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2010-03-04

「今」「ここ」を味わう

今週はこの一年の中でも一つの山場みたいな一週間で、今日が主催のセミナーイベント(これは講義と演習の設計まわりのみの担当にさせてもらったので昨日の仕上げまでが山だったんだけど)、これに自分が一通り預かっている企業研修の本番が2社、あと一般向け講座の本番が2本ある。日曜から土曜までにまるっと収まっていて、連日本番であり、本番前夜であり、かつ本番前々夜みたいになっている。来週、再来週にも企業研修が控えており、それの講義・演習設計や場の構造づくりなどもある。

そんなこんなで、「忙しい日々が続いている」というのが一般的な言い回しだと思うのだけど、通常使っている「忙しい」という感覚とはちょっと違う。いや、だいぶ違う。忙しい状態というと、文字通り心亡くなってしまった感が否めないのだけど、そういう感じじゃないんだな。

いろんな感情がうごめいているかというと、そういうわけではないし、まったくそういう余裕はないのだけど、そのときそのとき、一つのこと、人たちに静かな心で向き合えている気がする。一つこれと決めて、その海の深海までもぐっていき、とにかくその人たちの声に耳をすまし、場を作っていく。これを一つひとつ、こつこつこつこつ。

こんな積み重ねをして当日、講師と受講者の間にこころよい表情の交換があり、受講者の反応から、あぁ、この時間に届けたいと思っていた核心が伝わったなぁと直感が働くとき、本当にうれしいなぁと思う。こんな伝えるのが難しいことを、こんな濃厚に本質的に伝えてくれる講師に心から感謝し、それを受け取って自分のものに展開していく受講者を頼もしく思う。あぁ、この人たちをこういう場と構造で巡り合わせることに貢献できて、よかったなぁと思う。

ぱっと見は研修終了時の一風景にすぎないかもしれないけど、その場を端からみていると、その空間には「とある研修会場の一風景」とは言いがたい空気感が感じられる。私はそういう空気の濃度にはものすごく敏感だ。目に見えるものではないのに、ほぼ目に見えている状態といっていいくらい。それで、すみっこで静かに真剣に感動してしまう。

もちろん、提供者が感動してものをいうことではないので、終わった後はあらゆる思い込みを排除して、受講者の声を聴いて、ご担当者の声を聴いて、アウトプットをみて、講師の声を聴いて、何が良くて、何が反省点なのかを整理するのだけど、本番の締めの時間くらいは、裏方として感じられる感動を誰よりも味わってしまう。

今がものすごくいとおしく感じられる。あぁ、本当によかったなぁって思う。私はそんなに「今」「ここ」を見るたちじゃなくて、どちらかというと少し先に焦点をあわせて動いていることが多いので、この「今」「ここ」を感じてうれしい、気持ちいいというのは、けっこう珍しい。

でも、あぁ、このためにやってきたんだなぁっていうのを、その場の空気感から自分の感覚器で直接受け取って、「今」「ここ」を堪能できる満足感っていうのは、いいもんですね。私はそういうのって、研修の場とか結構マニアックな場で感覚している気がするけど、これからもマニアックに堪能していきたいなと思う。

もちろん、やっていく過程では、もっと自分にこういうスキルがあったら、もっとここをシャープにできていたなぁと思うこととか、不足していた配慮とかもあって、反省もあれこれなのだけど、それもまた一つの発見として、一つまた一つ、できることを増やしながら深めながら、精進していきたいなぁと思います。

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コメント

それは、セミナーとか研修の「場」独特のものですよね。書籍はそういうテンションはないので、うらやましかったり、うらやましくなかったりします。

「うらやましくなかったり」…(笑)。そうですね、本当に独特。独特の緊張感と高揚感と満足感がありますねぇ。
同様に、書籍には書籍独特のテンションがありますよね。それがまた、私からみるとうらやましかったり、うらやましくなかったりしますよ。(笑)
でも親和性は高いですよね。まぁいろいろ、来期もよろしくお願いします。

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