジックがフォローしだす。そんな主従逆転の感覚を覚える今日この頃。いや、そんなスマートにさらさら書けているわけじゃまったくないけど…。

ともかく、それをざざっと提案書のたたき台まで書き込んでいって、講師陣を訪ね歩きながら企画を精緻化したり、カリキュラムの構成を練り直したりする。直観が根幹になっている企画だから、とにかく自分がこの提案に必要だと思う講師には、臆病者ながら新しい方でも依頼しに出向いたりしている。

そうして講師が企画に参画くださって、自分の提案書をたたいてくれて、当初よりぐっといいものに仕上がると、直観がきちんとした形になる。それはもちろん自己評価で、自分の精一杯にすぎないわけだけど、それをお客さんに出して、お客さんからいいフィードバックが得られると、もうなんだか、わぁーって幸福感を感じる。もちろん、その後の納品が肝だからすぐ気を引き締めるけど。

なんというか、こういうふうにして、人の学習をサポートするために自分の直観で絵を描き、その道の専門家と膝つきあわせて中身づくりの議論を深め、直観をきちんとした形にするって、すごく生命力をもった活動だなぁってしみじみ幸いに思う。

もちろんここで言う直観って、これまでの経験とかロジックとかと密接に関連づいて働いている感じはあるんだけど。それに、数回そんな感覚を味わっただけで今後も継続できる保障もないんだけど、とにかく以前と比べて、研修の提案をする仕事の仕方が自分のなかで変わった感あるなぁって話でした。

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コメント

mrkさんは、実にプロフェッショナルであるなあと、あらためて実感するエントリ。

考え続けた結果が財産になり、他に真似ができない領域となって、マネタイズできる顧客価値になる。
凄いことだと思います。

noriyoさん
このつたない文章から、私が伝えたいことを読み取ってくれたことに感謝です。たぶん、当然にそれをやってのけているからこそ、あぁ、こういうことを言いたいんだなって汲み取ってくれたんだと思います。私も一歩一歩おっかけます。

saltpanさん
身に余る言葉…。たぶん、そのスタート地点までようやくたどり着いたってくらいなんだと思いますが。ほんと、このつたない文章の意味を汲み取ってくださる方は、みんなこういうプロセスを乗り越えて先を歩んでいらっしゃるんだろうなぁって思います。これからもおつきあいのほどよろしくどうぞ。(笑)

こちらこそ。
生涯カウンセラーですからね(笑)

saltpanさん
えぇ、しっかり面倒みます(笑)

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