身近な部外者
数年前ある場所でマイクをもったとき、私は「Web業界の人材開発部員でありたい」と話した。Web業界というのはまぁ便宜的にそう言い表したものだけど、今もその気持ちは変わらない。自分の所属する会社、自分の所属する部署がそういう社会的意義をもてたらいいと思っているし、そうでなくとも、私は会社の中にいようと外に出ようと、個としてそういうふうに貢献できたらと思っている。
人材開発部というのは、つまり現場の外だ。現場の外でありつつ、Web業界株式会社の中にあるということ。つまり、最も身近な現場の部外者でありたいと思っている。現場の外にいて、その分野では第一線に遠く及ばないけど、部外者の中では最も彼らの身近にいて、彼らとはまた異なる人材開発の専門性を磨いて、彼らのために働く。
部外者の能力をわきまえつつ、部外者だからこそできるサポーターとしての仕事を、どれだけ身近で、どれだけ献身的に、どれだけ専門性をもってできるか。そのためには、自分の器を、自分なりのやり方で、もっと大きくしていかないといけない。
それがここ数年は、今の環境のなかで巡り合う案件を実践することで磨いていけた。ここ数年の法人研修の仕事は、クライアントの要望や講師とのやりとり、受講者の反応を受け取って、それを形にしたり後から振り返ったりの実践をすることで、私の器を1.5倍、2倍と大きくした。
けれど今ここに立ってみると、このままの環境を保って、ここ数年の1年間と同じ伸び率を今年度実現することは、かなわないだろうなと直観する。もはや自分がイメージできるゴール設定とその実現では、この先できて1.1倍の伸びしか期待できない気がする。
これからはきっと、環境面の変化を加えていって、自分の思い描けるゴールイメージが拡張、高度化していくような取り組みをしないといけない。自分の描けるゴールイメージが停滞すれば、自分が実践できること、ひいては貢献できることも停滞するのが必然だ。このままでは井の中の蛙になってしまう。
今再び、「ドラマで泣いて、人生充実するのか、おまえ。」(きつかわゆきお著)より、この言葉を思い出す。
不確かなものを愛せよ。確かすぎるものに愛されるな。
だって結局、世の中も、人生も、本質的には不確かなものにちがいないのだから。
キャリア支援とは、弱者救済的な仕事じゃない。もっと生産的で、もっと創造的な人と仕事の交差が世の中にあふれていくような支援に仕えたい。そんなエネルギーで世の中が満ちていったら、美しいだろうなって思う。
※注:「今ここ」とは会社辞める辞めないの話とは別で、私の概念世界のお話です。
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