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2011-05-23

「伝記」という救い

カナダの天才ピアニスト、グレン・グールドの名を知ったのはほんの数日前。久しぶりに会った友人が「誕生日プレゼントに」とくれたのが彼の「バッハ:ゴールドベルク変奏曲(1981年録音)」。こういうプレゼントができる女性はほんと憧れる。

私は(何事にもそうだけど、こちら方面もまた)まったく知識がない(感性もないが…)。ただ、ピアノの音色はたいそう好みなので、いただいたその日から繰り返しかけている。さらに、ちょうど誰かの伝記を読みたいと思っていたときだったので、タイミングよく通りがかった彼の伝記「グレン・グールドの生涯」を読み始めた。

これまで誰かの伝記を読みたいと思い立ったことはなかったのだけど、ここしばらくの気分がそこに救いを求めているように感じられたので(歳だ…)、何かないかなと探していた。しかし「伝記」で検索すると、ビジネスの上で大成した人の著書が並び、どうもしっくりこない。今読むなら、私の中でなじみがなく、つかみどころのない分野の人の声が聴きたい気がした。

そんなときに通りがかったのがグレン・グールド氏で、そうそう、こういう人の伝記を求めていたのだと。つまりCDをいただいた流れで、ほとんど何の事前知識もなくこの本を買った。風に誘われたのだ。そして翌日Amazonから届いた本のページをめくると、「あぁ、私はこの本に今出会うべくして出会ったのだ」と思った。基本、非科学的人間です。

伝記において本当に大切なのは、その人物が何を思い、考えたかであって、その人物が何を成し遂げたかではない。−グレン・グールド

まさしく、私が「伝記を読みたい」と思った核心がそこに記されていて、しかもこういった思いをもつ人の人生に触れたくて私は伝記を読みたがっていた。といきなり言い当てられた気がして、この一節を冒頭にとらえたときは本当に驚いた。

というわけで、届いてみたら550ページ以上ある大作だったのだけど…、のんびり読み進めている。天才の心のうちを覗ける読書とは贅沢である。とりあえずこの本を読み終えるまで、この気分ともよろしくやっていこうか。それじゃ遅いか。そろそろ時間いっぱいである。

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コメント

グールドの「バッハ:ゴールドベルク変奏曲」、僕も学生の頃プレゼントされた想い出の一枚です。バッハもクラシックも興味なかった僕に、こんな音楽があるんだ!と新しい扉を開いてくれました。

1955年の同じ曲の初録音もぜひ聴いてみてください。全然違うんでびっくりしますよ。

人間としてもかなり変わっていたようで、興味はつきませんね。

おぉ、ササキさんもプレゼントですか。ほんと、こんな音楽があるんだ!という感じですね。まぁ音楽の難しいことはわからないのですが、彼の伝記はおもしろいです。1955年のも今度聴いてみますね。

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