« 2008年4月 | トップページ | 2008年6月 »

2008-05-28

映画館に行く勇気

お客さんに『僕の彼女はサイボーグ』って映画の鑑賞券をいただいたんです。日本でも大ヒットした(という)韓国映画『猟奇的な彼女』と『僕の彼女を紹介します』のクァク・ジェヨン監督作品で、今作で日本映画に挑戦とのこと。

実は私、ほとんど映画を観ないのでして、決して嫌いなわけではないのですが、あまり習慣になっていなくて、気づくと観ないで数ヶ月とか一年とかあっという 間に経っていたりする。そんなずぼらな私ですが、こういうご縁は運命的に受け止めて大切にするタチでして、お客さんからの郵便物に同封されていたおまけの チケットを手に、これはぜひ観に行こう!と思ったわけです。

で、実は私の隣の席に座っている男性は、週末休みに1日振替休日をくっつけるとかして驚くほど頻繁に韓国に通っている人で、韓国語もぺらぺーらーなのです が、彼を韓国にはまらせたきっかけが『猟奇的な彼女』だと聞いていたので、チケットを手にすかさず声をかけました。「映画のチケットいただいたんですけ ど、これ『猟奇的な彼女』の監督作品みたいですよ」と(あげないのがせこい)。

そしたら、もう目をきらきらさせて、「観にいくならその前に『猟奇的な彼女』と『僕の彼女を紹介します』を観たほうがいい。明日DVDをもってくるか ら!」と興奮ぎみに私を導き、本当に翌日2本のDVDと、さらに『猟奇的な彼女』のサントラCDを持ってきて、朝一番に貸してくれました。サントラは、本 編の映画を観た後に感動の余韻にひたる用!との心遣いから。

そいでもって、週初めにお借りしたのですが、毎日毎日朝出勤すると、「観ました?観ました?」「いや、まだ」「いつ観ます?」と尋ねられるので、これはき ちんと計画立てて早々に観なくては彼も落ち着かないだろうと思い、先週末に『猟奇的な彼女』を、本日『僕の彼女を紹介します』を観たわけです。

で、どうかっていうと、私がよくテレビを観ていた時代(20~15年前くらいでしょうか…)の正統派な日本のドラマやら映画の雰囲気があって、斜に構えて 観るとひいちゃう典型的なあれこれのオンパレード、感動やさんはもうずるずる引きづりこまれてずたぼろ号泣!みたいな、そんな映画かと思います。

それで私はどうかっていうと、仕事でのおつきあいが濃厚な方は「んなことあるわけがない!とか言いながら淡々と分析的に観る」とか思うかもしれませんが、 いや、もう完全にロックオンされます。っていうか「これは非現実的」とか「さっきのとつじつま合ってなくない?」とか言ってる自分は、それはそれで奥のほ うにいらっしゃるんですが、それと別に前線の私は、奥の自分があきれるぐらいずたぼろに号泣するんです。奥方もそれを止める術はもたない。

ティッシュ箱は半箱くらい使い、ふいてもふいても涙が止まらない、昔過呼吸で病院に倒れこんだ経験があるのですが(それは映画のせいじゃない)、あれとか なり近しい状態になり、観終わった後もひっくひっくが止まらない。監督もそこまでは期待してないってな勢いで泣きじゃくってしまったわけです。

ここで浮上してくるのが、私は今作を映画館で観られるのかって問題です。さすがにこの状態に陥っては、周囲も「迷惑」を通り越して「心配」になるってなも んです。でもせっかくお客さんにいただいたしな、行くのがいいよな、と思ってはいるのですが。相当な勇気が必要で、ちょっと困っています。

2008-05-26

ニュース性のないニュース

少し前のことですが、asahi.comのトップページに「知らないなぁ」東国原知事に浅香が激怒というニュース記事が取り上げられていて度肝抜きました。「なんだ、これ」と思ってクリックしてしまった私もいけなかったのですが、開いてみてもやはりどこにもニュース性のかけらも感じられず、唖然としました。

うちにはテレビがないし、もしかしたら世の中のみんなが当たり前に知っている前提知識を私が持ち合わせていないから、この記事の中のニュース性に気づけていないだけじゃないかと自分を疑ってみることもしました。

浅香さんは私がテレビを観ていた10数年前も、よく怒りんぼでワイドショーに出ていたので、例えばこの間に浅香さんが「怒らなくなる手術」とかを受けてい て、「なのに怒った!」ということであればニュース性が生まれるか、とか。サンコンさんと浅香さんと東国原知事が三角関係というのはもう周知の事実で、と か。

でも、世間知らずの私が知らないだけで世の中的には一般常識的な情報がいかに隠されていようとも、ニュースを発信するとき、手術についてとか三角関係につ いて一切触れずに記事を書くことはありえないだろうと思うと、何がどうだろうとやっぱりこの記事の中にニュース性は認められないと思い至り。

また引き続きうんうん考えました。asahi.comは、日刊スポーツからもってきた芸能記事を3行トップページに掲載するようになっているため、どんな にネタがない日でも3つのニュースを必ずトップに飾らなくてはならない。つまり、運用している人も断腸の思いでこれを掲載したと考えてみたらどうか。しか し、ここまでニュース性のないネタを扱うくらいだったら、昨日のでも一週間前のでも残したままにしたほうがまだましだし、そもそもなんでこれがニュース記 事になっているのかがわからない。

と言いながら、それをネタにしてこれだけの分量を書いている自分にものすごい問題がある気がしてきたので、そろそろ止めないといけないのですが…。私はこ れを朝のプールに持ち込んで、泳いでいる間中ずっと考えてしまったし、二人の人間をつかまえてこの事を切々と語ってしまって、すでに相当な時間をこれに割 いてしまったのです。そしてここまで到達した皆さんも気づけば巻き添えに…。旅は道づれ、世は情けです。

2008-05-25

無意味な偉業報告

しばらくご無沙汰してしまいました。かれこれ数週間、あれこれのイベントごともあり、思うこと考えることもいろいろありました。いろいろ考え込むのはいつ ものことなんですが、けっこう不規則に動いていて、生来アウトプットするのに時間がかかるタチなので、ずるずる間があいてしまった次第です。とはいえアウ トプットしないと今度は消化不良感にさいなまれる厄介なタチなので、ぼちぼち書いていきたいと思います。

という無意味な宣言のような話なのですが、それだけでもどうかと思うので、この間の無意味な近況報告を添えて、「ちりも積もれば話となる」作戦に。

私が足をつりやすいというのは局所的に有名な話なのですが、この間久しぶりにプールの中で両足つる大業を果たしました。皆さん両足いっぺんにつったことあ りますか?私は何度もあります(きまってプールの中)。あれは本当に辛い。頭の中でぬおぉーという静なる叫び声をあげつつ体は硬直状態に。

のっそりのっそりプールの端っこに移動して、しばらく怪しげな動きをしてどうにかならないものか思案するのですが、結局どうともならずプールサイドにあが る。その後、明らかに怪しげ歩行でプールサイドを移動していると、監視員さんが近づいてきて「大丈夫ですか?」。「足をつってしまって…」と返すと、き まって返ってくるのがジェスチャー付きの「マッサージしましょうか?」です。

そのジェスチャーに、私は反射的にぶるるんと首を振ってしまいます。とある温泉施設でマッサージに挑戦し、くすぐったさのあまり危うく「笑いながらマッ サージ師に蹴りを入れる」無礼を働きそうになった私としては、極力それと関わらずに生きていきたい。しかも今回は両足だし。それで「い、いや、慣れてるの で大丈夫です。水、水さえあれば…」と返して、お水飲んでお礼言って隙を見せずに即退散です。この経験から学んだことは一つ。「一日に朝晩二回は泳ぎす ぎ」(なぜか五七五)。

もう一つ、この間の偉業といえば、先日“華麗”と言っても差し支えないくらい大胆な転倒を果たしました。ちょうど台風が朝の通勤時間に重なって世の中が大 変なことになっていたとき、私はそれとまったく関係なく屋内・無風・無人の階段途中で足を引っ掛け、5、6段全身を転がしていました。頭のほうから「ずる ずるーごろごろーどてっ」といった感じで、その転びっぷりといい、むくっと起き上がって歩き出す様といい、一連の所作を思い起こすと、セリフ無しの4コマ 漫画の主人公になれる自信がみなぎってきます。この経験からは、えーと、「転ばぬ先のコンドロイチン」(単に語呂がいいだけ)。

そんなわけで今年32歳とは思えないスリリングな日々を過ごしていますが、これらはあくまで、冒頭いろいろあった思った考えたというあれこれの周辺の話で あって、私の人生のメインではありません。主だった話はまたおいおい。今後ともおつきあいのほど、よろしくお願いします。

2008-05-07

コラム書きました

月連載している「withD」キャリアコラムの今月号がアップされましたので、ご報告です。今回は、「お金」からキャリアを考えてみるというテーマで。

毎回、ある種同じにおいのする文章を書いているんじゃないかって気がして、今回は少しはずしてみようかと。あとはコラムにも書いたように、それについて考 えてみる機会が少ないとすれば(そんなことないのかもしれないけど)、そのきっかけを一つ提供できればと思って取り上げたのが、「お金」です。

といっても、「お金について語る」というより「お金を切り口にキャリアについて考えてみる」という立ち位置なので、いつもと変わっていないといえば、そう変わっていないんですが…。

それでも個人的に、通常の枠組みからいくらか内容をはずす感覚で臨んだなら、秘伝のたれとはいかずとも、昨晩から煮込んでおいたカレーライスくらいの“寝かす”時間の確保が必要だったのでは、と思いました。いや、一日以上寝かせてはいるんですが比喩的な意味で。

キーワードは「デコンストラクション」。それを前提に、深さとか具体性をもっと追っていくようにする!なんか毎回反省文読ませて恐縮ですが、これも次に活 かしてまいります。何はともあれ今月号も今の私の精一杯のアウトプット。お時間のあるときにご一読いただき、何かしら思ったり考えたりのきっかけが生まれ れば幸せです。

2008-05-03

自未得度先度他

文字化けじゃありません。「自未得度先度他」と書いて「じみとくどせんどた」と読みます。禅の言葉だそうで、安全なので安心してください。

私はこれまで座右の銘にしたい言葉って出会ったことがなかったんですが、今回「自未得度先度他」と出会って「これが自分の座右の銘にしたい言葉ってやつ か!」とうなりました。白石豊さんが著した「心を鍛える言葉」で取り上げられており、意味は「『自分が先に渡るのではなく、まず他人を渡そう』という心を 持たなくてはならない」といったものです。

こういう教えは生きていく過程で誰しも一度は見聞きするものですが、私はその先に記されていた、著者のこの解釈に「おぉっ!」とうなりました。ちなみに著者はオリンピックで活躍するスポーツ選手などにメンタル面のアドバイスを行っている方。

一般に、一所懸命に勉強したり練習したりするのは、自分が良くなりたい、つまり向こう岸に先ず自分が渡りたいと思うからではないでしょうか。それはそれで構わないのですが、少なくとも人を教え導く道を歩こうと心を発こした人は、それではまずいと言うのです。

コーチになりたての人のほとんどは、もっと勉強し、もっと経験を積んだら、立派な指導ができると考え、自分の技量を伸ばすことに懸命です。そうした努力はとても大切なのですが、それではどこまで向上したら人を渡すことができるというのでしょうか。

この言葉を知ってからは、コーチとはとりあえず自分が持っているものを総動員して、とにもかくにも選手を向こう岸に渡そうとすればよいのだと思えるようになったのです。

なぜうなったかというと、これは私がキャリア支援の仕事に携わる十数年で経験した心の変化と着地点そのものだったからです。今は一つひとつの案件を手がけるときもこんなようなことを思って仕事をしています。

キャリア支援の仕事は、こちら側からあちら側へと人を渡す仕事。私の前には選手がいて、私は選手がより高いパフォーマンスを発揮するために今の自分ができ ることを考えます。もちろんそれを専門的に成せればそれに越したことはないのですが、高い専門性が身につくまで実践の手をとめていてはその間何の役にも立 ちません。

今の私を支えているのは、とりあえず私は選手本人じゃないという立ち位置の差異性です。選手じゃないから使える時間、フィールドにいないから見えること が、ささやかでもきっとあるはずだと思っています。だから専門性が低かろうとそういう差異性から等身大でできることを開拓していけばいいじゃないかと。水 を欲する選手に水を差し出すだけだって何もしないより選手の状態を良くする。そこで水を取りにいく足が動かないのは、選手を支援したい気持ちより、自分を どうしたいって気持ちが勝っちゃってるだけだと思い至りました。

そんなわけで、この言葉を覚えられるか非常に不安なのですが…、とにもかくにもそんな想いで引き続きキャリア支援の仕事に取り組みたいと思います。選手の皆さん、これからもよろしくお願いします。

2008-05-02

コンビニで思うこと

「2番目にお待ちのお客さま、前のレジどうぞー」とはコンビニでよく聞くセリフなんだけど、それはもともと「2番目のお客さま、前のレジどうぞー」って もっとシンプルな言い方だったのが、より丁寧な表現へと進化を遂げようとしたときに道を誤って、意味までずれちゃったってことじゃないかと推察している。

「2番目にお待ちのお客さま」では、「1番目にお待ちのお客さま」がいつまで経っても待ちぼうけのそっちのけじゃないか。と言っても、実際待ちぼうけの そっちのけになってるお客さんなんて見たことないし、そういう理屈っぽいこと考えてる暇あったら「ほら、早く買うもの出して。お財布出すのにもたつかない の!」って話なのかもしれないけど。はい、すいません。

では、毎回レジでこちらの顔形をじろってチェックする店員さん。これは毎度たじろぐ。防犯目的でレジ対応マニュアルにお客さんの顔をチェックすることって のがあるんだろうけど、いやいや、お店やさんなんだからチェックするのが第一じゃなくて、まず「いらっしゃい」って気持ちが先じゃないですかと。それがマ ニュアルに載ってるかどうかは知らないけど、そういうのはどんな仕事に就いてる人でも大前提になるものだし、一つよろしくお願いしますって懇願。

あとあと、おにぎりとヨーグルトとあったかいお茶をいっぺんに買ったりすると、「温かいものと冷たいもの、袋お分けしますか?」とか丁寧に聞いてくれるん だけど、いや袋もったいないからいいよと思って「いえ、結構です」って答えると、お茶とヨーグルトをぴとっと隣り合わせて一つの袋に入れる人があまりに多 くて、世も末だなぁと思う。

そりゃいいって言ったけどさ、「袋お分けしますか?」って訊いたのは、一応温かいものと冷たいものを隣り合わせたらぬるくなっちゃうよね、おいしさ半減し ちゃうよねって心遣いからのお声がけじゃないですか。としたら、「いえ、結構です」って返ってきても、温かいお茶と冷たいヨーグルトの間に常温のおにぎり を挟ませるって小技を思いついたりしないかなぁ。しないか、そっか。

んー、2~3割だったら時代的に仕方ないとも思うんだけど、過半数超えてるんだよなぁ。仕組みが整備されればされるほど人の二極化が進んでいく感じがして怖 くなることがある。脳がマニュアルに占拠されてイメージすることとか考えることをやめちゃったりできなくなっちゃったりしたら、人生もうるおい不足で枯れちゃわないかな。私はずっとずっと本質の世界で生きていたいよ。

« 2008年4月 | トップページ | 2008年6月 »