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2010-12-22

父と母の心のうち

火曜日の夕刻、iPhoneを見ると兄からの着信履歴があった。兄からの電話なんて、ほとんどないこと。悪い予感は的中した。母が大病をわずらったと言う。信じられなかった。一気にたくさんのことを考えすぎて、頭がパンクした。母にもらったいろんな事柄から人間の生命のことまで、右往左往して頭の中がせわしなく働き、心はただただ動揺していた。

PHSのほうに父からも2件の着信履歴が残っていた。何度折り返しても通話中が続き、なかなか家につながらなかった。数十分経ってようやく電話がつながり、父、そして母の声を聞いてやっと少し落ち着いた。思いのほか、落ち着いた声が聴けたからだ。しかし心中を思うと、いたたまれなかった。

今日が母の精密検査の日だった。父の携帯電話に夕方連絡をとると、検査結果からしてちょっと急いだほうがいいかもしれないというので、検査後直行して、父の元同僚の奥様が一年前に同じ病気でお世話になり、術後が良好だという病院へ予約に向かったと言う。年末年始に入ってしまうので、精密検査の今日を迎えるまでに病院にあてをつけておいたのだ。年内に予約がとれ、その日の医師の判断で今後のスケジュールが決まる。父が全面的に事を進めてくれている。

私に電話で簡明な説明をすると、父は「お母さん、検査痛かったんだって、すごく。痛さはお父さんには話せないから、お母さんにかわるわ」と言って、すぐ母にバトンタッチした。セリフはおっちゃんなのだが、振る舞いは一流の紳士だ。普段は振る舞いもおっちゃんなのだが、こんなときの振る舞いは一流の紳士顔負け、本当にかっこいいと思う。

絶対的な安定感があって、いつも私たちを守ってくれる。取り乱さない。それが自分の役割だとわかって、自覚的にやっているんだと思う。だけど、意識して頑張っているんだってそぶりも見せない。かっこいいなと思う。

でもきっと、一番身近な場所で、すごく不安な思いをしているのは父なのだ。一番踏ん張っているのが父なのだ。大好きなんだもの、母のこと。私たちより長く母と生きてきたんだもの。母のことを思っても、父のことを思っても、バケツが何倍あってもたりないくらい涙が出てしまう。

治療は大変だけど、絶対大丈夫だって信じているから、そのことに涙が流れるわけじゃない。だけど今、大きな不安にさらされた母の気持ちと父の気持ちを思うと、悲しくてたまらなくなる。

私にできることは、ただ、父と母がくれた愛情と同じくらい大きな愛情を父と母に抱いて生きている娘の気持ちを、できるだけ伝わるように伝えていくだけだ。だから結局、今ぐらいがいいかなと思うときに、できるだけ安定した言葉と声をもって、電話をかけて、話をして、気持ちを届けるばかりなのだけど。

いろいろ思ったり考えたりを繰り返しているのだけど、そのうちの一つの妄想。母は長いこと父に腹を立ててきたので、もしかするとそろそろ、母に父を許してあげなさいよって、そうして仲良く老後を暮らしていきなさいよって機会なんじゃないか。そういうふうに何か肯定的な意味を見出そうとするのが私の癖。そして私も、ここに受けた生を必ず、意味のあるものとして全うしなくてはならないと改めて思う。

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コメント

ご両親は良い娘を持ちましたなー。
お母さん、早く良くなるといいですね。

sasakiさん
ありがとうございます。なんか思いばっかりでね、結局なかなかおうちに帰れていないんですが、年末年始にしっかり応援してきます!

お母様、とても心配です。。
そして、傍にいらっしゃるお父様と、離れてご両親の心のうちまで察しているhysmrkさんのお気持ちが痛いほど伝わってきます。

娘というのは、息子とはまた別の意味で
両親にとって非常に心の支え、頼りになる存在だと私も勝手に思っています。
hysmrkさんがお電話で話すだけでも、そして元気にしているというだけでも大きな支えになっているでしょう。ましてこれだけご両親の気持ちを察している娘さんですから。。

年末年始に帰られそうですか。hysmrkさんもとてもお忙しい日々をお過ごしと思います。
お母様の1日も早いご回復を心よりお祈りしています。
そしてhysmrkさんご自身が沢山のものを背負ってお疲れになりませんように。。


温かいメッセージありがとうございます。
ベルさんの言葉はいつもとても胸にしみいります。
そうですね、私が二人の娘として支えになれることをしていけたらと思います。年末年始は実家に帰ります。しっかり会って、ゆったりお話ししてこられたらなって思っています。

ベルさんのこと、ブログを拝読して心配していました。なんだか落ち着いてコメントを残す時間がもてず今日まできてしまったのですが…。
本当に健康第一だと思うので、ご無理のないようにお過ごしくださいね。

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