あとは関わる人次第
少し前の話になるけれど、トリプルセブン・インタラクティブの福田敏也さんがRIACのセミナー(パネルディスカッション)でお話しされていたことが印象に残っている。冒頭「ここ5年くらいの広告業界を振り返ってみてどんな印象を?」といったモデレーターの問いに対して。私なりの解釈だけど、こんなお話だった。
「ここ数年を振り返るというのは、2008年秋で状況が一変してしまったからあまり意味がないと思っている。それよりも、これから経済環境が戻ったときに、企業がどういうお金の使い方をするかが広告業界の関心事。これまでよりずっと広告の効果・効率・有効性を問われるはずで、景気が回復しても前と同じお金の使い方に戻るわけではない。
今回の不況は、広告主にとってはこれまで慣習的に使ってきた(ものの、その効果に懐疑的だった)メディアを思い切って止めてみるいいきっかけになったんだと思う。そして今、企業はおそらくマスメディアと比してWebに期待をおいている。結局Webが一番効率的なんじゃないの?って仮説をもっている。
とすると景気が回復したとき、企業はその仮説を検証すべくWebに予算を割くだろう。どれだけ効果的・効率的に人を動かすことができるか。期待されるのは広告の格好よさではなく、実際に生活者を動かしモノが売れること。」
この辺の話は、福田さんと同じく元博報堂で、現在は独立してマーケティング/人材育成プランナーをされている山本直人さんが「買う気」の法則 広告崩壊時代のマーケティング戦略に著していた内容にリンクしていて大変興味深かった。ちなみにこの本も同じ文脈に始まり、著者の実践家ならではの知見から新しいマーケティングモデルが提唱されていて勉強になった&すごく読みやすかった。
つまるところ、この話で私が感じたのは、今の不況期はWeb業界(←便宜的に)がその期待に応えられるだけの力を蓄えておく期間なんじゃないかということ。私がWeb業界の端っこに身をおく人材開発担当なのでそう解釈したって話なんだけど。
Web専門に経験を積んできた人たちが、企業のプロモーション活動の補完的位置づけから舞台のど真ん中に引きずり出されたとして、どれだけの個人・組織がその期待にピンで応えられるだろうと考えると、まだまだやるべきことはたんまりあるなぁって思う。このままいくと、景気回復してみたら当事者(Web専業者)の知らぬうちに社会的ミッションが変わっていて(拡張されていて)原因不明瞭な混乱が生じかねないって思う。
Web自体のポテンシャルは十分だと思うし、あとは関わる人次第なんだろうなって思う。当事者次第。景気回復後の企業の仮説検証が仮説どまりで終わってしまわないように、端っこの人間ながら自分にできることを頑張らねばなと思う。ということで、今人しれず理論と実践を絡ませてやっていたりします。と、弱った精神に気合いを入れたいためのマジメエントリーでした。バッチこーい。
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