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2009-05-23

昇進と自由

前に「昇進した」という話を書いたのは、調べたら2年前のことだった。同じ状況に面している自分の心情を2年前と今とで比べられるのは、長くブログを続けていくことで得られる面白さの一つかもしれない。再び昇進することになった今読み返してみたら、「あぁふけたなー」じゃなくて「あぁ少し大人になったんだなぁ」と思った。

それで今回、会社から「昇進です」と言われて何を感じているのかというと、実はこれといって特にないような…。相変わらず部下をもつわけでもなく、家族を養っているわけでもないので、そういうお気楽さあるがゆえというのは承知しております、すみません…。さらに、別段会社への貢献のあり方が変わるわけでもないので、おそらく名刺も肩書きも変わらない、社内にもこのまま公表されない(ほうがやりやすいなーと思っている)。

でも、部下をもたずにそれでも会社が期待するレベルの貢献をする別のあり方を築いて、実際貢献したいとは思っている。ないものは作ればいいというか。そうすると、そういう働き方で働きたい20代のコとかも働きやすくなるのではないかとか、そういうまっとうなサラリーマン意識もきちんともっている!

というのは置いておいて、前回の「昇進した」を読んでみて、2年前以上にもう本当に自分が組織というものからかなり自由になっているんだなぁと思った。

ここでいう「自由」というのは、“組織の寿命より人一人の労働寿命のほうが長いなんて当たり前の時代だし、組織からは独立したスタンスでいないとね”っていう、私の同世代の間によく根づいている感覚とはまた別の感じで。

私が求婚したい人ナンバーワンのピーター・ドラッカー氏(95歳で老衰のため死去し会えずじまいで恋やぶれる)の著書、『断絶の時代―いま起こっていることの本質』の中にある、こんな感覚の「自由」。

人生から何を得るかを問い、得られるものは自らが投じたものによることを知ったとき、人は人として成熟する。組織から何を得るかを問い、得られるものは自らが投じたものによることを知ったとき、人は人として自由となる。

なんとなくそういう意識はずっとあったと思うんだけど、ここ数年でいろんなことを乗り越えていく中で、本当にきついときでもこういう意識であり続ける強さを養えたのかなぁと思ったりする。組織と自分の関係が、もちつもたれつ以前よりももっともっと自分の中でフラットになってきたというか、力みがない。

もともと形あるものに対する価値認識にうとく、その奥なり下なりにある見えないものにばかり目を向けやすいので(それは最近良くも悪くもの特徴だと思うようになったけど)、うまく新しい形とつきあいながら、自分がなすべきことを成し遂げていけたらなと思う。なすべきことを成し遂げる、私はそれしかできないけれど、欲張らず淡々とそれを続けていこうと思います。

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コメント

昇進おめでとうございます。
「ないものは作ればいい」それにつきますね。

「欲張らず淡々と」本当にそうですね。私ももともと淡々としていた方だったのですが、自分にキャパがないと淡々とできないですね。

あと、淡々としているのが損にも思えてきたので、最近は淡々としていませんw 修行が必要かなーと。

おかもとさん、ありがとうございます。
「ないものは作ればいい」、これって実際はそういう局面に立ったときに自分の中にこれって方向性があってこそ思えることで、それがないと「ないこと」にも「作れること」にも気づけないものなんですよね。こういうふうに言えて、実際体現できる人でありたいなぁと思います。

「欲張らず淡々と」も、ほんとどんなときでも安定してそうあり続けるのが難しいんだと思いますし、私もそう考えるとまだまだだなぁって思いますが、とりあえずここに軸足おいて頑張ります、私は。(笑)

「淡々としているのが損に思えてきた」ら、淡々としない生き方にチェンジするのがいいのかもしれませんよー。一人の人間の中でも時期によって変わるものなのかもしれませんね。

こんばんは&はじめまして。
ケイレキで文京区の参加者一覧を見ている時に、居眠りしかけて思わず「シッテル」をクリック→あわてて「シッテルを外す」という失礼な自作自演をきっかけにブログを拝見するに至りました、cyberopticことMiyakeと申します。

そんなきっかけで拝読したこのエントリですが、非常に考えるところがありました。

hysmrk さんに比べると、自分はなかなか「大人になったなあ」と思う機会は持てていないような気がしておりますが、それは人生から何を得るか、ということについてあまり考えてこなかったからかなー、考えてみるかーなんて。

とにかく刺激になりました。ありがとうございます。

はじめまして&おはようございます。
人生には時として、なんでもないような面構えをしてやってきたのに、後から振り返るとあれはものすごい意味をもっていたんだなぁと思うことがありますよね。これがその一つになったら嬉しいですが。(笑)

これもまた「人生から何を得るかを問い、得られるものは自らが投じたものによる」ってことなのかもしれません。この文章をきっかけに何かを考え、何かを得たのだとすれば、それは私の文章の力ではなく、Miyakeさんの力ですよね。Miyakeさんは何を投じるのでしょうか。ともあれ、そんな何かにつながったら私も嬉しいです。メッセージありがとうございました!

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